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蝦夷国内政1

天文15年(1546年春)15歳


頼んでおいた商品を南蛮船が運んできてくれた。まだ堺までしか南蛮船が来てくれないけどね。ビーツにロバ20頭、羊40頭だ。高くついたけどしかたない。ケチると持って来てくれなくなるからね。


蝦夷といえばやはり羊だよ。羊は蝦夷の気候に合っていると思う。食用にも羊毛製品にもなるしね。食べるのは、いっぱい増やしてからだ。ロバさんは農耕と運搬用だ。


いずれにしても、蝦夷の体制を早く整えて大陸と直接交易できるようにならないといけないな。しかし明との交易は面倒くさそうなので、もう少し北方の民族と交易したい気がする。アイヌさんつながりで大陸と交易できると良いのだが。長老たちに伝手がないか聞いてみよう。


これでビーツが蝦夷の作物ラインナップに入る。もちろん伊賀や伊勢、尾張でも植えさせてみる予定だ。ビーツから砂糖がとれるからまた儲かるな。


このことは秘密にしておかないといけない。


甲斐や信濃から移住を希望者した民が、蝦夷国にどんどん到着している。お陰で農地開拓が順調に進んでいく。今は函館を中心とした周辺地域の開拓を進めているが、移住を希望する者が増えれば、農地面積をどんどん広げていけそうだ。


開拓した土地を開拓した農民に与えると、最初に移住してきた人が大地主になったり、後から移住してきた人が小作になったりする可能性がある。逆に、農地の私有は認めないとしたらどうなるのかな。


農地を開拓するモチベーションは下がるのかな。


しかし甲斐や信濃で死にそうな生活していた人たちだから、飢えて死ななければ農地の私有なんかできなくても構いませんと満足してくれるような気もするのだよ。


人の心は難しいな……


私有できる最大広さを制限するとか、10年辛抱したら私有地になるとかのストッパーをいくつか用意しておけば良いのかな。


それとも蝦夷国がオーナーの『正直屋食品』を作って、農民は全員そこの社員にして給料制にした方が良いのかな。重臣たちに相談しよう。


農作物が増えるので、アイヌの民も喜んでいるようだ。日の本からの移住組の若者とアイヌの娘とのカップルや、その逆も増えていると聞いている。良いことだよね。


信長には、蝦夷国の民がいくら増えても問題なしと連絡しておいた。当面は問題ないと思う。移住民たちが増えると、アイヌの民との間で揉め事が起きないか心配したが、平井のオヤジが実に上手くやってくれているようだ。


さすが六角家で宿老を努めただけあるな。


定頼さんが義賢に家督を譲ったとたんに、義賢による平井いじめが始まったようなのだ。

六角家に残ってくれた平井の嫡男や、平井の領地の民も移住してくるらしい。

しょうもない奴……定頼さんは体調が良くないようだ。


蝦夷の内政は平井定武にお任せすれば良さそうだな。


蝦夷国製の酒と海産物は日本丸で輸送し、商社正直家が全国の支店で販売中だ。蝦夷国製の酒は蒸留装置を使って、更にアルコール度数の高い酒にすることで特徴を出している。


特色があった方が良いからね。呑兵衛は色々選べた方が幸せのはずだ。アルコール度数の高い酒は越後からの注文が多いようだ。


アルコール度数の高い酒はウオッカのようなものだが、アイヌの民にも大人気。砂糖についてはこれからだ。明や南蛮にも販路を拡大するかな。


蝦夷国の未来は明るいな。大海洋国家を目指すぞ。


ところでサラとルーシーの意見を聞きながら、至高の匠スキルにより西洋風甲冑を作成してみた。お試しで作ってみたのだが、家臣たちが西洋風甲冑を随分と気に入っているようだ。


俺が創造した見本をもとに、伊勢から甲冑師を呼び寄せて作らせることにした。いくさで手柄を立てた武将の褒美には持ってこいかもしれないな?


石鹸やシャンプー、保湿クリームの見本をいくつか作成してみた。

藤吉郎の指揮のもと職人たちに作らせようとしている。見本があればなんとかなると思う。気長に待ちたい。なんせ冬は農作業ができないし、こういう手工業から始めて生産性を上げていきたいと思う。


藤吉郎なら部下を上手く使ってやってくれるだろう。やっぱ藤吉郎君は優秀だよ。スカウトしておいて良かった。我が国の産品がどんどん増えていって欲しい。


ところで……

家臣達から、跡継ぎはまだ生まれないのかという声が出始めている。桔梗や桜、百合、早川、ウヌカルはまだ12歳、前世での年齢では11歳だ。子供に子供を作るのはさすがにないと俺は思うのだが。


この時代では、そんなに特殊ではないらしい。そうなのか? 妻たちは乗り気なのだが。いくらなんでもということで、子供を作るのは最低でも2年は待ってもらっている。


それよりも石炭だよ。


家臣からの報告で石炭を露天掘りでたくさん採れる山を見つけたらしい。石炭が準備できそうなら、本格的に蒸気機関を創造していきたい。海洋国家を目指すなら蒸気船が必要だ。


風が吹かないとピクリとも動かない船では怖くて乗っていられないでしょ。


神棚作って『風よ、吹け〜』と祈らないといけないようではダメだ。

大航海時代に大海原に帆船で乗り出した人たちの勇気はすごいと思う。日本丸も危険だから陸からあまり離れない範囲で航行させているからね。


海軍には蒸気機関モデルを渡して、蒸気機関の何たるかの講義は済ませているが、彼らが理解したかどうかは不明だ。やはり『こいつらには無理かな〜』という印象だ。


スクリュータイプのものとか、あまり高度な蒸気船を、至高の匠スキルで作っても、海軍の理解力や運転能力がついていけるか不安だ。


海軍に既に模型を渡しているやつ……実物の外輪型の蒸気船のサスケハナ号を、至高の匠スキルで作ってみることにしようかな。


海軍の奴らも多少なりとも事前学習したはずだしね。サスケハナ号は明治にペリーが来航した時の黒船である。


俺は幸隆と定隆と護衛の保正や藤吉郎を連れて港の浮桟橋に移動する。港から人払いをしておいて、至高の匠スキルで桟橋に『ペリーの黒船』を1隻創造してみた。


豊穣神様の信者も増え、豊穣神様の力が増したことで俺のスキルパワーも増しているようだ。


藤吉郎に海軍衆を呼びに行かせる。海軍衆が大急ぎで走って来た。

「蝦夷丸だ。海兵は直ちに乗船せよ」と、命令する。


「蒸気機関を理解してもらうための模型は渡してあったよな。理解しているか? これは蒸気機関の力で動く船だ。石炭を釜で炊くことで動くようになっている。俺もいっしょに船内を見て回ろう。使い方を説明するから、しっかりと覚えるのだぞ!」


俺は幸隆と定隆と護衛の保正や藤吉郎とともに蝦夷丸に乗船する。


構造や機器の操作は理解しているので、俺が定隆や海兵の幹部に操作方法を説明する。蝦夷丸は乗船人数が300人、大砲も63門あり最大射程は約3.5kmである。球状の弾を装填する仕様だ。


まあ迫撃砲で良いような気もするが、海軍に大砲にも慣れさせておくには良いかもしれない。


操縦方法を教えた後で「この船が壊れてもいいので、乗りこなしてくれ」と命令した。いつものやつだ。


新しいおもちゃに、海兵が大喜びだ。こいつらには『学ぶより、慣れろ』が合っているようだな。


まあ壊れたらまた創造すれば良いしね。



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