魔剣姫は現場監督と再会する
越郎さんが孝政様だなんて…。
信じられないよ。
どんな顔してあえばいいのかな…。
「けん、大丈夫か?」
越郎さんは普通に言った。
「うん...孝政様なの?」
私は聞いた。
「通晴から聞いたのか?」
越郎さん、孝政様が言った。
「うん、じゃあ私がニーシェルって知ってるよね。」
私は言った。
「まあな、今は間違えなく女だってわかる。」
越郎さんが言った。
ああ、女装してるし...って私は女じゃん。
「許嫁だよね。」
今日も髭面だなって思いながら言った。
「まあな、オレは不本意だが。」
越郎さんが言った。
そうだよね、突然言われたら誰だって嫌だよね。
「孝政様、許嫁になんと言うことをおっしゃるのですか?」
花乃お婆ちゃんが言った。
「すまん、だがオレも戸惑っている...けんが許嫁のニーシェル王女だと理性は納得しても心がなっとくしない。」
越郎さんが言った。
「うん、ごめんね、越郎...孝政様。」
私は言った。
「見たかったのはオレか?」
越郎さんが言った。
ああ、覚えていてくれたんだ。
城に行くのは見られないものをみたいといってたの。
「許嫁のひととなりを知って判断しようと思っていたんです。」
越郎さんなら誠実で働き者で優しくて
でも、髭面なんだよね。
今回の事破談かな?
「そうか...まあ、こう言う人間だが。」
越郎さんが言った。
「あきれましたよね。」
私は呟いた。
「お互い様だろう、現場監督が許嫁とは思わないだろうし。」
越郎さんが言った。
「でも、わざわざ潜入する人間はそうそう居ないと思いますよ。」
黙って聞いていた通晴さんが言った。
そうだよね。
「可愛いですよね♪乙女心が自分の未来の旦那様はどんな人だろうって思ったんでしょう?」
なんか明るく通晴さんがつづけて言った。
「そうなのか?」
越郎さんが言った。
「...そうなのかな?」
ああ、もっと殺伐とした理由だったような...。
勝手に婿決めやがって気に入らなければ
婿しめる!みたいな...。
言えない、そんなこと越郎さんに
言えないよー。
「そんな乙女心がわからない孝政様なんかやめてオレと結婚しましょうよ、お姫様♪」
通晴さんが言った。
はい?なんですか?
通晴さん求婚しましたか?
「通晴君、孝政様の奥方様を横恋慕かい。」
花乃お婆ちゃんが低い声で言った。
「ええ?まだ奥方様じゃないでしょう?花バア。」
通晴さんが言った。
「オレは、断れないがけんなら断れるか?」
越郎さんが言った。
「断ってほしいですか?」
私は言った。
「今回断っても縁談は来ますよ、孝政様。」
花乃お婆ちゃんが言った。
「確かにそうだが...考える時間がほしい。」
越郎さんが言った。
やっぱり嫌なんだ。
『好きな人も確保できないの?』
って母ちゃんに高笑いされちゃうよ。
...好きな人?私、越郎さんがすきなのかな?
髭面好きじゃないのに~。
「あの~。」
私がいいかけたところで通信機が鳴った。
「すみません。」
私は通信機をつないだ。
『ニーシェル!やっと出た、このくそ王女!』
従兄弟のシリスが言った。
あわててる?
「何?なんのよう?後でよければ...。」
私は言った。
『すぐ、対ファモウラの戦場に戻りやがれ!
戦況が動く!最終決戦だ!戦争が終わる!魔剣姫が居ないでどうするんだ!』
シリスが言った。
戦争が終わる?
「わかった。」
ラーガラースの王女として
最終決戦にいないわけにいかない。
「対ファモウラの戦場に戻ります。」
私は三人に言った。
「おい、けん、どういう事だ?」
越郎さんは戸惑っている。
「ありがとうございました。」
軍人や戦士じゃない越郎さんには言えない。
せっかく自分の気持ち自覚したのに。
なんで、今、戦況が動くのさ。
まあ、世界平和のために
自分の国の利益のためにがんばるよ。
絶対ここに戻ってくるんだ。
ちゃんと越郎さんに気持ちを伝えよう。
例え破談になっても...ね。




