出会い<1>
――――――タンタンタン
ゆっくりと三階につながる階段を上る女子生徒がいた。
彼女の名前は芦田咲。
風紀を乱すことを許さない桜花高校一年生の風紀委員長。
この高校は委員長になってもいい学年は決まっておらず、何年生からでも委員長になることができる。
「(まったく…何でこんなに風紀を乱す人が多いのでしょうか…。…あ、あの人たち。何を…?)」
咲の目には、一人の、男子生徒と女子生徒がいた。
「悪いけど…俺、君には興味ないんだよね…」
「(きょ、きょーみ!?これって告白現場…ですよね??興味ないって…)」
それは、告白現場だった。
女子生徒が男子生徒に告白しているものだった。
「そ、そうですか…なんか、ごめんなさい…。…っ」
―――――タッ
そう言って、女子生徒は走り去って行った。
わずかに見えた横顔からは、一筋の涙が見えた。
「…ふぅ。走っていかれてもね…」
「…あの」
咲はその男子生徒に話しかけた。
「ん…何?」
「ボタン…とめてください。校則ではそうなってるはずなのですが」
咲は、男子生徒の制服のボタンをとめるように促した。
「…ああ、これ。とめればいいんでしょ。とめれば。委員長」
「(あれ?なんで私が委員長だって…まあいいですね)はい。それと、校内でイチャイチャしないでください。言いたいことはそれだけです。それでは」
咲はそれだけ言い残すと廊下を歩いて去っていってしまった。
一人残された男子生徒は
「イチャイチャって…どう見たらそう思えるんですか」