魔剣姫と婚約者(候補含む)と議長と…。
師匠、なんでちび幼児時代の事持ち出すかな?
困るよ…私、越郎さんと結婚するんだもん。
「ニーは私がきちんと手取り足とりおしえたから立派な魔剣姫と呼ばれるようになったんですよ。」
師匠がほほえんで越郎さんを見た。
わー、臨戦状態だよ。
「手取り足とり…。」
越郎さんが呟いた。
「なんて事いうんですか、師匠…スパルタだったくせに…。」
じいちゃんと双璧なすスパレタぶりだったよ。
「ダナエル師、ニーちゃんは僕と結婚するんだから、あなたの出番はないですよ。」
ラナタお兄ちゃんが師匠にニコニコとけんかを売った。
「良い度胸ですね、ラナタ君。」
師匠が言った。
「私だって、ニーシェルの花嫁になるのあきらめないんだから。」
キーハが妙に胸をはって言った。
キーハ、私、一応女なんだけど…。
花嫁はいらん。
「うちもあきらめんわ、ニーシェルはんが毒蛇相手じゃかわいそうやわ。」
マリセナさんも師匠にけんか売った。
毒蛇って何?
「おや、けんかを売られてるみたいですね…ムリュフの方はどうしますか?」
師匠がちらっと越郎さんを見た。
どうしよう、やめるって言われたら…。
「どうするも何もオ…私がニーシェルの婚約者です。」
越郎さんが言ってくれた。
「越郎さん…。」
私は越郎さんに横から抱きついた。
「今更帰れないんだよな…。」
越郎さんが呟いてるのは聞こえない事にした。
「ニー、そのムリュフの方からはなれなさい。」
師匠が言った。
なんかニコニコしてるけど怖いよー。
ますます抱きついた。
「けん、案外胸があるな。」
越郎さんが呟いた。
うん、あるよ。
「越郎さん。」
私はますます抱きついた。
「…ちょっと、力を緩めてくれ、苦しい。」
越郎さんが言った。
あ…力入れ過ぎ?どうすればいいの?
私は越郎さんから離れた。
「別に離れなくてもいいのに…。」
少し残念そうに越郎さんが言った。
でも、力加減わからないんだよ…。
「やっぱり、嫌なん違うか?うちの胸においで。」
マルセナさんが言った。
マルセナさんなら竜人だからいくら抱きついても大丈夫だろうけど…。
越郎さんじゃなきゃ嫌だ。
「ニーシェル様、こちらの人達がいやならまだ候補はおります、ムリュフの若君はお断りします…カータシキ魔法塔国との道の開通などありえません。」
デナエレ議長が言った。
この女性はラーガラース烈王国の創建時からいる人で
特にカータシキ魔法塔国を嫌っている。
もう、母ちゃんその議題かけたんだ。
「とても有益だと私はおもうわ。」
母ちゃんが言った。
真剣に言ってる…高笑い出来るといいな。
この議題通って
本当に有益だもん。
「いいえ、考えられません。」
デナエレさんが言うと何人かうなずいた。
「ラース先王陛下ならわかっていただけますのに…。」
デナエレさんが続けて言った。
そりゃじいちゃんならそうだろうね…。
案外面白がるかも…。
じいちゃんか…。
「私はあきらめませんよ、ニー。」
師匠が言った。
他の候補者もうなずいた。
わーん、二段構えで問題勃発だよ。
絶対に越郎さんと結婚してカータシキ魔法塔国と
道をつなげるんだ。
出来るよね、頑張るよ。




