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第1話『もしもの夢が叶ったわけですが?』

「ほ、本当に別人になってる……」


 午前6時00分。驚愕を露にしているのは、学生寮自室の姿鏡前。

 不慮の事故で転生した俺は、ファンタジー世界のラブコメゲー主人公【アルスターフォード・アルア】の容姿になっている。


「あまりにも想像通りで普通――だな」


 いわゆるイケメンや筋骨隆々でもなく、転生前の自分と重なるほど平凡な男子高校生。

 女子と会話ができないということはなくても、世間一般的なイベントで楽しい思い出があるわけでもなく、人生で恋人が居た期間があるわけでもなく。


「こんなことをしている場合じゃないか」


 右も左も――わからないこともない。

 なぜなら俺は、このゲームをプレイしていた。まあ、クリアはできていなかったんだけど。

 それでも、現実世界とはかけ離れた世界観に興味を持ってプレイしていた。


 だから、右にあるクローゼット内にある学生服がハンガーにかけられていることを知っているし、風呂とトイレが別々のことも、部屋を出なくたって把握している。

 パパパッと着替え始め――ネクタイの締め方は、生きていた時にブレザーで練習していたからできた。


「次は朝食っと」


 ちなみにこの世界では、ファンタジーな世界観だけど現実世界とほぼ変わらない。

 冷蔵庫もあるしコンロもあるし、お湯を簡単に沸かすことができたりトイレも水洗の様式だ。

 だから、こうしてパンをトースターでカリッと焼き上げることもできる。


 さて――椅子に腰を下ろし、朝食を始めながらこれからのこと整理しよう。


 そう、この世界は俺が知っているラブコメゲー。

 であれば攻略対象の女の子と出会い、恋を……できるのかわからないけど、その子たちの情報は少しだけ持っている。


「……」


 攻略対象は全員7人。

 しかーし! 俺はまだ、このゲームを1週しかプレイできていない! そして肝心な1週目は、他ルートを選択できないシステムだった。


「そろそろ出ないとか」


 諸々の準備を終え、いざ出発。


 外に出ると、普通に車も走っているため歩道へ。

 この世界は便利に整えられている一方、電力を用いたテクノロジー的開発は進んでいない。

 じゃあどうやって文明が進んでいるかというと……そう、あのように魔力がエネルギー源として活用されているのだ。


「すご」


 つい小言が漏れてしまうぐらいには、箒に跨った人が宙を浮くという光景が新鮮で仕方がない。

 車やバスがあるのに、どうしてそんな世界のシステムになっているか、そんなものはわからないが……これぞファンタジーでしょ!


 それにしても本当に転生してしまったんだな。

 こうして歩く行為は、ゲームではただデバイスで操作するだけのものだったのに、空気や音を感じられるなんて凄い。


「……」


 だが俺含み、学生は徒歩や地上の移動する公共機関を利用する。こんなところだけは現実に引き戻される感じがあってもどかしい。


 まあでも……こういった強制的なものがあるおかげで、出会いが生まれる。最初に出会うヒロインも、そんな現実的な状況で出会うから否定はしたくない。


 いつも通りの流れに従い、路面電車に乗る。定期券のおかげでスムーズに流れが進み、他の学生たちと同じ時間を共有することに。

 ゲームの現在日時を確認できていないが、遠くに見える景色がサクラ一色に染まっていることから春であることが予想できる。

 であれば、物語初期と予想することができ、電車を降りて歩いている最中に1人目のヒロインと出会うイベントに発生するはずだ。


「今日、気になる人に話しかけてみようかなっ」

「いいねいいね。同じクラスの人?」


 早朝から恋愛事情の話をするなんて、さすがは女子高生。

 いや、男子高校生からの話も聞こえてくる。


「今日もあの子と目が合うかなぁ」

「おいおい、それ偶然だって。期待するだけ無駄無駄」


 年頃の男女ばかり集まっているのだから、そんな話に花が咲くのは珍しくもない、か。

 現に、俺もこれから待ち受けているヒロインとの出会いに心が躍りそうになっている。


 しかし、こうして景色の一部に溶け込むと嫌でも自分が転生してしまったことを実感してしまう。

 不慮の事故――俺が遭遇したのは、『善行の先に行き着いた悲劇』だ。駅のホームで起きた、女子高生殺人未遂事件を体を張って盾となり庇い、包丁を腹に刺さったまま多量の出血をし、そのまま気を失ってしまった。


 我ながらに自分らしくないことをした自覚はある。

 生死を分ける行動の前に、襲われそうになっていた女子高生が可愛かったから、なんて正直に白状したら女神様も転生を取り消してしまうのだろうか。


「今日も楽しみだねぇ~」

「どれが楽しみなのよ」


 終点に辿り着き、賑やかな女子高生たちは下車していき、次々に続く。俺も、続く。

 背伸びをして立ち止まっている生徒も居れば、賑やかに会話を続けて歩き始めている生徒の姿も。本当、至って普通の学園生活って感じだし、現実世界もゲームも変わらないな。


「すぅー――はぁー――」


 ここから俺のラブコメゲー本番、というわけか――と、意気込むものの不安要素もある。


 そもそもの話、ラブコメゲーの中に転生できたとして。だからといって美少女ヒロインたちと関係を築くことはできのだろうか。

 少なくとも元々の俺とゲーム主人公は優れている容姿というわけではない。


 ストーリーやシナリオ、様々な展開を経て仲良くなったり恋愛関係を進展させていくのであって……。

 恩恵を受けられるのかすらわからないが、まあ――まずは1人目と出会えるかどうかで判断すればいいか。


「さて、ヒロインに出会いに行きますか――」

ここまで読み進めていただき、本当にありがとうございます!


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より多くの皆様へこの作品が届いてほしいと思っていますので、どうかお力添えいただけないでしょうか!


まだまだ更新していきますので、どうかよろしくお願い致します!!!!

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