建国3
天文14年(1545年春)14歳
残党が隠れていると困るので、森可成と工藤祐長には蠣崎家の掃討戦は、徹底してやってもらっている。特殊部隊も200人参加しているから森に隠れても無駄だ。しかし時間は掛かるだろう。
蠣崎家の残党がここに奇襲を仕掛けられたとしても、幸隆と兵が500人いるのでまず大丈夫だと思う。しかも周辺の警備は特殊部隊200人が行っている。
特殊部隊の忍者によると、敵兵なんかよりクマの方が怖いらしい。幸隆には警備責任者を兼務してもらいながら、港や城などの候補地の選定もしてもらっている。
蠣崎家のことが伝われば、南部家や津軽家が何か仕掛けてくる可能性もある。忍び調査隊は派遣しているが、こちらの体制を早く整えておかないといけないな。
港と城と防衛施設、そして街の建設だ。まあ、日本丸がいるから、敵船がここに大軍を送り込める可能性は、ほぼないと思うがスキは作りたくない。
「幸隆。ここで行う建設は急ごうと思う。したがって豊穣神様から授かった力を目一杯使いたい。しかしこの力は、まだ限られた武将のみにしか見せるつもりはない。俺が力を使うときは理由をつけて、兵達を離れた場所に移動させて欲しい」
「承知いたしました」
まず港を作ろう。幸隆が探してくれた候補地に護衛の冨田勢源と藤林保正と九鬼定隆の5人で移動する。周りに兵はいないようだ。至高の匠スキルを使い、岸から海に向かって堤防を建設していく。
昨年の内に函館沖の水深マップを作っておいたので、どこまで堤防を沖に延長すれば日本丸を横付けできる水深を確保できるかは判っている。水深が確保できる位置まで、沖に向かい堤防を建設していく。
俺は建設した堤防と並行に、もう一本の堤防も建設する。続けて片方の堤防の先端部を直角に曲げて堤防を延長し、前世の漁港風の港にする。この堤防から浮き桟橋を伸ばせば、日本丸を接岸できるはずだ。
黒鍬衆と海軍の総動員で浮き桟橋を作らせるよう九鬼定隆に指示する。俺は堤防の上に至高の匠スキルで、浮き桟橋用の資材を大量に作り出しておく。これで作業も早く進むはずだ。
港の方は黒鍬衆と海軍衆におまかせしておけばよい。
堤防の付け根に近い場所には管理事務所兼防衛施設が必要だな。
至高の匠スキルで石造の大きな3階建ての小さな洋館を建設する。建物だけなので内装はない。内装は黒鍬衆に作ってもらう予定だ。防衛のために、管理事務所の周りを高さ3mの土手で囲んでおく。ここにも内装用の資材を作成しておいた。
黒鍬衆に、港の次にこの洋館の内装をするよう指示しておいてくれ。どんな内装が良いかは、その都度聞きに来るように伝えておけ。港と洋館との間の道路作りは、警備の様子を見ながら兵500人にさせてくれ。俺は資機材の運搬用に大八車を5台創造しておく。道路の幅は、この資材運搬用の台車の幅の4倍にするように伝えた。
港と浮き桟橋ができて日本丸が接岸できるようになれば、荷物の積み下ろしがグンと便利になるな。そろそろ至高の匠スキルのパワー残量がないみたいだ。正確なものではないが何となく判る。5日ぐらいは至高の匠スキルはパワー補充だな。
これで本日は終わりにしたいが、城の候補地の確認をしておこう。幸隆に案内させて、城の候補地に移動する。横に大きめの河川が流れる平場だ。数Km四方に渡って平地が広がっている。流石に蝦夷は広いな。
五稜郭みたいなのを作ってもいいが、ここで本格的な防衛戦を展開しないといけないようなヘマをするつもりはないので却下だな。戦をするなら敵地というのが基本でしょ。
城の建設に掛かる前に、建設する城にはどんな機能が必要なのかを整理しなくてはならない。それに基づいてどんな城にするかを決めることにする。
機能その1は、ここに王がいるぞという『権力の象徴』を示す機能だな。『力を持っていないとこの城は作れないぞ』と思ってもらえるものでなければならない。
