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里見の海賊2

天文13年(1544年秋)13歳


降伏した里見海賊との交渉は長綱さんにバトンタッチした。

長綱さんと風魔小太郎らしき人と特殊部隊の一部が小早船で入江に上陸する。


長綱さん達の前に、海賊衆が全員土下座している。城からも村からもボロボロになった人達が、次々と海岸に集まってきて土下座だ。


交渉開始から半刻は経過している。


まあ見ているだけなので楽ちんだ。前世では、東京湾で釣り船に乗って、タコ釣りをした記憶があるな。あの時はゴミばかりが引っかかって全く釣果なしだった。


餌のカニの代わりに、引っかかったビニール袋をしばってチョンチョンしていた人がタコを釣り上げていたな。少し複雑な気分だったな。


戦国時代の東京湾は全く汚れてないよ。

当然ながらビニールゴミとか全くなし。とにかく海がきれいだ。海の色も全然違うな。


暇だから別のこと考えていた。やっぱり平和が一番だ。


長綱さんがどう交渉したのか解らないが、この一帯の海賊衆がすべて北条家の配下になった。また壊れてボロボロの城も北条家の所有になったそうだ。この辺りは房総半島の先端に近いな。


多分あの辺りは前世の館山あたりかな? いずれにしてもこんな飛び地の領地はいらない。だから、ここがどこかなどは興味なし!


人質とともに戻ってきた長綱さんたちが言うには「いくさで勝ったのは北畠家。この城と海賊たちをこの後どうするかは小田原に戻って話しをさせて頂きたい」だそうだ。

俺は里見の領地をもらっても、管理が大変で迷惑なのだが。


里見の海賊が日本丸をキョロキョロと見ている。

海賊なら興味あるよな。


こんな領地は北条家にプレゼントしよう。北条家なら交渉しだいで里見領の他の城と交換もできるだろうし、城と賠償金とを交換したりと、有効活用ができるだろう。


「ところで、この近所に里見の海賊の港は他にもありますか」と長綱さんに聞いてみた。

「ここから北に3里ぐらいのところに海賊の入り江があったと思います」


「ついでなので、そこも潰しておきましょう」

長綱さんがニンマリとしている。

頼もしき婿殿よというところか。


日本丸は北に3里ぐらい移動する。このあたりは前世の勝山というところかもしれないな。たしか海水浴場もあったと思う。

行ったことないけどね。


入江に安宅船が1隻、関船が4隻、小早船が40隻の計45隻が停泊している。

小高い丘に小さい城もあるな。城は迫撃砲の射程範囲内に建っている。


さっさとすべて綺麗に破壊しました。

こうしてみると海からの城攻撃は有効だな。


今回も降伏した里見海賊との交渉は長綱さんにバトンタッチだ。館山と同じく、この一帯の海賊衆がすべて北条家の配下になり、壊れてボロボロの城も北条家のものになった。

北条家の領地がまた増えた。


関東に関係ない北畠家が、あまり里見家を追い詰めてもなんだし。

俺達は小田原に向かうことにする。


もう海賊も出てこないし、風もあるからスイスイ移動できる。


日本丸は小田原港に到着した。お土産の昆布、鮭、毛皮、燻製肉の一部を北条家にお裾分けする。さらば北条家、楽しい旅でしたよということで、このまま松坂に帰れるはずだったのだが。

