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建国1

天文14年(1545年春)14歳


蝦夷に国を作るため。今年の初夏に再び蝦夷に向かう事にする。


今は大急ぎでその準備をしている最中だ。もちろん蝦夷に攻め込んで無理やり国作りをする気はない。幕府や寺社や公家といった旧来の権威や利権勢力の影響を受けない勢力を蝦夷に作るのが目的だからだ。


領地を増やすことが目的になったら、日の本の餓狼大名たちと同じになってしまう。


アイヌの人たちが拒否するなら、蝦夷での国造りは中止だ。その場合でも友好的な交易は定期的にさせてもらうようお願いする。その成果だけでも交易で大儲けできるから問題なし。また別の場所で建国を考えれば良い。


日本丸を増やすので、志摩衆に大急ぎで海軍を増員せよと命令している。知り合いの知り合いでも何でも良いから。いろんな伝手を使っての海兵のスカウト活動をさせている。


この時代に、他国に行くことは簡単ではない。とても危険だからだ。盗賊やならず者が闊歩しているからね。農民たちにしても、徴兵された時に戦場で拾った武器を持つものもいる。


そんな時は忍者だよ。彼らはどこにでもいけるからね。志摩衆の知り合いや、知り合いの知り合いを伝手にして、多くの忍者リクルータが広範囲でスカウト活動を展開中だ……


海賊達の境遇はどこの国でも同じだ。土地が狭いあるいは荒れているから作物がとれない。食べ物が少ないから飢える。飢えるから奪う。奪う手段が海賊なだけだ。


海賊だって、好きで船を襲い奪っているわけではない。反撃されて死ぬことだってある。しかも大勢で船を襲うから1人分の取り分は僅かだ。腹を減らしながら鬱屈と毎日を過ごしている。そんなところに忍者リクルータによる海兵の募集が舞い込む訳だ……


『北畠家の海軍になりませんか? 海賊になる人の募集じゃないよ。北畠家の海兵を募集だ。北畠家から給金も出る。飯も毎日腹一杯食べられる。さあ特別に今だけの大募集』と聞けば『なんだ、それは本当の話か? 飯が毎日腹一杯食べられるなら、行くに決まっているだろ』と、なるだろう。


遠くは瀬戸内あたりからも、多くの応募者が殺到しているようだ。


北畠家では、志摩衆を海軍と呼んでいる。海軍には大将が必要なので、一番元気の良い九鬼 定隆を大将に任命している。海軍大将だ。前世の軍隊の職階とは違うので、海軍大将は現時点では侍大将と同じ扱いにしている。


採用された海賊たちには、海兵としての猛訓練が待っている。


海兵のスカウト活動のために、忍者リクルータたちが動くと、海兵募集と関係ないのだが、地域単位で活躍する小規模な忍者集団がやってきて『俺達も仲間に入れて下さい』が始まる。


そういう訳で海兵希望者だけでなく忍者もリクルートしてくる事が多い。大名たちの目と耳を奪い、優秀な忍者さんをたくさんゲット出来ていう事なしだよ。

特殊部隊もどんどん増員中だ。


俺は至高の匠スキルで、日本丸を50隻まで増やしていく予定だ。松坂の港も至高の匠スキルで港の整備を行うつもりだ。しばらくは建国に向けて、至高の匠スキルをどんどん使いたいと思っている。


至高の匠スキルをバンバン使っていきたいのだが、どうも、至高の匠スキルを使って1回に創造できる量には限度があるようだ。たとえばキャラック船だと1回に5隻ぐらいが限度みたいだ。限度いっぱいまでスキルを使うと、5日ぐらいは至高の匠スキルは使えなくなることが分かった。


構造物の建設なんかも、1回で作れる大きさあるいは容積に限界があるようだ。どういう制限なのかスッキリしないな。


今度神様と話す機会があれば『神様もっとパワー下さい』と伝えよう。

そうだ、創造神様の信者をもっと増やせば、スキルのパワーが増すかもいれないな。その方向が賢明そうだな。


キャラック船だが、1隻で200人乗せることができるので、50隻あれば1万人ぐらいを船で移動できることになる。また船にはグレネードランチャーや迫撃砲も搭載しているから、今の日の本においてはオーバースペックだな。国内の海戦では出番はないかも知れないな。


蝦夷に向かうのは、オヤジたちと特殊部隊の400名、楯岡道順、真田幸隆と信綱親子、若手武将達の工藤祐長、森可成と兵を2000人、文官を20人、護衛として冨田勢源と藤林保正、小姓は木下藤吉郎と嶋清興である。


藤吉郎と清興は、まだ子供なので見聞を広げてくれれば良いなぐらいの感じだ。


さらに黒鍬善右衛門と率いる黒鍬衆300人も連れて行く。それと移住者枠として、真田を頼って伊勢に来た、寒さに強そうな信濃の民100人を加える。


もちろん越冬のために必要な衣食住の資材や、アイヌさんへのお土産と物々交換用商品を大量に満載する。家畜は鶏、牛、馬、猪を可能な限り乗せて行く。


家畜を蝦夷でどんどん繁殖できたら良いな。


また蝦夷での越冬を考え、ダウンコートを大急ぎで大量に作成させている。ダウンと言っても、伊賀と伊勢で唐揚げや焼き鳥にして、いっぱい食っている鶏の羽だけどね。それと手袋に履物だ。


これは寒い信濃の冬を過ごした経験のある、真田の郎党たちの意見を入れて製作中だ。至高の匠スキルでブーツやコートを作っても良いのだけれど。なるべくこの時代の人に任せようと思う。


移住希望者には、小麦や蕎麦の種、種籾と農具も持たせる。


伊賀と伊勢に残る家臣には、信長を助けるように申し付けている。

「信長と勘助。しばし留守を頼んだぞ。伊賀と伊勢と南近江をなんとしても守ってくれ」


俺は蝦夷に向かって、日本丸30隻で出港する。勘助に任せておけば伊賀と伊勢は大丈夫だろう。勘助には望月が率いる甲賀特殊部隊の500人を預ける。


松坂港を出港し順調に航海を進め、中継補給基地として整備している大島の港に寄港することができた。補給と休養を行い、数日後に再び蝦夷に出港する予定だ。今回は色々考えた末、北条家には寄らないことにする。


2回目の航海も、1回目の時と同様に順調に航海していく。船速が前回より早く感じる。操船技術が向上したのかもしれない。波も穏やかで快適だ。九鬼からまもなく蝦夷に到着するという連絡を受ける。向かっている場所は前回と同じ浜辺である。


船からは、昨年訪問した前世で苫小牧と呼んでいた場所が遠くに見えている。見覚えのある入江に船がどんどん近づいて行く。


前回来た時に水深マップを作っているので、安心して航行できる。東に襟裳岬らしきものがあるし、西に渡島半島おしまはんとうらしきものがある。場所は間違っていないはずだ。


陸の方から手を振る人達がいる。昨年一緒に酒を飲んだアイヌの人達のようだ。いつも海を見張っている人達がいるのかな? 

後で聞いてみよう。


アイヌの人達の横で大きく手を降っているのは居残り忍者か。言葉を覚えてくれたかな。

期待しているよ。





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