機能その2は防衛機能だ。まずアイヌさんが敵になることはないだろう。日本丸とまともに戦える船は、今の日の本にはないと思う。南蛮と同盟でも組んで、ここを攻めてくれば別だがその可能性はない。
そうなると想定される敵は南部家や津軽家とか近場の大名となる。小早船を大量に用意し、命懸けで日本丸の攻撃を掻い潜り、夜襲攻撃とかを敢行したとしても、せいぜい上陸できる敵兵は多くて300人程度が良いところだろう。
もちろん忍者調査隊を派遣しておくので、そうなる確率は0%に近い。奇襲攻撃される前に、こちらが先制攻撃を行い港や船を根こそぎ破壊するからだ、海辺から近いところに城があればそれも破壊する。戦をするなら敵の領地で行う。そう考えると大した防衛機能はいらないことになる。
まず1辺が1kmぐらいの大きな街エリアを決めよう。街の周りは熊よけの土手を作ろう。高さは2mもあれば良いかな。敵兵300人ぐらいなら、その土手を見ただけで攻めてはこないと思う。
その中に住居エリア、商業エリア、農地エリア、牧畜エリア、職人エリア、兵舎エリアなどを作っていこう。最初は手探りで耕作を始めるから農地も街の中に作ろう。街の中央に城というか宮殿だ。上水と下水の水路掘削とか公園の造成とかも検討しよう。交易エリアは港の管理事務所近くの方が良さそうだ。
それ以外にも建物の寒さ対策とかも必要だ。もう色々検討事項があり過ぎてパンクしそうだな。こういう時は、コツコツと1つ1つ仕事を終わらせていくのが大事。前世でも同じだったな。焦らないことだね。
パワー補充期間の5日間は都市計画に集中しよう。ちょうど良いな。こういう時には、前世の実績からして藤吉郎が役に立ちそうだな。幸隆と3人で考えることにしよう。
3日間が過ぎ、机上計画も終わったので、現地に縄張りをしていく。俺と幸隆と藤吉郎の3人に加えて、護衛の冨田勢源と藤林保正の5人で、黒鍬衆を数十名連れて現地に向かう。まず宮殿の位置、続いて各種エリアの位置を順に決めていく。
それが決まったら上水と下水の水路や道路や公園の位置を決める。3人で『あーでもない。こーでもない』と悩みながら縄張りを変更し、目印の杭を打たせていく。これはこれで結構楽しい作業だな。
縄張りが終われば、まず建設予定地の整地をやらせる。宮殿の建設予定地の整地が終わった頃に、5人だけで宮殿の建設予定地に向かう。至高の匠スキルで前世に見学した迎賓館赤坂離宮の建物を参考にして建てることにする。
大きな建設については、1回に創造できる容量制限があるので至高の匠スキルで複数回に分けて建設を進める。パワー残量がなくなればパワーが戻るまで数日待つ。その間に黒鍬衆によって整地や内装工事を進めさせておく。
パワーが戻れば、至高の匠スキルで継続して建設する。これの繰り返しになる。2ヶ月もあれば凄い宮殿ができそうだ。宮殿が終われば重臣たちの屋敷も創造する。その他は黒鍬衆にお任せだ。宮殿の周りは迎賓館風に頑丈な鋼鉄製のフェンスで囲う。ゲートは同じく迎賓館風の立派なものを2ヶ所作る予定だ。
河川からの水路を城ゾーンに引き入れて、上水道と下水道も整備しないといけないが、それもおいおいやっていこう。黒鍬衆の仕事だな。
農地の方だが信濃衆100人に頑張ってもらっている。まずは整地と水路作りだ。準備が整えば、米、麦、蕎麦を植えて行く予定だ。畑の形状は道路を挟み綺麗な長方形に作らせる予定だ。この畑は将来農業試験場にする予定だ。蝦夷地の耕作に適した寒さに強い作物の開発をしてもらう予定だ。南蛮から入手できしだい、ジャガイモやビーツも栽培する予定だ。
港の交易エリアに大きな市場も建設中だ。もちろん雪対策の屋根付きでね。雪対策は信濃衆に知恵を借りよう。市場にはアイヌさんたちにも店を出してもらう予定だ。商売ができるように、アイヌさんも学校で計算を学んでもらおう。
城の中の内装は俺がボチボチやっていくが、残りはすべて藤吉郎と黒鍬衆にお任せする。
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