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追突事故
俺は死に瀕していた。
いや、なんてことはない。
聞いたことのある機械世界なんかじゃなく、彼らの言うところの中世ファンタジーだからだ。
町から出たら、ボアに追突された。
まとめる必要もない。それだけ。
ぶつかったところはひしゃげてるだろうし、ぶつかってないところも動かない。
救いは痛みがないこと。いやさっきまではかなり痛かったけど今は感じない。理由はわからないけど。
ああ、俺の人生は短かった。
転生先はいい世界だといいな。
記憶が残れば、昔死んだ奴にも会えるかもしれないし。
だなんてことを呑気に考えていると、頭からスライムに捕食された。パクりと。ズルりと。グチャりと。
腹の辺りをふるふる触れて、足の先をずるんと這う。
水ん中みたいな視界に見えた空が、眩しかった。