魔剣姫誘拐犯と会う。
まったく、人をまじまじと
みるなよな。
一応見初めた事になってんでしょう?
「なるほど、男であれば麗しいな。」
若かりし日はさぞかしもてたであろう美老年は言った。
「…一応女なので、麗しくなくてもいいです。」
うんざりして私は言った。
立派な屋敷の応接間に通されました。
いいんかい誘拐犯のくせに…。
「月下の美貌とはまさにその事といいたいところだが…見覚えあるな…。」
美老年が言った。
「会った事もありませんが。」
私は言った。
「……ラースだ…ラーガラース烈王国のラースと似ている…あいつの若い頃を線を細くすれば…なるほど。」
美老年が考え込んだ。
まずい、ばれたかも?
「…御前、ラース先王陛下はグーレラーシャに婿入りしたと言う情報がございます。」
頭巾の女が言った。
「…知っておる…かつらをとれ。」
美老年が命じた。
男が私の頭に手をかけかつらをとった。
なんでばれたんだ?
「…ラースの孫娘か…なぜ城内で廣宗様の宮におる?」
私の黄色がかったオレンジ色の髪を見ながら
御前が言った。
「...ひろ....廣宗様の宮に入ったと言うより、孝政様の宮に入るつてがなかっただけです。」
私は諦めて言った。
『詰めがアマアマね。』
って母ちゃんに高笑いされちゃうよ。
「許嫁をみにきたか、ラースのいかにも孫って感じだな。」
御前が言った。
ラースってさっきからいってるけど知り合い?
「ところで、あなたはどこのどなた様ですか?」
私は聞いた。
「まあ、大多御前の父だな、辰昭様の祖父と言うことになる。」
御前が言った。
「辰昭様とは一度会っただけですよ。」
相手は近習とかいって正体隠してたけどさ。
「辰昭様が月下の美貌のカツラの男女を見初めたと言っていた。」
御前が言った。
おい、なんだよ、その珍獣扱いは。
辰昭様、あんた、女ならだれでもいいんかい?
「ハア、で見極めに誘拐させたと?」
うんざりして私は言った。
「まあな、しかしかつての戦友ラースの孫となるとな、危害を加えるわけにいかん。」
御前が言った。
危害を加えるつもりだったんかい!
お祖父様と戦友なんだ。
「別に廣宗様とも辰昭様ともどうにもなりません、許嫁の孝政様の顔さえみられればいいんですよ。」
私はなげやりに言った。
「辰昭様とはどうにかなってもらいたい、愛妾中野は色気ばかりでお世継ぎの妻としてふさわしくない。」
御前が言った。
お世継ぎ?ひろじゃないの?
辰昭様って次男だよね。
「私も利口じゃないですよ。」
利口ならここにいないし。
「取り合えず、辰昭様がくるまで待っていてもらおう。」
御前が言った。
とたん、部下二人が臨戦体制に入ったのがわかった。
「お断りします。」
私は言った。
さて、魔法剣でも出そうかな?
「あー、ヤバイ、魔法剣呼べない。」
魔法封じの結界ですか?
「風よ動きを封じよ。」
女性が符を出して言った。
精霊術は使えるんかい!
わーん、精霊術耐性ないよー。
魔法なら護符つけてるのにー。
今度があったら買っておくんだ。
って私のんきすぎー。
ああ、風圧で身体が動かないよ。
辰昭様と大多のじいさん嫌いー。




