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異種恋愛
起きた。
目の前にスライムがいた。
消えた。
起きてからの二分間を言葉にするとこうなる。
ずっと聞こえるぽよん。たまに聞こえるびちゃっとした水音。
そして今の、ずるん。
ずるんと、
視点の下に吸い込まれたのだ。
なんだこれは。
あと視点高くなったんだが。
なにこれ。
……そういや、水音、ずっとしてるよな。
あー、これ、運んでんのスライムなの?俺、スライムに運ばれてるの?
共食い?合体?なんでもいいけどそれして、でっかくなった?で、視点も上がって、で?
スライムの苗床とかそういうのなのこれ。
マジかよ、おい。
……いやまあ、スライムならわかるんだがさ。
なんか好かれてたし。外出るとやってきて護衛みたいなことをしてくれてたし。
木の上の果実とかくれたし。
脚に体擦り付けてきて、好かれてるんだなぁって前々から思ってた。
仕事なくなったらスライム使った大道芸で食ってこうと考えたぐらいだ。
そのスライム側からの愛が変質したのだ。
好き過ぎて食べちゃいたい、そんな愛に。
きっと。
……ないな。
ないと信じたい。
ぽよん。