魔剣姫は里帰りする
ラーガラースに帰ろう…。
ああ、母ちゃんに間違えなく高笑いされるよ。
「おかえり、ニーシェル。」
お父さまが出迎えてくれた。
「ニーシェル!よくやったわ!戦争終わって万々歳よね!しかも、ファモウラ軍国の既存の政権が使えるから、無駄な人材派遣しなくていいし!」
母ちゃんが元気に出迎えた。
オーホホホホって笑ってるよ。
相変わらずだな。
「母ちゃん、私、ムリュフ精霊国にまたいきたいんだけど。」
私は言った。
「行けばいいんじゃない?あ、ひろ君が来てるから会ってからね。」
母ちゃんが衛兵に合図した。
...あのー、母ちゃん、私、ひろにゃ会いたくないんですが。
「申し訳ございません、ニーシェル様。」
なんか衛兵二人に連行されてますが。
「女王陛下には逆らえません。」
もう一人が言った。
「母ちゃん~?」
何がしたいんだよー。
「ああ、ニーシェル様を好きなように着飾らせていいなんてなんという役得。」
えーと、確かこの男性はデザイナーの
ホーダルさん。
成人式の衣装担当した人だよ。
「私も嬉しいです。」
女官長のセーアザさんが言った。
何が起こっているんでしょうか?
「どうしても、男性に見えますね。」
セーアザさんが言った。
「格好いいですよ。」
ホーダルさんが言った。
...すみませんねどうせ男女ですよ。
再び衛兵に連行されて客間にきた。
「ニーシェル、きたな。」
ひろがいた。
ひろの隣に若い男性がいた。
「上様に命じられた、弟を紹介しよう。」
ひろが嫌そうに言った。
「初めまして、孝政です。」
男性が言った。
孝政様?許嫁の?
あれ?なんか忘れてる?
私は小首をかしげた。
「おい、ニーシェルかわいくないぞ。」
ひろが言った。
悪かったね。
「どうせ男女だよ。」
私は呟いた。
「お前は乙女は似合わない。」
ひろは言った。
ひろが言ってるのは乙女だよね。
「上様が孝政をニーシェルの婿としておいてくるよう命じられた。」
ひろが言った。
不本意そうに。
「私は、越郎さんが好きなので結婚できません。」
うん、ふられてもさ。
「兄上、ニーシェル様と二人にしてくれますか?」
孝政様が言った。
「....仕方ない。」
ひろはそういって出ていった。
「...なんでこう察しが悪いんだ。」
孝政様が言った。
「はあ、直感はあると思うんですが。」
戦場で必要だし。
でも、なんか忘れてるような...。
「オレを忘れてどうするんだ、けん。」
孝政様が言った。
「けん?...あ!」
忘れてた、孝政には越郎さんだったよ。
どうしよう、菓子作ってないよ。
「...ったく、せっかく婿入りの決意したって言うのに忘れやがって。」
孝政様が言った。
あー、よく聞けば越郎さんの声じゃん。
婿入り?
「越郎さん、婿入りしてくれるんですか?」
私は聞いた。
「ああ、決めたからな、返品不可だ。」
少し赤くなって越郎さんが言った。
「返品しません。」
私は言った。
母ちゃんの高笑いはなまで聞いたからいいや。
越郎さんと結婚!
夢見たいだよ。
わーい、男女でも
乙女でもいいや。
嬉しいよー。




