そうだ北海道に行こう5
天文13年(1544年秋)13歳
異世界物の小説と同様、村の美しき娘たちは勇者君にメロメロ。特殊部隊の忍者さんたちがモテモテなのだよ。
お〜い、手を出すんじゃないぞ。
愛に言葉はいらないとかダメだからな。
後で色々まずいからな。首に怒りの毒矢が刺さるぞ。
しかし可愛いアイヌの娘とできちゃった奴がいたようです。
まあ、できちゃったものは仕方がない。居残り組を志願してくれたようなものだしね。
計5名の忍者君たちができちゃったみたいだ。
忍者だってやるときはやるな。忍者にも熱い心があるのだな。
まあ独身だし、責任取れば問題なしだと思う。
本人達も可愛いアイヌ娘と、ここに永住したいとのことだ。幸せにね。
来年また来るから、言葉をしっかり覚えておいてよ。
言葉を覚える以外に、居残り組に頼んだ事は、燃える石があるかどうかの確認だ。もしも燃える石があるのなら、大量に集めてくれれば、希望のものと物々交換することを、長老に伝えてくれと頼んでおいた。
まだアイヌの言葉を喋れないのに難易度が高すぎるかな?
しかし忍者は、現地に溶け込み情報を聞き出すのが得意なはずだ。
何とかしてくれるだろう。
俺達はアイヌさんに、珍しいもの食わせてもらったり、苫小牧の景色の良さそうなところに案内してもらったりしながら、数日間を楽しく過ごした。
海軍衆は地図と水深マップ作りで忙しかったと思うけど。
楽しい良い観光でした。
とはいうものの、これ以上できちゃいましたカップルが増えたら困るので帰ることにしました。
特殊部隊は貴重な戦力だからね。
これ以上減るのは困るのだよ。
留守番をしてもらっていた護衛の兵300人と特殊部隊100人も、交代でアイヌさんの村を見学したり、近場の観光をしたりしてもらいました。
クマは出てこなかったみたいだ。
もちろん『できちゃいましたカップルは絶対禁止令』を出しておいた。
俺は沖に泊めている船に向けて、せっせと蝦夷の産品が積み込まれていく様子を眺めている。お土産と物々交換商品を気に入ってもらったようで、船には昆布、鮭、毛皮、燻製肉が大量に積み込まれている。
護衛の兵300人は運搬と船内の収納に大忙しだ。
大儲け! 大儲け! 北条家にも少しだけお土産として渡そう。ところで物々交換の取引は、誰が交渉したのかな。
言葉がしゃべれなくても交易はできるみたいだ。
忍者は多才だからね。
そういえば、物々交換の商品として、いろいろなものを持ってきたのだが、村正製の刀や槍にナイフが大人気のようだ。
結構多めに持ってきたのだよね。アイヌVS蠣崎家に多少は影響を与えるかな?
蝦夷からの戻りも。快走! 快走!
俺はデッキから海を眺めている。流石にもう酔わないな。海から見える陸の風景を楽しんでいる。
三陸の山が紅葉している。戦国の世であることを忘れさせてくれるな。感動する。
家臣たちも景色を楽しんでいる。
お〜い、オヤジたち! 風魔さんと酒飲むんじゃないぞ!
あれ、いつの間にか長綱さんが俺の側に立っている。
俺の方を笑顔で見ながら。
「北条家には美しい姫がおるぞ」といきなりの、北条家の嫁はいらんかなアピール開始か?
さすがに、もうこれ以上は無理ですとは言えないので、普光女王が降嫁する予定なので側室になってしまう事を伝える。
これでヤンワリと断れるはずだ。
「問題はないと存ずる」と長綱さん即答だ。問題ないのか!
いや嫁が増え過ぎなのだが。
まだ俺は子供よ。まあ嫁たちも子供だけど。子供に子供の嫁がいっぱいだよ。
やっぱり変だよね。でもこれって、断れないやつかな。
房総半島が見えてきた。ここを越えて三浦半島越えれば小田原まで残り少しだ。
三浦半島が近づいてきたあたりで『やっと戻ってきたぜ』と、ホットしていたら海賊衆らしいのがこちらに迫ってくる。
どう見ても商船には見えない。
長綱さんによれば、里見家の海賊だそうだ。100隻はいるのかな?
小さくて、小汚いオンボロ船だらけだ。こんなオンボロ船でよくこんな沖合まで来たな。
沈没が怖くないのかな?
俺だったら絶対嫌だぞ。
小さい船の上で、小汚いフンドシおやじたちが、唾をちらして喚いている。遠いから何言っているのか解らないぞ。
しばらくすると、少し大きめの船が100mぐらいまでに近づいて来る。
「俺たちは里見家の海賊だ。金目の物も船も全部置いていけ」とフンドシおやじが喚いている。
置いていく訳ないだろ。
お〜、これが里見の海賊衆なのか!
船も装備もボロ。乗っている奴もボロだな。全てオンボロ過ぎるぞ。
長綱さんに、「こいつら沈めてしまっても北条家として問題ないですか」と聞いてみた。
「問題ないが、できるのか?」と返答されたので、「大丈夫です。寧ろ大歓迎です」と、答えた。
志摩衆こと我が海軍に手旗信号で『里見の海賊を殲滅せよ。ただし1隻だけは残しておけ』と伝える。
志摩衆から「やった〜。やった〜。ウオ〜。ウオ〜。」という大喜びの声が鳴り響く。
彼らも練習の成果を実戦で試したいのだろう。壊してもタダの動く標的がやって来てくれた。ありがとう。
『俺たちは、君たちを歓迎するぞ。絶対逃げないでくれ。頼むぞ』という気持ちなのだろう。
フンドシおやじの皆さん、逃げないでよ。
海軍衆がガッカリするからね。
海軍衆が器用に使いこなしている手旗信号を見ながら「これを北条にも教えて欲しい」と、長綱さん。基本的な事を教えてあげたら「これは戦で使える」と、喜んでいた。
光を使った、モールス信号もあるのだが、そっちは黙っておこう。
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