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決戦の時

僕らは学校の一階にある、掃除道具などが入っている倉庫の中に入った。

そこに置いてあった懐中電灯で照らすと、更に奥に進む扉があった。

クイーンのネックレスの先には鍵がついていて、その鍵がこの扉を開けるための鍵となっていた。


扉を開けると、地下に続く階段が現れた。

下層に降りると、そこは10個の球体がある部屋とつながっていた。

クイーンの話通り、この中に入るとゲームがスタートするのだろう。


この部屋に来る前に、僕らはデュエルのルールの説明を受けていた。

まず球体に入って、そこにあるヘッドギアをはめると仮想空間に飛ばされる。

そこでは、球体ごとに役職が設定されていて、それに伴ってデュエルがスタートする。

役職は、ポーン、ナイト、ルーク、ビショップ、皇帝 (もしくはクイーン)だ。

ここからがゲームっぽいのだが、それぞれHP、ⅯPが設定されていて、HPが0になると、強制終了となり、ゲーム終了まで待機となる。


ⅯPは何かと言うと、ゲーム内で使われる魔法である。

魔法は、役職によって使えるものが異なる。

ポーンは火、ナイトは電気、ルークは氷、ビショップは回復。

皇帝はクイーンの位置が分かる。

クイーンなら皇帝の位置が分かる。


魔法の使い方として、利き腕と逆の手で適当な物質に触れることで、その物質に固有属性の魔法を宿すことができる。

そして、その物質に外的なアクションを起こすことで、魔法が発動される。

例えばボールペンに火の属性を宿したとする。

それを振ったり、投げつけたりすることで、ボールペンが熱くなったり、より強い衝撃を与えれば、破裂して燃えさかったりもする。


ゲームの勝利条件は、相手の大将を取ることだ。


僕らは、それぞれ決めてあった通りに球体の中に入った。

僕はポーンだ。

球体のふたを開けて中に入り、ガチャンと閉める。

そして、ヘッドギアをはめた。


ふと気が付くと、校庭に立っていた。

腰には剣が差してある。

振り向くと、他の4人もいる。

これからどうするか作戦を立てようとした時、霧島が動いた。


「ど、どこ行くんだよ!」


「うるせえ」


そう言って、校舎の中に走り出していった。


一方、闇木たちの方も転送が完了し、教室のある一角に集まっていた。


「俺は情報処理室に行く。お前らは適当にやつらを足止めしとけ」


そう指示を出し、教室から出て行った。

すると、霧島が剣を抜いて闇木に斬りかかって来るところだった。

ルークが割って入ってそれを受け止める。

ガキイインという音が響いた。。


「闇木ぃぃぃ……」


殺気だった形相で、霧島は闇木を睨み付ける。


「や、やめてよ……」


闇木はそう声を出し、通路をジリジリと後退した。

ルークは絡み合った剣を一旦はじいて、後ろに下がる。


「闇木、てめえだけは許さねえ。俺を退学にさせようなんてなぁ!」


その時、後ろの扉が開いて、ビショップとポーンが霧島を挟み撃ちにした。


「!?」


霧島は後ろを振り向いたが、手遅れだった。

グサリ、と肩口に剣を突き立てられる。


「っぐあああっ」


すると、闇木はニヤ、と口をゆがめてこう言った。


「霧島ってさ、馬鹿だよね。ポーンは後ろの階段からくる奴らをシャッターで締め出して、ルークは霧島を連れて僕と一緒に来てくれ」


そう言って、外と面している扉から出て、そのすぐ脇の階段から上の3階のフロアに向かった。


僕らは校舎の中に入り、中央の階段から2階にあがった。

しかし、そこにはポーンが待ち構えていて、にらみ合う形で進めなくなってしまった。

次にポーンは自分の剣を抜いて、刀身に手をかざした。

その状態で、上にある感知器にその剣をブンブンとかざし始めた。

すると、ピーッ、ピーッ、と音がして、シャッターが下り始めた。


「しまった!」


熱を宿した剣を火災感知器が感知して、それと連動して動くシャッターが下りたのだ。

中央の階段に火が回れば、一気に建物が燃焼してしまうため、建物にはこういったシャッターが施されているのである。

ガシャアアン、とシャッターが下り切ってしまった。


「くそ、なっちゃん!闇木はどこに?」


「3階に移動したわね。何をする気かしら……」


僕らは仕方なく迂回して、外に面している階段から上っていくことにした。


闇木の方は、情報処理室に来ていた。

扉にルークを立たせ、霧島を中に連れ込んでパソコンを起動させた。

中に入ってすぐ、闇木に足を斬りつけられ、完全に動けない状態にされてしまった。


「霧島、俺がこれから何をするのか、知りたいだろう?」


「……」


霧島は苦痛に顔をゆがめている。


「まず、このゲームには一時的に緊急離脱できるシステムがあるんだ。例えば体調が悪くなったりとか、携帯が鳴ってどうしても出なきゃいけない時とかに使う。5分以内に戻らないと失格になるんだけどね」


闇木は、これからすごい楽しいことが起こるんだ、と言って説明を続ける。

霧島はジトリ、と汗をかいていた。

嫌な予感がした。


「それを使って、一時的にここから脱出して、この球体に供給されてる電源を遮断しようと思う。やり方は簡単さ、ブレーカーを落とすだけだからね。そうしたら、脳みそをジャックされてる君たちは、ゲームから出てくることができなくなるんだ。球体のことは僕しか知らないから、君たちは何年か後にミイラとして発見される」


そう言い終えると、闇木は壊れたように笑い出した。



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