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摩訶不思議食堂のほっこり飯

藤原律雄と賽の河原のほっこり飯

作者:修羅観音
最新エピソード掲載日:2026/03/01
元教師の藤原律雄は、孫の律彦を生きがいに、穏やかな定年後の日々を過ごしていた。定年後もまだまだ体が動いて元気な律彦は、工場の軽作業で稼ぎ、愛する家族と陽だまりのような時間を慈しむ。しかし、娘の律子からかかってきた「律彦が死んでしまう」という絶叫が、その平穏を粉々に打ち砕く。孫の律彦が窓から自ら飛び降り、重傷を負って病院へ担ぎ込まれたのだ。

一命を取り留めたものの、怯える律彦が口にしたのは、担任である長谷雅也からの凄惨な虐待の事実だった。怒髪天を突く勢いで母校でもある小学校へ乗り込んだ律雄は、そこで教職を捨て去ろうとする長谷と対峙する。しかし、長谷が放ったのは「あいつは、お前に殺されたのにな!」という、心臓を直接掴まれるような衝撃の怒号だった。長谷は「智哉」と言う、かつての教え子と言う少年の名前を口にする。長谷は数十年の時をかけて、とある出来事に対する復讐の鬼となり、律雄の最も大切な孫を絶望の淵へと叩き落としたのである。

「自分で思い出せ」と突き放され、足腰の立たないほどの衝撃を受けて自宅へ戻る律雄。しかし、どれほど記憶の引き出しを開けても、智哉という少年の顔は深い霧の向こうに隠れて思い出せない。自分が正義と信じて行ってきた教育の裏で、正体不明の恐怖が足元から冷たい蛇のように這い上がってくる。

妻が入院する律彦の世話で忙しい律子を手伝うために、律子の所へ行って不在の夜、逃げ場のない孤独と罪悪感に苛まれた律雄は、とぼとぼと夜道を歩き出す。街灯の頼りない光がアスファルトを照らす中、彼は一人の奇妙な少女と出会う。黒いベレー帽を被り、まん丸の目で自分を凝視するその少女は、ただ一言「えらいこっちゃ」と呟いた。えらいこっちゃ嬢と名乗る不思議な少女に小さな手でぎゅっと握り締められ、律雄は自身の過去と罪に向き合うための、この世ならぬ「摩訶不思議食堂」へと導かれていく。
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