第11話・アチの世界や、アチの世界からの特殊な召喚や転生について教えて
〔アチの世界について〕
拓馬「ボクたちのいる世界は、レザリムスでは『アチの世界』と呼ばれているのは、聞きましたが、異世界から見たアチの世界にも種類があるんですか?」
ググレ「いい質問だ、拓馬くんは。別の都道府県出身の人と会って。その人の都道府県名の他に市町村名も訊ねるかな?」
拓馬「一応、親しい間柄になったら聞きますね。市名や町名くらいは」
ダグレ「そうだろうね、それと同じだよアチの世界にも、パラレルワールドが存在しているからね」
カナ「拓馬とあたしがいる『アチの世界』は『上のアチの世界』みたいね──他にも『裏のアチの世界』とか『表のアチの世界』とか、『斜め下のアチの世界』とかもあるらしいよ」
ググレ「元の世界〔アチの世界〕から召喚されたりした者が帰る時には、ある一定のルールがあってね。別のアチの世界には行けない、右のアチの世界から来た者は、左のアチの世界に行くことはできないよ」
拓馬「隣の人の家に、勝手に入れないようなものですね……タンスを開けて薬草を盗めない」
カナ「アチの世界でそれをやったら泥棒よ」
〔レザリムスの召喚や転生について〕
拓馬「レザリムスにも、召喚とか転生ってあるんですよね」
ググレ「あまり盛んではないが、あることはあるぞ。少し特殊だが」
拓馬「どんな風に特殊なんですか?」
ググレ「こんな具合だ(ネタバレ)」
【科学召喚】
・アチの世界から、肉体を分子分解してレザリムスに召喚する。この際、必要最小限の異世界に知識もデータベース化されて召喚者の脳内に刷り込まれる。
場合によっては召喚に失敗して分子分解されたまま消滅したり。
再構築される時に、知性を失った異質な生物に再構築されるコトもある。
【幽体転生】
・アチの世界と、レザリムスにいる『幽体離脱者』同士の条件が合えば、肉体を残したまま魂が入れ替わった転生をする。
レザリムスに別の肉体で生きるか、元の肉体に戻るかは『幽体転生者』同士の気持ち〔同調〕次第。
片方が死亡すると、もう片方の残った肉体の魂も消滅する。
(特殊な例としては、片方が昏睡状態に陥った場合、二重人格者のようになった〝憑依現象〟も起こる)
拓馬「やっぱり、レザリムスに転生したら『オレ、無双でチートでつぇぇぇ!ざまぁぁ!』に、なるんですか?」
ググレ「(怒)はぁぁ? 努力もしない者が、世界が変わっただけで! 安易に最強になれるはずないだろう! 転校したり、部署が変わって才能がいきなり開花するヤツなんてまれだ! 第一、才能が別の世界で開花したヤツは謙虚で『オレ無双』だなんて自慢しない! 拓馬くんも、そんなヤツが身近にいたら嫌だろう」
拓馬「確かに……もう少し『幽体転生』について、詳しく教えてください。【パカみたいにタイトルだけがやたらと長い、偏差値が低そうなセンスがないタイトルの作品】に出てくる異世界転生と、どこが違うんですか?」
ググレ「いい質問だ、拓実くんは普通の事故死とかで転生した者の、残った死体はどうなるかな?」
拓馬「葬儀で火葬場に運ばれて燃やされちゃいます」
彩夏「殺害されたら、どこかに埋められて誰に何年も発見されずに、それっきりってケースもあるわね……桜の木の下に埋められたら養分になって毎年、桜の花を割かせられる」
ググレ「普通の転生は、仮死状態でない限り、元の肉体にはもどれない……これは、転生=人生を捨てたってコトになるな──だが幽体転生は違う、魂が入れ替わっているだけだから、他人の肉体を互いに交換はレンタルしているようなものだ……互いの世界で生活して、いずれは肉体を元の持ち主に返却するのが基本だ」
カナ「あたしは、レンタルDVDを借りパクしていたら、一年後にとんでもない額の延滞料金請求が来たから……しかたがないから、買い取りしたどーっ」
〔レザリムスの記念日について〕
拓馬「レザリムスにも何かの記念日ってあるんですか?」
ググレ「いい質問だ、有名な記念日の祝日で『腐れ転生者地獄追放記念日』と、いうのがあるな」
拓馬「それは、どんな記念日祝日なんですか?」
ググレ「突然の死亡で、生きたくても生きられなかった悲しみを持った転生者を除いて……安易に死んで「やったぁ! 転生した!」と喜んでいるパカな転生者がレザリムスにも大量発生した時期があってな……幽体転生じゃない、己の肉体を捨てた生死を軽視する奴らをレザリムスの住民が団結して「出ていけっ!」と、パカ転生者がそれぞれイメージしている地獄送りして。レザリムスから叩き出した記念日だ、その日は各地でさまざまな行事や催しが行われるよ」
拓馬「へぇ~っ、あっ、
でっかい鼻クソ出てきた」
ググレ「人が話している時に、鼻の穴に指を突っ込むな!」




