密偵を使う
とにかく、情報が必要だった。
俺は手紙を持ってきた侍従に詰め寄ったが、差出人に関する情報はなく、いつの間にか俺宛の手紙として紛れていたらしい。
そうなると、差出人から情報をたどるのは不可能で、やはり手紙の中にある情報を精査して対策を考えなければならないらしい。俺は混乱する侍従を下がらせて、改めて手紙に目を通す。
「となると『終焉の王』と『黒き聖杯』か……」
実は、ゲームのタイトルらしいこれらには、心当たりがある。それが「骸王アルカディウス」と「冥杯アポクリファ」だ。
二つとも伝説上の存在であり、墓場の国を治める王と、あらゆる悪魔と邪神を封じ込めた杯のことである。
「その二つが現世に現れるのか? あと三日で」
この手紙は、ゲーム本編開始三日前に届くようになっているということらしい。未だに悪戯という線は捨てきれないが、俺はなぜか妙な胸騒ぎを感じていた。
「こういうときは――リズ」
「うぃっす、アレク様」
呟くように相手の名前を呼ぶと、最初からそこに居たかのように、少女が返事をする。
彼女の名前はリズ、俺専属の密偵だ。長い褐色髪を一本にまとめて三つ編みにしているのがトレードマークである。
「骸王と冥杯について、妙な噂は立っていないか?」
「は? なんすか、アレク様はおとぎ話をご所望っすか」
リズはクスクスと笑いながら俺を見てくる。
こいつは時々茶化しを入れるのが玉に瑕だが、実力は確かなので、少しのことは目をつぶることにしている。
「真面目な話だ。別に情報が入っていないならそれでいい」
ため息をこらえつつ、リズに話を促すが、彼女は首を横に振る。
「いやー……そんな物が本当にあるわけないじゃないっすか、そもそも骸王と冥杯なんて、ガキの頃に聞いたっきりっすよ」
「だよな……」
俺は頭を抱える。三日前に知らされたからと言って、今からできることなんてそう多くはない。そもそも情報が漠然としすぎていて、どこに目をつければ良いかもわからないのだ。
「いや、とにかく何でもいい。噂話でも何でも情報を集めてきてくれ」
「んー、了解っす。でも期待しないでくださいよ。今更そんな話をする人なんて、そう多くはないんすから」
首をひねり、自信なさげに答えたリズは、現れたときと同じように、はじめからそこに居なかったかのように姿を消す。
さて、俺は俺で何か出来ることを探さないとな。あまりにも漠然とした。しかもあるかどうかもわからない脅威に備えるため、俺は部屋を出る準備を始めた。
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