実験1~工業編~
じゃあ、実験手法についてかな。次は。
実験の手法と言うのは、学校でやるような手法と、工場などで大量生産するための手法の、大きく二つに分けられるんだ。
どちらも、安全性には留意して行うことには違いないけどな。
じゃあ、まずは工場での工業的に行う場合の手法についてみていこうか。例としてあげるのは、硝酸の製造についてだ。
工業的に硝酸を製造する際には、オストワルト法と呼ばれている製造方法を用いる。Friedrich Wilhelm Ostwaldが開発した方法で、1902年に特許の出願がされたんだ。この製造法を、簡単に説明しとこうか。
まず、アンモニアと空気の混合気体を、熱交換器と呼ばれるところに通す。ここで、交換するのは後で出てくるから。次に、十分に温まった、大体800~900℃ぐらいになった混合気体を、触媒としての白金に通すんだ。こうすると、空気中の酸素がアンモニアを参加して、一酸化窒素や二酸化窒素となるんだ。この際、熱交換器で、混合気体へと熱を移させるんだ。
次に、これら一酸化窒素や二酸化窒素を吸収塔と言われるところへ移す。ここでは、一酸化窒素や二酸化窒素を水と反応させるという作業が行われるんだ。こうして、硝酸が作られるんだ。ちなみに、吸収塔で水と反応しなかった一酸化窒素や二酸化窒素は、熱交換器で反応したての気体へ戻されるんだ。
これが、一通りの流れ。一応式で流れを書くと、4NH₃+5O₂→4NO+6H₂O。ここで出てきた一酸化窒素は2NO+O₂→2NO₂という反応で、二酸化窒素へとなる。これが、3NO₂+H₂O→2HNO₃+NOという反応を起こす。これによって、HNO₃つまり硝酸ができるんだ。