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クイーンを探せ!

クイーンを探せと高峰さんは言った。

クイーンが皇帝を止める唯一の手段でもあるとも。

思うに、皇帝が暴走した時に対抗できる方法を学校は残しておいたのだろう。

それがクイーンの存在だ。

僕はクイーンを見つける方法を帰り道考えた。


クイーンはネックレスをしている。

ヒントはそれだけだった。

あと名前から察するに、女子だ。

小石を蹴りながら僕は、


「全校の女子の中からネックレスをつけてる子を探すのって、相当大変なんじゃ……」


とつぶやいた。

中間テストまで期日は1か月だ。

その間に探さなければ、闇木の餌食になってしまう生徒が出てしまう。

それだけは食い止めなければならない。

うっかりしたら僕だって赤点を取って退学になりかねない。

学校から駅まで、そして駅から家までの道のりで、一つだけ閃いた。


それは、全校集会の日に、入り口で女子のネックレスの有無を確認するという方法だ。

これなら手っ取り早く全校の女子を確認できる。

もちろん、ただの生徒がそんなところに突っ立っていたら明らかにおかしい。

そこで、生徒会の腕章をして立っていたらどうか?

他の生徒はこう思うに違いない。

あー、多分身だしなみのチェックだろう、と。

これなら怪しまれずネックレスを確認できるはずだ。


全校集会は毎週月曜に行われる。

僕はそれまでにデパートに行って、腕章を買ってくることにした。


準備万端でその日を迎えた。

全校集会、一番乗りで僕は体育館に到着し、腕章をつけて入り口の近くに待機した。

しばらくすると、続々と生徒が集まってくる。

僕は何食わぬ顔でその場に立って、さりげなく女子生徒の首元を確認する。

だが、この高校は私立だ。

身だしなみに関しては割と厳しく、アクセサリー等をつけている生徒は中々見当たらない。


(あれれ……)


当てが外れた。

かなり注意深く見ていたつもりだったから、見落としはないと思う。

最後の一人までチェックしたがダメで、急いで腕章を外して自分のクラスの列に向かった。

僕ははっとした。

単純なことだ。

僕もそうしていたように、普段はカバンにしまって身に着けていないのだ。


(くそ、よく考えたら分かることじゃないか……)


発想は悪くなかったが、もう一つ手を打たなければならなかった。

今度は、「クイーンがネックレスを持っていなければならない状況」を作らなければならない。


僕はその日の終わりに担任のところに行き、あることを言った。


「先生、全校集会の間に携帯を盗まれちゃいました」


「間違いないのか?朝は間違いなく持っていたんだな?」


「間違いないです。そういうことをするやつがいるんだと思います。帰りの学活で、貴重品とかはちゃんと肌身離さず持っているように言った方が良いと思います。他のクラスでも」


「分かった。検討しとく」


担任はそう言って、帰り際、その旨を話してくれた。

携帯を取られたというのはもちろんウソで、クイーンに普段からネックレスを持たせるようにするためである。

しかし、まだ完璧じゃなかった。

ネックレスを持っているだけで、首から下げて現れるとは限らないのだ。


生徒がネックレスをポケットにしまっていても分かる方法。

僕が思い描いたのは、空港で銃の所持を取り締まるために、荷物を金属探知機にかける絵だった。

しかし、そんなもの用意できない。

試しにスマホを取り出し、ネットで検索してみる。

そこで出てきたのは、埋蔵金を探すときに使うような、掃除機のような形の金属探知機であった。

しかも値段は2万くらいからだ。

さすがにそんなものを持って体育館の入り口にいたら、おかしな奴以外の何者でもないだろう。


「ん?」


僕は思わずスマホを凝視した。

金属探知、アプリ!?


早速、ネット検索で引っかかったその金属探知アプリなるものを、プレイストアからダウンロードした。

僕はブレザーのポケットにネックレスを入れ、それをハンガーにかけて、スマホで探知できるか実験してみることにした。

5メーターくらいではまだ感知しない。

4、3、と近づけるがダメだ。


「使えないかな?」


もう一度画面を見ると、弱、中、強と感度が設定できるようになっていた。

強にして再度トライする。

すると、5メーター先からでもそれを感知し、ブルブルとスマホが震えた。


「これならいけるかも!」


一週間後、前回と同じシチュエーションで腕章をし、今度はスマホの金属探知アプリを起動した状態で胸ポケットにしまう。

入り口で待っていると、生徒が通るたび、ブルブル、と携帯が震える。

メタルバンドの時計にも反応してしまうため、集中して相手を選別する。

そして、その時が来た。


生徒がほとんど集まり、やってきたラスト数人の中に、何も身に着けていないのにブルブルと反応を示す女子生徒がいた。

僕はとっさに、


「あの、ちょっといいですか!」


と無理やり体育館の裏に引っ張って来た。


「急に何?」


とぶっきらぼうに返事をしてきた女子に向かってこう言った。


「あなたは、クイーンですか?」


「……」


(も、もしかして外した?)


内心めちゃくちゃドキドキしていた。

相手は僕をじっと見つめ、こう切り出した。


「……あなたのことも知ってるわよ。元皇帝」






あなたは女王様ですか?といってしばかれるパートも思いついてたのに

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