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卒業パーティーへ参加しましょう!

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いいたします!



 さて。今年度も終わりに近付き、いよいよ3年生が卒業を迎えることとなりました。

 卒業式やその後のパーティーにはまだ2年生の私が参加しなくても問題なかろう、と今回もさりげなく欠席しようと思っていたのですが・・・。


 そんな私へクラス担任の先生が「パーティーはともかく卒業式には参加しなさい」と苦言を呈されまして。さらにダンス・作法の先生に「パーティーへ参加しないと今年も最低評価ですよ」と言われてしまいました。

 だから昨年度の私とクラウドは作法の最終評価が大人しく真面目に授業を受け、課題も高評価だったというのにも関わらず、最低の「可」だったのですね。問答無用で落第の「不可」で無かっただけましだったのかもしれません。


 実は少し前に、卒業パーティーが中止になるかもという希望を抱くような事件があり、期待に胸を踊らせていたのですよ。しかし残念ながら、つい先日解決してしまったのでございます。

 発端は側妃様の弟様が使徒、つまり光の精霊の宿主となられたこと。

 軍部の比較的高位な少将、じゃなくて中将だったかな・・・の使徒化でモノクロード国内に混乱が生じたのです。軍の情報を持つ人物を教会へ渡したくない国側と、かなり大きめらしい光の精霊を何が何でも引き入れたい光教会側とで、暫く睨み合いが続きました。


 ここで活躍されたのが同じく使徒でありながら、光教会入りしていないレイチェル様のお父上であり、モノクロード国国王直轄軍の将軍でもあるジスティリア大公閣下です。どうやら双方を執り成されたようでして。

 側妃様の弟様の所属を軍に置いたまま降格。そして教会への出向を命じると共に、「軍部の情報を漏らした場合、幽閉処分とする」という内容の誓約を課しました。教会側には「モノクロード国の国政に関与しない」という誓約書へ署名させた上で、使徒となられた弟様を軍部から派遣する形にされたらしいのです。


 もう少し長引いたら、確実に卒業式はともかくその後のパーティーが中止だったのにな。

 新たな使徒と聞いて光の精霊、真白を嫌っているオニキスが嫌そうにしていました。もちろん近づくことはしませんし、寧ろこちらから容易に近づくことなどできない立場にいらっしゃった方です。きっと光教会でもそれなりの地位へ就かれ、やはり近づくことなどできないでしょうから問題なしです。


 目下の問題は私が卒業式、並びに卒業パーティーへ参加することの方ですよ。

 卒業式は入学式の時のように早めに会場入りして座っていればいいとして、パーティーの方は・・・一曲踊って目立っておいてフェードアウトですかね。

 そうだね。うん。そうしましょう。


 ドレスはチェリが子育ての合間をぬって仕立ててくれた物がありますし、それに合わせたアクセサリーもケララ経由でガンガーラ国王からいただきましたので準備万端です。


 いえね。いつも通りたいした用件でもなく呼ばれて、お夜食をご馳走になった時に―――そんな。まさか! 食べ物に釣られたわけでは・・・・・・。

 ごめんなさい。白米の誘惑に勝てなかったんです。

 元デ・・・ぽっちゃりの影響でしょう。「女神のしずくという新しい品種だ」と、艶々と宝石のように輝き、白くふっくらと丸みを帯びた、ほのかに甘く香る白米を見せつけられて、ついフラフラと寄って行ってしまったのです。


 もちろんその時に、セクハラをかわしながら、きっぱり「装飾品に興味はない」とお断りしたのですよ。ロイヤルスマイルで隠してみえましたが、不機嫌な時にガンガーラ王がみせる、片方の眉がきゅっと上がる表情をしてみえましたので、ちゃんと聞こえていたはずです。

 それを忘れた頃にケララが仰々しく差し出してきまして。拒否したら「この不始末は私めの命をもって!」とか言いながら短剣を本気で首へ押し付けたものですから、つい受け取ってしまったのですよ。

 もうヤダ。ガンカーラ王とその関係者、扱い辛すぎる。




 とまあ、そんなこんなで謀らずも私のモチベーション以外の準備は整い、遂に卒業式を迎えた訳でございます。


 卒業式はただ気配を殺して座っているだけですから、これと言った問題なく終了。次は本日の山場、夕暮れから開催される卒業パーティーですよ。実はこれもラグナなんとかと、片仮名がついていますが忘れました。別に試験に出たりしませんから、覚えなくていいんですよ。


 んで、私のエスコート役はクラウドにお願いしました。

 何故ならルーカスに「イングリッド様とお約束しまして」と、断られてしまったからです。苦労してふった他の攻略対象たちに頼むなんてもっての他ですし、従者にエスコートされて傷付くようなプライドもありません。

 それに一応、学園内では「貴賤の区別なく」のはずですから、問題なし。

 そういうわけでバッチ来い卒業パーティー!




