生徒会
授業が終わり、そのまま帰ろうとした。
校門をくぐり、駅に向かって住宅街の中を進む。
シルバーのネックレスはカバンに入ったままだ。
(このまま帰っていいんだろうか……)
今日の昼の出来事が脳裏をよぎる。
半ば無理やり手渡されたネックレス、そして、王位の継承。
僕は乗り気じゃなかった。
行くべきか、行かないべきか……
以前ずる休みをしたときに似ている。
その時は中学生で、音楽の独唱のテストの日だった。
頭では行かないといけないと分かっているけど、行きたくない。
結局、仮病を使ってその日は行かず、授業が終わるころ僕は後悔していた。
やればできるのに、なんで頑張らなかったんだろうか、と。
(そうだ、そういうのはもういい)
僕は踵を返して、校舎に戻った。
1階の校長室の前までやって来た。
ノックをしようと手を伸ばしたが、やっぱり躊躇する。
「ふーーーー……」
深呼吸をして、頭の中で言葉を考えた。
(先輩から王位の継承しました。よろしくお願いします、かな?)
コンコン。
僕は意を決してノックをした。
「はい、どうぞ」
ガラララ、とドアを開ける。
目線の先には校長先生がいて、椅子に座っている。
「何かな?」
「あ、あの……」
もうやけくそだ。
「あの!先輩から王位を継承しました!」
一生分の勇気を出して、そう答えた。
すると校長先生は、
「君が今度の皇帝か。真面目そうな子だな。王位を継いだ証はあるのかな?」
と言った。
証……そうだ、あのネックレスのことか。
そう思って、カバンからネックレスを取り出し、見せた。
「間違いないな。ではこれより君をこの学校の皇帝として迎え入れよう。これから今後の方針について早速話し合いをしてもらいたい」
校長先生は立ち上がり、本棚の方に近づいた。
そして、一冊の本に触れた時、ガチャリ、と音がした。
ズズズ、と片方の本棚がスライドし、その隙間から扉が現れた。
(自動ドアだったのか!)
僕が驚いてその光景を見ていると、校長先生は言った。
「ここが皇帝室だ。生徒会の者が中で待っている。さあ、入りなさい」
さっき一生分の勇気を使ってしまったので、来世の分の勇気を使い、扉を開けた。
パアアアン、というクラッカーの音が弾けた。
「わあああっ」
僕は思いっきり尻餅をつき、ケツが横に裂けたような痛みを感じた。
「継承、おめでとうございます!」
見上げると、そこには3人の男と、1人の女子がいた。
「皇帝、お怪我は?」
そう言って、一人の男が手を差し伸べた。
それを掴んで、起こしてもらう。
「僕の名前はナイト。ここではコードネームを使って呼び合う決まりになっているので、そのように覚えていただけると助かります」
礼儀正しく答えたのは、ジャ○―ズにいそうなイケメンである。
「俺はルーク。よろしくな」
この人の特徴はこれと言ってない。
「私はビショップ、話し合いでは進行を務めさせてもらうわ」
この人は委員長というあだ名が似合いそうな黒髪ロングの女性だ。
そして、それぞれが席に着き、今後の方針についての話し合いが行われることになった。