現場監督の副業2
ついに上様に呼び出された。
今度の事が耳に入ったのか?
「孝政、久しいな。」
上座の椅子に腰かけた上様が言った。
「はい、上様もお元気そうでなによりでございます。」
オレは言った。
本当に久しぶりだよ。
わが父上様と言ってもいつでも多忙だし。
奥宮でも合わないしな。
奥宮でも忙しいのか?
正室の三田様だけでなく奥宮に美女 (なんだよな)
2000人といわれてるらしい。
実際はそんなにいないし側室も8人だったはずだ(それでも多いが)
「ニーシェル王女と会ったそうだな。」
上様が言った。
「はい。」
というか知らない間にとっくの昔に会ってました。
…通晴が忍び頭にメールで報告するって言ってたから想定内だ。
「お前が一番気がつくのが遅かったな。」
上様が笑った。
一番遅い?どういうことだ。
「廣宗は前からニーシェル王女との婚姻を願い出ていたし、辰昭は実力行使にでた…魔性の女だな。」
上様が言った。
ニーシェル王女は…けんはそんな妖しい奴じゃありません。
人がよくて優しくて貧乏くじ引きまくる奴です。
日雇でも人の倍働く働き者だし…。
おお、オレ好感持ちまくってるな。
「で、どうするんだ、お前がいやならラーガラースと交渉して辰昭を婿にだすが。」
上様が言った。
あんな事があったのにけんの婿にするのか?
「やはり、ラーガラースとの絆は必要ですか?」
オレは言った。
「特に今は必要だ…ファモウラ軍国との最終決戦がヘチファデ平原で行われる、ゆえにニーシェル王女は戦場に呼び戻された…魔剣姫と言う二つ名を持つラーガラース烈王国の代表がゆえに。」
上様が言った。
「まさか…あの戦争がおわる?」
オレは呟いた。
長い戦争が終わればその後は国同士の駆け引きになる。
「廣宗も戦場に戻した…もどったら波留日のひばると婚姻する許可をいただきたいといっていた。」
上様が言った。
波留日のひばる?誰だ?けんはあきらめたのか?
「つまり、ニーシェル王女が変装した、仮の姿のまま花嫁にしようともくろんでいる。」
上様が言った。
…けん…何やってるんだよ。
「そなたはどうする?…。」
上様が言った。
どうするっていってもな…。
オレは道路を作るのが楽しいしな。
…仲間と一緒に額に汗して働いて…なんでけんの姿が浮かぶんだ?
「ラーガラースは新しい国だから道路の整備がおくれている所がそこそこある…やりがいがあるとおもうが…。」
上様が最終兵器を出してきた。
…まあ、それがなくても気持ちは決まっていた…。
けんがやっぱり気になるんだ。
「私が婚姻します。」
オレは言った。
「そうか。」
上様が嬉しそうに言った。
そう、けんが気になってしょうがないなら一番近くで見てればいい。
あいつが変なことしないように…。
あの紫の瞳がキラキラしたら要注意だ。
けんはオレとの婚姻はいやだろうか?
まあ、あきらめてくれ決めたからな。




