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最初の会議

ビショップ、ナイト、ルーク、ポーンの4人と僕で今後の話し合いが行われることとなった。

中央のテーブルをはさんで、それぞれが着席する。


「じゃあ、早速皇帝、これからこの学校をどういう風に変えていきたいと思っていますか?」


いきなりビショップが質問してきた。


(そう言えばビショップは進行だったっけ)


しかし、具体的にそんなことは考えたこともなかった。


「急に言われても……」


「……」


耳鳴りが聞こえるほど静まり返る部屋。

みな僕の方をただひたすら見つめるだけである。


(な、なんか言ってよ……)


ルークは完全に下を向いて黙っている。

目を合わせたら何か質問されそうだ、ということを察したのか。


「皇帝は、何か悩みとかあるの?」


そう質問してきたのは前回完全に紹介を忘れていたポーンだ。

悩みと聞かれ、僕は答えに窮した。

あるにはあるけど、こんな所で堂々と言えることじゃない。

友達が一人もいないなんて。

でも何か言わなきゃ、というプレッシャーがあったため、とっさにこう答えた。


「勉強が苦手です……」


すると、ビショップは少し考える素振りを見せて、


「となると、テストは苦痛なのでは?」


と聞いてきた。


「テストは……大っ嫌いです」


「なるほど、学生は学業が本分。それ自体を無くすのは学校そのものの意義を問われるため不可能ですが、それでも成績のつけ方をテスト以外の方法にするというのはできるかもしれませんね」


「えっ、そんなところまで変えていいんですか?」


初めて僕は皇帝の持つ力の大きさを知った。


「ただ、当然批判はあるでしょう。その批判は考慮しなければなりません。ルーク、あなたは先生、親目線で、ナイト、あなたは生徒目線、ポーンは書記をお願い」


ビショップが適当に役割を割り振って、みんなに質問し始めた。


「テストを学校から廃止したら、どんなクレームが予想されるかしら?」


まずルークが答える。


「そうだな、優劣がつけられないってことは、成績がつけられなくなる」


「なるほど、じゃあ次にナイト」


そうですね、と言ってナイトは立ち上がり、身振り手振りをつけて答えた。


「僕が生徒なら、こう考えます。遊ぶ時間は増えるけど、将来に対して不安は残りますね。そして、テストがないと張り合いもありません。早い話が、やる気がでないってことです」


この人生徒じゃないのかな?と僕は思ったが、ここではナイト、つまり騎士になり切っているのだろう。


「なるほど。では皇帝、あなたはこの意見を受けてどう思いますか?」


いきなり振られてドキっとしたが、2人の意見は確かに間違ってないと思う。


「2人の意見は間違ってないと思います」


「まとめると、先生にとって、成績をつけるためにテストは必要。そして、やる気のあるものにとってはモチベーション維持に必要。ということですね」


うーん、言われてみれば仕方のないことか。

だが、テストを廃止する権限があるのに、使わない手はない。

何かいい案はないのだろうか……


「僕は進学する気はないんで、内定の平均が3なら問題ないんですけど……」


しばらくの沈黙の後、ビショップが答えた。


「では、こうしたらどうでしょう?アンケートを実施し、皇帝と同じ意見の者がいた場合、ある条件を満たせば3が確実にもらえるクラスを作ってしまう。例えば出席が100パーセントで、授業毎に行われる小テストで一定の点が取れれば、中間、期末のテストを受けなくても3がもらえる、などです。それで学校側が妥協すれば、難しい優劣をつけるためのテストは受けなくて済む」


「そのクラス、僕入ります!」


こうして、最初の議題で決まったのは、テストのないクラスを作る。

ということだった。

すぐにこの案は校長に提出され、その日は解散となった。




わけわかんねえだろ?

byゴージャス

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