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尾張の様子1

天文13年(1544年夏)13歳


ところで戦国時代のスーパースター、信長君はどうしているのかな。もう11歳のはず。

オヤジの織田信秀おだ のぶひでさんも、まだまだ元気だよね。


忍者調査隊の報告では、なぜか信長君が大人しくしているみたいなのだよね。というか情報が何にも入ってこないそうだ。


この歳の頃は、織田家家臣の次男三男の中で、特別に元気の良い悪ガキどもを引き連れ、領内のいたるところで暴れまくっているはず。


つまり領内では目立ちまくっているはずなのだ。何か変だ。病気かな。引き続き調査を続けてもらおう。


それにしても信長君とは、どう付き合えば良いのかな…… 


プラン1は、力を蓄えて六天魔王になる前にさっさと始末する。

プラン2は、俺の親友あるいは子分にして『日の本からいくさをなくし民を幸せにする』という目標に大いに貢献してもらう。


……という2つの選択が待っている……


どちらにするか見極めないといけないのだが、情報がないと判断できない。

史実なんて当てにならないからね。


信長君がどんな人間かも分からないで、プラン1を採用し、人知れず死んでもらうのは流石にどうかと思う。ひょっとして聖人・偉人さんの類かもしれないしね。


ところで信長の歴史を辿ると、1560年の桶狭間から1582年に明智に殺されるまで、約20年かけて日本の中央部を統一している。その前の尾張統一期間も含めれば、もっと長い時間が掛かっている。


信長の後を引き継いで、秀吉が1590年まで約10年かけて日本を統一する。つまり日本統一までには2人合わせて30年以上も掛かったことになる。その後を引き継いだ家康が幕府開いて、公家を含めてこの国の権力を徳川家が完全掌握するのはさらに先だ。家光ぐらいまでかかっていると思う。


長いプロジェクトだね。

信長から秀吉そして家康へと、3人のリレーにより超過酷プロジェクトを達成したとも言える。


場合によっては俺が辿る道かもしれないから、他人事とは全然思えない。こんな超過酷プロジェクトを率いるリーダーにとって、期間が長いことは大きな問題がある。


それは長期間に渡りたくさんの人間を殺しまくらないといけないことだ。


そんな事を長く続ければ、人格的に無理がくるはずだ。人間だからね。精神的にボロボロになるだろう。テキパキ動かない家臣や、命令を守らない家臣には感情を抑えきれなくなるかもしれない。


信長は限界がきたのかもしれないな。


信長を精神的に支えてくれる人はいなかったのかな? いたら良かったのにね。しかし彼と同じぐらい頭の回転が速い人じゃないとダメだからね。なかなかそういう人はいなかっただろうね。


ところで3人の英傑のリレーで、やっとこさ達成した超過酷プロジェクトを俺1人でやるのかな? 

いくらなんでも無理でしょう!


神様! 俺の子供に優秀な転生者が生まれるようにしてくれないかな。やはりバトンタッチできる人がいると気が休まると思うわ。


転生者が無理なら、成長した信長君にバトンタッチできないかな!


そもそも俺は現代人だ。グラスハートなのよ。何十年も大量殺人を続ければ間違いなく精神が崩壊する。絶対、頭が変になるだろう。御免被りたい。


何か良い方法ないかな?


過去の歴史を元に、俺の未来をシミュレーションすると幸せな未来は全く想像できない。心がポッキリとなりそうだ。


やっぱり幼くても信長君は大事だな。どうしようもない奴でない限りは、プラン2を選択したい。成長した信長君に全部丸投げしたい。

丸投げが無理なら一緒にやってもらえるだけでも気が楽になる。


でもね、問題というか心配な事があるのだ。


なんと言ってもあの信長だよ。英傑だよ。普通人の俺が使いこなせるわけないぞ!

「……であるか……」ばっかり返答されて、俺なんかの言う事なんかちっとも聞いてもらえない気がする。


「ならば、その方がやってみよ」とかね。十分言われそう!

俺が下請け的に使われたりしてね。ありうる! ありうる!


いずれにしてもプラン1でいくのかプラン2で行くのか決めないといけない。これ凄く大事。上級忍者調査隊を追加派遣しよう。

徹底調査だ!


しばらくして上級忍者調査隊の報告が上がってくる。

さすが上級忍者調査隊の調査能力は高い。


調べによると、なんと信長君は落馬事故で療養中のようだ。しかも馬から放り出されて頭を強く打ちつけたことで、両目が見えなくなっているらしい。


落馬して直ぐの頃は、本人も周囲もこんなの直ぐ治ると思っていたようだ。

見舞いに来る家臣や、子分にしている次男三男坊たちも楽しそうにバカ話をして帰る。信長君本人も元気いっぱいで応対していたようだ。


やがて落馬事故から2ヶ月が経過する。

ひょっとすると、目は治らないのではと皆が薄々と感じ始める。

人がめったに来なくなる。話す相手もいなくなる。


信長君は部屋に閉じこもることが多くなる。


さらに日が経つと、信長君の目はもう治らないに違いないと周囲が思い始める。そうなると、どこからか信長廃嫡の噂が出て来るようになる。たぶん弟の信行派だろう。


この頃になると信長君のオヤジもまったく顔を見せなくなる。

自分の息子を支えるという気持ちはないようだ。


お家第一なのかな! お母さんの土田御前さんも、それみたことかと積極的に信長廃嫡の噂を流す始末。


しかたない展開だとは思うけどね。あまりの掌返しに本人も心が折れかけていると思う。

人生がうまくいかない時こそ、じっくりと自分に力を蓄えて欲しいところだけど。

まあ俺は部外者だからね。


可哀想ではあるがここはクールに判断しよう。さてどうする? プラン1ならほっとけば良い。プラン2なら助けて恩を売ることになる。

しかし英雄を俺の子分にできるか大いに不安だ。悩むな。


俺は悩んだ末にプラン2。

つまり信長君を助けることにした。






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