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そうだ北海道に行こう1

天文13年(1544年秋)13歳


蝦夷にするか。琉球にするか。どっちが良いかな?

寒いけど蝦夷に決めた。沖繩より北海道にしよう。


観光じゃないからね。ビジネスだよ。

サトウキビで砂糖も魅力だけど、ビーツもそのうち手に入ると思うと、やはり海産物の方が儲かると思う。中でも昆布が最高だ。


この時代は、海路による輸送手段が貧弱だから、蝦夷の昆布は凄い高値で売れる。しかも乾燥させた昆布は長期保存できるし、重さも軽いから運搬が楽だ。松坂に持って帰ったら、商社正直屋に高値で売りさばいてもらおう。


儲かるぞ。楽しみ。


蝦夷に行くことは、蝦夷で昆布を大量に仕入れて商売で儲けるというだけの話ではなく、日本丸の長距離航海訓練でもあるのだ。訓練は大事だ。

やはり行くなら寒くなる前だな。


日本丸5隻を連ねて北海道旅行だ。念の為、陸が見える航路をとるけど、海賊たちには『毎日1回、夜に北極星の仰角を測って緯度を記録しておけ』と命令しておこう。

旅行気分は俺だけで良いからね。


蝦夷行きの話を聞きつけた妻たちや小姓や若い武将たちが「行きたい。絶対行きたい」と、騒いでいる。船は酔うのだぞということを知ってもらうために、伊勢から5kmほど沖に出て、直ぐにUターンして戻ってくる『ミニミニお試し航海』をやってみたのだよ。


俺は「酔うやつ何かは連れて行けないぞ」と、偉そうに言い放つ。ここまでは良かったのだが……


結局酔ったのは、俺と軍師だけとなった……

チマチマ細々と、いろいろなことを考え込むタイプは酔うのかな? 

恥ずかしいな。カッコ悪い。


誤魔化そうとスキルで船酔いを治しても、酔う。治す。酔う。治す。こんなことを何度も繰り返していたら究極のフラフラ状態になってしまったのよ。


もうこんなことなら、蝦夷行きは中止にするかな?


前世ではフェリーに乗っても、全然酔わなかったのになぜだろう? フェリーには揺れ防止の制振装置でも付いていたのかな。

それとも帆船は揺れ方が違うのか?


俺が酔ったから「蝦夷なんて行かない」とか言えないよな。

しかたないので、俺と軍師だけで『お試し航海』を5回ほど追加でやった。

皆は見ないフリをしていたな。もう意地と根性だよ。


5回やったら流石に酔わなくなった。


慣れって大事だな。軍師もホットしていたな。3人とも立場がなかったからね。俺も誰もいない部屋でガッツポーズ。少しウルってきたわ。


良く考えたら船に乗せられる人数と荷物には限りがある。


乗せる荷物だけど、食料や水以外には、まずはアイヌさんへのお土産と物々交換商品でしょ。それに加えて途中で寄港させてもらって、補給もさせてもらう北条家へのお土産もある。


それに帰りの船には干した昆布とか鮭とかを目一杯持って帰りたいからね。ビジネスだからね。儲けが一番だよ。


結局、俺の他に護衛の兵を300人、オヤジたちと特殊部隊200人、何事も経験ということで。護衛の藤林保正と小姓組の木下藤吉郎、真田信綱、若手武将の工藤祐長と森可成を連れていく事にした。


妻たちには、北条家や蝦夷で何があるかわからないから、蝦夷行きは次回以降で納得してもらった。軍師には蝦夷を見ておいて欲しかったのだが、仕事が忙しいからと逃げられた。まあしょうがないか。共に苦労した仲間だ。気持ちは分かる。


そうそう、信長君は伊賀と伊勢とを見て回って勉強してもらっている途中なのだが、大急ぎで帰ってもらい、日本丸に乗船してもらう事にした。喜んでいたな。


信行の件で嫌な思いをしただろうしね。きっと良い気分転換になる。北条家の重臣たちやアイヌさんたちともコネクションを作っておいてもらいたいからね。


北条家に寄港する件だが、志摩衆は「途中で寄港など不要」と自信満々な主張なのだが、初の長距離航海を途中寄港なしで蝦夷までというのは、さすがに無理があると思う。


俺も途中で休みたいしね。そこで山科のオッサン経由で、北条家の小田原港への寄港許可をとってもらうことにした。また銭をむしり取られる事になるが仕方ないな。


偶々なのか。金の匂いがしたのか? 山科のオッサンが松坂に来ていたので北条家への仲介をお願いする。二つ返事でOKをもらう。しかし、麿も乗りたい、麿も乗りたいと煩い。まったく面倒くさいやつだ。


仕方ないので「小田原までですよ」と、3回も念を押して了承した。


山科のオッサンから北条家への依頼文だが、船便とかでトロトロ送っていたら時間がかかるので、上級忍者特別速達便で、おっさんに書いてもらった文を運んでもらいOKをもらった。


忍者には走りに特化した達人さんがいるのだよ。

多彩だよね。


戦国時代が終われば、忍者の就職先には、『正直屋郵便』とか『正直屋宅急便』も設立できそうだ。今も忍者特別速達便のお世話になっているしね。

やっぱり便利だね。忍者!






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