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口笛
欠伸。
眠い。
頭上を見れば赤い布。
朝も朝、早朝、多分色合い的に四時ぐらい。
スライムらしいなにかはやっぱりスライムの様で、何体、いや十何体のスライムを吸収して、こうレベルアップ的ななにかを経て怖ろしいことになっていた。
歌を歌い始めたのだ。
言語になっている。意味もわかる。
言葉は喋れない、歌えるだけ。
その歌を聴いて、スライムがやってくる。
吸収、歌う、吸収、歌う。
怖い。
時たまに口笛も聞こえる。
しっかし、楽しそうだな。
……で、この歌やら口笛やら、どっから出てるの?
本当に怖いんだけど。
ぽよん、ぴゅーぴゅー、ぽよん、ぴゅーぴゅー。
下手な口笛だ。
音程もなにもないじゃないかこれ。
にほん全国一億人に及ぶ口笛愛好家が怒るほどにどうしようもない。
にほんが何かしらないけど。斜向かいに住んでたミドリさんが言ってたのを真似しただけだし。
まあ、国かなんかだろう。全国なんだし。
ぴゅーぴゅー。
……今度、教えてやるか、吹き方。教えて真似出来るか知らんけど。