現場監督の副業1
オレに縁談だと~。
なに考えていやがる。
仕方ない、城に戻るか。
奥宮なんぞ帰りたくないが...。
身支度を整えて鏡に写すと
自分じゃないような気がした。
抜け道使って城に戻り
前宮と中宮を
素通りして奥宮に行った。
「取り次ぎを頼む。」
見たことないお付きらしい女性に頼んだ。
「孝政様、おいでになりました。」
女性は一瞬オレを見つめたあと言った。
オレの顔は知ってるらしいな。
まあ、写真が一応出回ってるし。
現場監督の時はあえてひげ生やしたりして
ばれないようにしてるが。
「お入りなさい。」
女性の声がした。
さて、母上に会ってくるか。
「お久しぶりでございます、母上。」
とりあえずネコかぶっといた。
正室三田様は相変わらずお元気そうだ。
「孝政、縁談の事ですね。」
母上がズバリと言った。
まあ、そうだがよ。
「はい、お見通しですね。」
オレは言った。
持ち上げておこう。
「ラーガラース烈王国の王女殿下とは生まれた時からの約束です。」
母上が言った。
王女殿下が今度50才になるのにあわせて結婚の話が出たらしい。
「ここにいても貴方は、廣宗様の上には立てないけど、ラーガラース烈王国なら女王の夫だわ。」
母上は正室なんだけど
身分の高い側室に先に
男子が二人も生まれてしまったことにより
悔しい思いをしたんだよな。(しかも別々の側室に)
あと、辰昭兄上が上にいる。
オレを世嗣ぎにしようとしてた時期もあったし。
オレ、上に立たなくてもいいんですけど。
「混乱をさける為にラーガラースの先々代国王に申し入れるなんて老人ども、やるわね。」
母上が顔をしかめて言った。
海千山千の老臣どもにしてやられたらしい。
「...それ決定ですか?」
オレは自分の人生は自分で決めたい。
「ええ、そのうち上様からもお話しがあるわ。」
母上は言った。
上様、国主様の決定じゃあ逆らえん。
「ラーガラースの王女はどういう方なんです。」
自分の妻すら決められない。
それがいやで城を出たのに
また翻弄されるなんて。
「...あのラーガラース烈王の生き写しらしいわ。」
オレの脳裏にあの妙に
色気のあるじじいの顔が浮かんだ。
あんな嫁いらん。
「お断り...。」
したいな、とっても。
「無理です、上様の命の逆らうわけには参りません。」
母上が言った。
そうだよな。
「そうですか...。」
オレの人生終わったな。
「ラーガラースの魔剣姫と呼ばれているそうですよ、孝政。」
マケンキ?なんじゃそりゃ?
と言うかいつ頃婿入りなんだ。
「婿入りは王女殿下が50才の誕生日を迎える半年後です。」
母上が言った。
半年あれば道は出来るか...。
「わかりました。」
ああ、ラーガラース烈王みたいな嫁でも何でもいいから。
オレの邪魔はしないで欲しい。
「花婿修業も必要ですね。」
は、花婿修業?
なんじゃそりゃ?
「外国に婿入りするのですから、習慣や風習も身に付けておかないと恥をかくわ。」
そんなんどうだっていいや。
オレはふつうに土木作業してたいだけなのに
なんで、縁談なんぞ。
別に廣宗兄上や辰昭兄上なんぞ脅かさないのに。
頼むから自由にさせといて欲しい。
婿入りするまででいいからさ。
年齢について
寿命が230歳~250歳くらいなので
10歳までは1年1歳
10歳から50歳までが3年に1歳
50歳からは4年に1歳
で年齢計算お願いします。
複雑ですみません。
ニーシェルは22~3歳くらいです。