核分裂と核融合
そうそう、放射性物質についていうんだったら、これも言わないと。核分裂と核融合という二つのエネルギーのとり方について。
核分裂というのは、文字通り原子核が分裂する現象のこと。核融合は、逆に原子核が融合することだね。原子力発電や原子爆弾が核分裂のよく使われる用法例だね。で、核融合は太陽や水素爆弾がその用法例としてよく知られているよ。
さて、核分裂というのは、例えばウランの核分裂だね。ウランというのは放射性物質なんだ。ここでの例としては、ウラン235のことを単にウランと呼ぶことにするからな。
さて、中性子がウランに当たるとまずウラン236と質量が一つ増える。そうなると一気に不安定化し、分裂するんだ。
この現象のことを核分裂というんだ。
[作者注:ウランと中性子が衝突すると、ウラン236を経て速やかに分裂をします。分裂後については2つの原子核へと分かれます。状態によって原子核の種類は異なります。代表的な核分裂としては、ウラン235+中性子→イットリウム95+ヨウ素139+2つの中性子となります。この式の左辺と右辺では質量が減少し、その減少分がエネルギーとして取り出されることによって原爆は膨大なエネルギーを放出することになります。この核分裂が常時発生する状態を臨界状態と言います。なお、分裂後の原子核のことを核分裂生成物といい、核分裂で用いられる中性子を光速中性子と言います。]
一方の核融合。
核融合というのは、太陽を思い浮かべればいいな。
例えば水素。水素というのはHが一般的なんだけど、それに中性子が一つついた重水素というのをD、中性子が2つついた三重水素をTと表記することがあるよ。ここでも、それに沿って話を進めるから。それと、これからは中性子のことはnと表記するよ。
さて一番一般的だとされている反応が、D-T反応なんだ。D+T→He+nとなる反応だな。このように、2つ以上の原子核が1つになる反応のことを核融合反応というんだ。
[作者注:核融合反応には、一般的な熱核融合、研究目的の衝突核融合、白色矮星内部で発生しているとされるピクノ核融合などがあります。上記説明は熱核融合を扱っています。なお、太陽のような恒星においては、質量や温度や存在している原子核の比率によって反応する原子が変わり続けます。ちなみに、D-T反応においても、核分裂と同様に質量が減少することが知られており、このことが太陽が輝いている原因とされています。このように、核分裂や核融合後に質量が減少している現象を質量欠損といいます]