魔剣姫は依頼する。
三重歌さんは美味しそうな人だ。
ぷくぷくしてるんだもん。
子供が3人もいると思えない可愛さだ。
「ニーシェルさん、いらっしゃいませ。」
可愛い丸い顔がますますかわいく笑った。
「こんにちは、三重歌さん。」
私は微笑んだ。
「やーん、格好いい。」
...三重歌さんまで男扱いか?
まあ、私、髪短いし目付き鋭いって評判だし。
お祖父ちゃんとそっくりなんだよね。
「三重歌、ニーシェルだけか?」
晴喜は三重歌さんに惚れまくってついに落とした男だ。
おい、なに嫉妬深い目で私をみる。
「ええ?晴喜さんは見慣れてるし。」
ある意味無敵だな。
晴喜・波留日を翻弄する女性は三重歌さんだけだ。
「...ニーシェル、お前、顔隠せ。」
晴喜が面白い事を言った。
「三重歌さん、晴喜をかまってやってください。」
私はそういって三重歌さんが出してくれた
むしたての饅頭にかじりついた。
美味しいな♪
「紹介状の件だか...。」
晴喜がやっと三重歌さんからあーんをされて落ち着いたらしく切り出した。
「別に悪用する予定ない。」
いっとかないとね。
「それはわかっている。」
晴喜は逃げようとする三重歌さんを膝の上に抱え込んだ。
「晴喜さん、私もお仕事あるのよ。」
三重歌さんが言った。
「三重歌を感じていたい。」
はいはい、仲良し夫婦め。
「紹介状は無理かな?」
こいつが無理なら誰がいる?
『情報収集不足ね。』
と母ちゃんに高笑いされるな。
「別にだしても構わんが...どういう設定で出すんだ?」
晴喜が言った。
「そうか、ラーガラース烈王国の王女って訳にいかないよね。」
どういうのが不自然じゃないんだろう。
「ねえ、それ以前になんでお城に潜入するの?」
三重歌さんが言った。
ああ、話してないよね。
「ええ?縁談の相手を見極めに行くの?」
三重歌さんが言った。
「ええ、そうです。」
どんな相手か見極めで場合によっては...。
どうやって断るかな?
「国主様の三男の孝政様だぞ、相手は。」
晴喜が言った。
それがどうした?
「奥宮にいるのにどうやって入り込むんだ。」
奥宮?なに?それ?
「百華咲き乱れる女の戦いの園ね。」
三重歌さんが何かキラキラして言った。
「後宮?家にはないしわかんないな。」
後宮あるところなんて一昔前のヌーツ帝国とかか?今はないらしいけど。
「まあな、厳密にはちがうがにたようなもんだ。」
晴喜が言った。
「世嗣ぎの君とか若君様達が住んでるエリアもそこにあって女の子あこがれの場所なの~。」
三重歌さんが言った。
見初められて側室様とか国母様とかまあ、そんなあこがれらしい。
ある意味玉の輿に乗った女性が言った。
三重歌さんの実家は一般家庭です。
「ふーん、なんでそんなに女性がいるんだろう?」
私が言った。
妻は一人で充分だよね。
「聞くな、わからん。」
晴喜も三重歌さんさえいればいい
男だからな。
って私、女だよ。
「ラーガラース烈王国にあったら、私も入りたいわー。」
三重歌さんが言った。
わー、晴喜が怖いわ。
「私だけでは不満か?」
晴喜が低い声で言った。
「別に不満じゃないけど、ニーシェルさんとラース先代国王陛下がいるだけでテンション上がるわー。」
わー、晴喜、私をにらむんじゃない。
「お祖父ちゃんはグーレラーシャに婿入りしたよ、当代女王陛下と仲良すぎて通信するとダメージが...。」
お祖父ちゃん、超幼さ妻もらったんだよね。
100才くらいちがうんじゃないかな?
「ラース様がか...。」
晴喜もお祖父ちゃんの事尊敬してるからショックだよね。
「うらやましいな...超幼さ妻。」
あんたも男だね。
「あー、晴喜さんの浮気者!」
自分の事を棚にあげて三重歌さんが座布団で晴喜を叩いた。
「まて、三重歌、私はお前だけだ!」
晴喜があわてて三重歌さんを抱き締めてキスをした。
はいはい、お仲のよろしい事で。
終わったら紹介状を書いてよね。
奥宮ってどんなとこなんだろうな。