魔剣姫は北へ行く。
あー、気が重いよー。
あの男はなぁ...。
あ、申し遅れました。
私は、ラーガラース烈王国の王女です。
名前はニーシェル・ラーガラースです。
この度、めでたくムリュフ精霊国
の若様?との縁談が発覚しました。
母ちゃん、生まれた時から政略結婚の算段するんじゃねー。
どんな、男なのか見極めようと
ムリュフ精霊国まできたんだよね。
「ハア、つめが甘いって母ちゃんの高笑いがこ聞こえてきそうだ。」
清潔な宿の部屋でため息をついた。
「おはようございます。」
私は現場監督の瀬田さんが朝食を
食べてるのに気がついて挨拶した。
「おはよう、お前何気に言葉使い良いな。」
スープをのみながら瀬田さんが言った。
「そうでもないですよ。」
お婆ちゃんがいる厨房に声をかけ朝食を
もらった。
米が主食なのはいいけど
この味噌汁って言うスープおいしいけど
かわってるね。
煮物も焼き魚もおいしいな。
「お前、外国人なのによく箸使えるよな。」
瀬田さんが言った。
ま、ね、お祖父ちゃんがムリュフ精霊国
の文化に興味持ってて
二人で遊びがてら練習したから。
「別にいいじゃないですか。」
しらばっくれよう。
「いいけどな。」
あんまり瀬田さんは突っ込まない人みたいだ。
とりあえず、高速車に乗った。
結構運賃いい値段だな。
日雇い行ってて良かったよ。
北に一日がかりでついた。
波留日の領の領主は親しいといえば親しい?
「ニーシェル、よくも顔を出せたものだ。」
第一声がそれかい!
「私は何かしたかい?」
少なくともこいつの不利益になることはしてない。
「孝政様と婚約したと聞いたぞ。」
あー、それか...。
「許嫁だよ、恐ろしい事に生まれた時から決まってたって言う、超政略結婚の。」
生まれた時からってなんだよ。
「私の気持ちはわかっているだろう?」
はいはい、確かにわかっておりますよ。
晴喜さん。
あんたも変な人だよな。
「ニーシェル、お前は私の作戦において重要だ、孝政様などと結婚している、暇などない。」
孝政様って自国の若様じゃん。
こいつは私の魔法剣士の腕前に惚れ込んで
常々、わが軍に来い。
お前なら私と一緒にファモウラ軍国も下せるとうるさいんだよね。
「私はラーガラース烈王国の王女なんだけどね。」
私が呟くと思い出したと言う顔をされた。
「お前に女は合わん。」
合わんたって女に生まれたもんはしょうがないじゃん。
「ラーガラース烈王国の王子なら諦めたが。」
うちの国は性別関係なく私が世嗣ぎだからね。
「お前はうちの軍の要だ!」
この戦闘ジャンキーめー。
黙ってたってりゃムリュフ精霊国の黒髪の格好いい男のくせして。
口開きゃ戦闘の話うんざりだよ。
よく奥さん我慢してるよ。
「三重歌も家で待ってる、ゆっくり話そうか?」
晴喜が言った。
三重歌さんは奥さんです。
どうやってこいつから紹介状
もぎ取ろうかなぁ。
頭痛くなってきたよ。