 とか余裕をかましていた時もありました。


「さ、いざ作法の最終試験会場(卒業パーティー)へ参りますわよ! カム!」


 何故だ。ダリア様とキャラが被るという理由で、私は男装を辞したのではなかったのか。

 何故、今、私はレイチェル様をエスコートしているのだろうか。


 ちなみに最近は自粛を辞め、人前で堂々とあまーい空気を撒き散らしていらっしゃる帝国組。その護衛であるダリア様は初夏の遠足イベント以来、女子の制服を身に付けていらっしゃいます。ミニスカではなく、ひざ下フレアスカートですがね。


 別に、どうしても女性役でパーティーに出たかったとか、チェリさん渾身の「妖艶な魔女」的なコンセプトのドレスを人前で着たかったわけでもありません。

 もうね。試着時、鏡の前のボンキュボンな美女に思わずよだれが垂れたような、これでもかとカーラのプロポーションの良さを強調したドレスなのですよ。

 もちろん鏡の中の美女(笑)は自分ですので、遠慮なくお触りしまくってやりました。ハアハア。

 満足して我に返った時、クラウドとオニキスが部屋の隅で震えながらうずくまっていましたので、爆笑されるほどひどい行いをしてしまったようです。


 体にぴったりとした光沢がある生地の黒のドレスは、胸に黒い石「オニキス」が刺繍と共に縫い付けてありまして、黒一色ながらも上品な豪奢さを感じさせるものです。

 ドレスに縫い付けられている石がなぜ「オニキス」なのかというと・・・べ、別にオニキスさんから連想したとかではありませんよ! チェリに「小粒の黒い石が大量に欲しい」と頼まれて土魔法で作成しようとしたものの、黒い石が自分では出せなかったので、私の記憶を元にオニキスさんにお願いして出してもらったらこうなりました。

 ここでブラックダイヤモンドとか、ブラックガーネットとかが出てこなかったのは、私の前世が庶民だからだと思います。目にしたことがなく、想像力をもっても補えない物は私もオニキスも作れません。

  

 そんなパワーストーン「オニキス」が煌めくノースリーブでVネックなドレスの胸元は、下品でない程度に狂気たちを強調し、同じV字に腰の上部まで空いた背中もセクシーでした。

 すそ前面は床にすれすれなのに、後方はやや引きずる長さで、ダンス時の裾さばきに難点がありまして。試着ついでにダンスの特訓をされたのは辛かった。会場で恥をかかないようにというチェリの配慮は、ありがたかったですけどね。




 んで。

 どうして私が男装してレイチェル様のエスコートをしているか、というと。


「ごめんなさい。ここで落第でもしようものなら、お父様が問答無用で婚約者を連れてきそうなの。お願い! 助けて! カム!」


 なーんて超好みの美少女にウルウル上目遣いされて、断ることができなかったわけなのですよ。先生の苦言通り参加したのですから、私の成績はともかく落第になることはないでしょう。


 レイチェル様は彼女の精霊が片っ端から威圧して回っているせいで、エスコート役が見つからなかったのだとか。しかも作法はともかく、ダンスの成績があまり良くないそうでして。

 そういえばゲームでもリズムに合わせてボタンを押す的なプチゲーム仕様でしたね。お気の毒ですが、その辺りは実力で挑まなくてはならないようです。


 では、私は男性側のダンスができるのかというと・・・できるのですよ。これが。

 とはいっても、卒業式からこのパーティー開始までの数時間で覚えた、付け焼き刃なものですけれど。

 ここモノクロード国では、どんなパーティーでもダンスタイムを告げる合図のようなもので、決まった開始の曲があります。それさえ完璧にできれば問題なし! と、言うことでスパルタクラウドさんにより詰め込まれました。結構、行ける感じに仕上がったのは、日々の鍛練のお陰でしょうか。


 ここで問題となるのが衣装・・・のはずが、何故かレイチェル様のドレスに合わせたお色の、私にぴったりサイズな燕尾服が仕立ててありまして。

 確信犯ですな。しかしギリギリまでエスコート役を探されたという、努力は認めましょう。


「私と同じ、女色疑惑が深まる覚悟はよろしいですか? レイチェル様」


 紺青の生地に真珠を散りばめたプリンセスラインのドレスに身を包み、令嬢らしい微笑を浮かべたレイチェル様が私を見上げます。彼女に与えられた、こちらも紺青の生地に光沢のある白で襟や袖を縁取りしてある燕尾服を身に纏った私も、余所行きの笑顔を張り付けてレイチェル様を見下ろします。

 しっかりした身長差があるのは、抜け目なくご用意くださったシークレットブーツのおかげでしょう。ハイヒールよりは安定感がありますから、ダンスに支障はありません。


 怖れられている私と、敬遠されている上に王族に次ぐ位である大公家の令嬢である、レイチェル様。当然のように入場は帝国皇子殿下と我が国の第3王子殿下の前、最後から3番目でございます。

 堂々と会場入りすれば、案の定、会場は静寂に包まれ、安定のモーゼごっこが始まるのでした。

 

 

 


活動報告にも載せましたが

挿絵が欲しいあまりに応募した第8回アイリス恋愛ファンタジー大賞は

動機が不純すぎたせいか1次選考通過にとどまりました


私のつたない文章に付き合ってくださっている皆さまには

大変、申し訳ない結果に終わり

深く反省するとともに、もっとLOVEを前面に押し出していくよう

努力していこうと思います


ヤンデレすぎないように気を付けつつ(笑)

きっと下ネタもダメなんだろうな。


挿絵は諦めてないよ|ω・`)チラ


今後ともよろしくお願いいたします!

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