また小田原城に連れて行かれる。

早く松坂に帰りたいのだけど。


小田原城で宴会が始まる。北条家の家臣さんは「そもそも里見の海賊野郎どもはな〜」で、宴会を始めるそうだ。


今回は我々が、里見の海賊を叩きのめしたこともあり「そもそも里見の海賊野郎どもはな〜」の声が、とてもうれしそうに響き渡る。


里見の海賊は北条にとって、本当に忌々しい存在なのだそうだ。突然三浦半島の村を襲いに来るわ。北条家御用商人の商船を襲うわ。今まで散々な目に遭わされていたようだ。


「あいつら、いつも忘れた頃にやって来やがって。捕まえたくても、とにかく逃げ足が速い。本当に迷惑な奴らだ」という声がいろんなところから湧いてくる。


海賊基地と船を破壊したから、しばらくは安全安心だと思うよ。

宴もたけなわに近づき、北条家の家臣団さんの声もどんどんデカくなってくる。


「北畠家には本当に感謝だ。海賊の船を150隻近くも沈めてくれたし、北条家の領地も増えた。感謝する! 感謝だ!」と、感謝の連呼だ。


いくさで喉を鍛えているから、声のデカいこと、デカいこと。


伊豆水軍の清水康英が俺のそばから離れない。何回も、何回も「どうやってあの船を作ったの? あの変わった砲は? いくらするの? 売ってくれないかな〜」としつこい。

売れる訳がないだろう。


それに買っても、どうやって帆船を乗りこなすつもりかな。

下手すりゃ漂流して船員が骸骨になったまま外国に漂流だよ。


「またいずれの機会に」と誤魔化しておいた。もちろん同盟を結んでも作り方なんか教えないけどね。

そもそもスキルで作ったわけだしね。作り方なんか教えようがないのだよ。


赤ら顔の氏康さんが「ぜひ何かお礼をしたい」と言うので、「貿易の補給港として大島をいただけないですか」と遠慮がちに聞いてみた。


「大島は北条家の領民が結構住んでいた時期もあるのだが、里見家の海賊野郎が何回も襲いに来るから、今は誰も住んでいない。海賊が怖くて、これからも住みたい領民なんていないはずだ」


「大島で良いなら進呈いたそう。しかしそんな島でホントに良いのか? なんか大島だけだと悪いから、八丈島までの島を全部進呈しよう」と、ありがたい言葉をもらう。


ありがたく頂くことにした。もう返さないよ。


取り消せないように、後で同盟の文面に入れてもらおう。

蝦夷航路をもっと充実させたいから、大島は補給基地にしよう。

八丈島はクジラ漁の中継基地にするぞ。でもまだ鯨油はいらないかな。


『あれ。氏康さんがいないな〜』とか思っていたら、うれしそうな顔で氏康さんが、娘を連れてくる。将来、美人になりそうな可愛い子供だ。まあ俺も子供だけどね。


「早川と申します、以後よろしくお頼み申します」


以後よろしくということは、側室が増えるのは確定か!


「普光女王が降嫁いただくと、公家との付き合いが増えるかもしれません。早川姫にお助けいただければ大いに助かりますぞ」と俺も適当なことを言っておいた。


「お任せください」と、瑞渓院さんが力強く答える。なんか瑞渓院さんまで松坂に来そうな勢いなのだけどな。


お母さんは来ないで良いですよ。


翌日、日本丸の上でホッとしていると、オヤジたちが側に来る。


「本当にお前といると退屈せんな〜。またまた側室が増えたじゃないか。何人までいくか楽しみだぞ。頑張れよ」と、オヤジたちが笑っている。


何を頑張るのだろ。まったく人ごとだと思って。

帰って来たぞ。松坂に。


俺は妻達が入れてくれたお茶を飲んでいる。同じ部屋でオヤジたちや小姓や若手武将達と、お茶を飲みながら、俺はホッとまどろむ。

リラックスタイムだ。


「そういえば尾張の織田はどんな様子?」と、オヤジの方を見る。

「尾張担当の忍び調査隊に聞いておくな」とオヤジ。


「ところでオヤジたち、風魔と何を話していたのだ」と、聞いてみた。

「伊賀と甲賀の忍者はみんな豊かになったぞ。学校もタダで行けるぞ。みたいな話をしただけだぞ」


たぶん北条家からこっちに鞍替えしないか交渉をしているな。


風魔にチョッカイ出すと、長綱さんが、だまってないから余計なことをしないで欲しいな。








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