タンタル
73番目はタンタルだな。
原子記号Ta、原子量180.9479。タンタルは、かなりいろんなところで使われる金属の一つなんだ。例えば、インプラント。歯茎に金属ねじを埋め込み人工歯をつけるんだけど、その金属部分にタンタルやチタンが使われるんだ。いわゆるフィクスチャーという金属だな。インプラントについては、よく知らないから自分で勝手に調べてくれ。
その他では、電解コンデンサーとして使われているんだが、高いことと逆電圧をかけると壊れることがあってな、使われなくなってきているんだ。
タンタルを語る上で外せないのは、¹⁸⁰m¹Ta、つまり、タンタルの核異性体の存在だろうな。この核異性体は、他のものに比べて圧倒的に長いんだ。なにせ、現在に至るまで、崩壊したことがないって話だからな。少なくても100兆年の半減期があるっていうことだ。ちなみにな、全ての核異性体のうち、天然に存在している唯一のものであり、基底状態の¹⁸⁰Tcは半減期8.152時間っていう面白い元素なんだ。
[著者注:核異性体は、基底状態より原子核のエネルギーが高く、おおよそ10万分の1秒以上保ち続ける原始のことをいいます。例としては、半減期が62秒のスカンジウム-42m、45秒のポロニウム-212mなどがあります。42mは、スカンジウムのうち質量数42の核異性体という意味になります。なお、“m”とは準安定同位体、つまり核異性体のことを指す記号であり、複数ある場合は、エネルギーの小さい順に、mの後ろに1、2、3と数字を付けていきます。つまり、タンタルの180m1とは、「タンタルのうち質量数180の核異性体で、そのうちエネルギーが一番低い核異性体」という意味です。ちなみに、基底状態とは、原子核のエネルギーが最も低いことをいいます。通常は、mは左肩付きになります。]
同位体としては、¹⁸⁰m¹Taが0.012%、¹⁸¹Taが99.988%だな。