電気分解
じゃあ、次は電気分解についてかな。
電気分解というのは、ある液体に電流を流すことによって酸化還元反応を起こすっていう現象のことを言うんだ。そして、電池の+の部分につながっている方を陽極、-につながっている方を陰極ということになるんだ。陽極側では酸化反応が、陰極の方では還元反応がそれぞれおこるんだ。陽極の電極では白金、炭素、銅、銀がよく使われて、陰極では白金と炭素が使われることが多いな。
電極で反応が変わったりするっていうのもあったりするんだ。例えば、硫酸銅(Ⅱ)水溶液で考えてみよう。白金電極であれば、陽極側では2H₂O→O₂+4H⁺+4e⁻となり、酸素が発生する。陰極側では、Cu²⁺+2e⁻→Cuとなり、銅が電極に析出する。一方で銅電極の場合には、陰極は変わらず、陽極はCu→Cu²⁺+2e⁻となって、酸素の代わりに銅が硫酸銅(Ⅱ)水溶液に解けだすんだ。
水溶液とかの電気分解だったら、金属ナトリウムといったイオン化傾向が大きいものの単体を取ることができないんだ。さっきの例で出てきた銅なら、さっきのような方法で単体が出て来てくれるから取れるんだけどね。そう言う時には、融解塩電解とか溶融塩電解という方法を使うんだ。どっちも同じ行為を指しているから、どっちかで覚えておくことな。よく言われる例は塩化ナトリウムだね。NaClは、800.4度という融点だから、それ以上にすると融けるんだ。るつぼの中で融かして、陽極に炭素電極を、陰極に鉄電極を使うと、陰極側にナトリウムが析出するんだ。それを回収すると、金属ナトリウムが取れるっていうわけ。
さて、ここで、一つだけ教えておいた方がいい法則があるんだ。ファラデーの電気分解の法則と言って、マイケル・ファラデーっていう人が、1833年に発見したものなんだ。
[作者注:ファラデーの法則には、同じ人が発見したファラデーの電磁誘導の法則もありますが、今回は割愛させていただきます。]
電気分解の法則は2つあるんだ。一つは電気分解で変化する物質の物質量は、流した電気量に比例するというもの。もう1つは、一定の電気量を流した場合変化する物質の物質量は、イオンの価数に反比例するっていうものなんだ。前者の法則の例は、さっきの銅の析出について言えば、1分間に1gが出る電気量だとして、それをずっと同じ電気量流し続けていったら、10分間で10g、1時間で60g析出するっていうことなんだ。
後者の法則では、さらに発展して、ファラデー定数というのが出てくるんだ。ファラデー定数というのは、一価のイオン1molが電気分解するのに必要な電気量のことを言っていて、9.65×10⁴(C/mol)という数字で表されるんだ。ファラデー定数という言葉から、Fと書かれることもあるな。