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蝦夷国内政2

天文15年(1546年夏)15歳


航海練習中の蝦夷丸に乗船している。


九鬼の話では、今年中には乗りこなせるらしい。

『船を壊してもいいから乗りこなせ』というやり方は上達が早いに決まっているよ。大金叩いて購入した船だと、こんな無茶苦茶はできないけどね。

壊れたらまた創れば良いというのは本当に助かる。


学ぶより慣れろ方式の操船訓練中は、危ないので函館の港が見える範囲で航行してもらっている。デッキにいる俺の横には妻たちと、サラとルーシーが立っている。その後ろには若手武将たちと乗船を希望した兵たちがいる。


船から眺める蝦夷地もなかなかのものだ。皆さん、楽しんでいるかな?


「風がなくなっても動くというのは便利だろ!」と、九鬼に話しかける。

「船の速さにも驚きます。海兵たちも大喜びです。玄武王様、素晴らしい船をありがとうございます」


船速は日本丸の8倍ぐらいかな。まあ速さ云々よりも風がなくても動くのが良い。ベタ凪が何日も続いて飢え死には嫌だよな。


この時代では無線で救助を求めることも出来ないしね。


「この船を乗りこなしたら。外国に行ってみたくないか? もちろん日の本が安定してないとダメだが、どうする?」

「行きたいです。海で生きる者の夢です!」


「年中暑い国や、年中寒い国もある。肌の色が真っ黒な人たちの国もあるぞ。象という蔵よりデカい動物や、建物の2階より首が長い動物もいるぞ。面白いだろ!」

「象という動物を見てみたいです。何かワクワクしますね。」


「俺も行きたいのだよ。そのためには、さっさと日の本を平らげないといけないのだ。」

「はい。さっさと片付けましょう。」


「こんな速さで航行できる船は、フランスにもポルトガルにもどこにもありません。蝦夷国の技術力は凄いです。この国に来て本当に良かった!」と、うれしそうなサラ。

ごめんなさい……スキルで作ったインチキ船です……


「サラは生まれた国に帰りたいと思うか?」

「もはや戻っても殺されるだけです」俺はルーシーの方も見る。悲しく頷いている。


「君たちはこれからどうしたい?」

「この国にずっと住んでも良いでしょうか?」


「ずっと住んでもかまわないぞ。気楽に過ごせば良い。気に入った男がいれば結婚して子供を作るのも良いと思うぞ」

「では、よろしくお願いします!」


「ん……俺とか……う〜ん……それでサラが幸せなら……良いぞ。だけど妻たちの了承がいる……」

妻の方を見ると皆が「おめでとうサラ……」と言っている。

そういうことか。サラに聞いて、西洋風の結婚式をやるのも良いな。


妻たちに話すと興味があるみたいで大賛成だ。


「それと……ルーシーのことなのですが」

「病気なら治すぞ」


「病気ではありません。ルーシーは、藤林保正様のことが好きなようです」

俺は保正の方を見る。保正の顔が赤い。


忍者もやる時はやるな。保正……見直したぞ……


「保正は、俺の護衛をしてもらっているが。幼い頃からいつも一緒にいる。俺の弟みたいなものなのだ。一緒に結婚式をやろうではないか」

結婚式の準備を整えていく。こういうのは楽しくて良いね。


……数日が過ぎた……

今日は、俺とサラ、保正とルーシーの結婚式だ。


サラとルーシーに、男性の西洋風正装を絵に描いてもらった。また妻たちや母上や重臣たちの妻も、ドレスの好みを聞いて絵に描いてもらう。


ドレスが決まったら、至高の匠スキルでどんどん作成していく。もちろんサイズが分からないので何通りか作っておいた。余ればサイズの合う女性にプレゼントすれば良いしね。


いつの時代でも女性たちはこういうのが楽しいようだ。希望を聞きながらアクセサリーや靴なんかも作ってあげると大騒ぎだ。


結婚式忘れてないか?


もうビーツで砂糖も作っているし、卵も小麦粉もそろっている。泡立て器などの道具は、至高の匠スキルで作成してある。数日前から試行錯誤でウエディングケーキを作らせている。


これができないと結婚式ができないと料理人に伝えると必死の努力で、及第点レベルではあるがウエディングケーキが完成している。


料理はアイヌから肉や魚をもらって、豪華な料理が作られていく。1品だけ俺が食べたい料理を追加してもらった。食べたい料理はピザだ。


至高の匠スキルでピザ窯を作成する。チーズは伊賀の牧場を作った時から改良を進めてきているので、最近は良い出来になってきている。


今日皆の感想を聞いて、好評なら『正直屋ピザ』を作ろうかな。ピザの店が流行るようなら、チーズも販売開始だ。


ピザは料理人にレシピを伝えて数日間チャレンジさせている。これもウエディングケーキと同じぐらいの期間で完成した。


仕上げにワインなのだが、伊賀守の時から山ぶどうを使ってのワイン造りをさせているのだが。前世で飲んだような味にならない。少し甘い気がする。


早く売り物にしたいのだが。やはり葡萄の種類が色々関係するのかもしれないな。


料理に華を添えるべく、グラスを至高の匠スキルで作成してみた。前世で使っていたベネチアングラス風のワイングラスと、ウイスキー飲むのに使うショットグラスだ。


ガラス製品も伊賀守の時から試行錯誤させているが、まだ売り物になるレベルになっていない。デザインはともかく基本技術レベルは向上してきているので、今回のグラスを見本にチャレンジを継続させよう。


職人は生涯チャレンジだよ。


結婚式が開宴し、妻や重臣たちの妻たちがドレスに着飾って登場。重臣たちもビックリだ。惚れ直したかな。もちろん俺と保正は西洋風の正装だ。このドレスは堺や京で売れそうかな? 


俺はそんな事ばかり考えているな。もう癖になっているな。


宴が始まると、呑兵衛たちがワインに群がる。好評そうだ。しかし呑兵衛達はすぐに澄酒や焼酎の方に流れていく。やはりワインはイマイチの出来なのかな。あるいは早く酔えるのが良いのか?


それにしてもグラスの出来にも、もう少し注目してほしいのだが。

飲めれば何でも良いのか? 呑兵衛オヤジ、グラスにも注目しろよ! 幸隆だけだぞ、グラスを褒めているのは!


女性たちありがとう。この色具合とか、この形とか、吟味しながら褒めてくれる。価値が分かるのはやはり女性だよ。


呑兵衛ども見習えよ。


普光に「公家の奥方に売れそうか」と、聞いてみた。もちろん売れるそうだ。さっそくいろんなデザインの試供品を主上と普光の友人に送ろう。まずはマーケット・リサーチからだな。


ワイン作りはサラとルーシーにテコ入れさせよう。山葡萄じゃない葡萄はどうやって手に入れればいいのかな? そもそも日本ではどんな葡萄が自生しているのかな? 


まずはそこからだな。山のことだから信濃衆に聞けば分かるかな? 信濃衆には何かと助けてもらっているな。


ピザだが。これは女性男性問わず大好評。まずピザを流行らせておいてチーズの販売という順番かな? 旨いチーズを本格的に作らせるか。これもサラとルーシー案件にしよう。産品がまた増えるな。


久しぶりに楽しく過ごせた。しかしそろそろ餓狼たちが動き始めるな。いくさの時間がまた始まる。


優秀な部下たちだ、その事は分かっていると思う。

今日はしっかり楽しんでほしい。







ここまで、お読みいただきありがとうございます。

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