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キャラック船2

天文11年(1542年秋)11歳


善右衛門からキャラック船を停泊させる浮き桟橋ができたと連絡をもらう。

俺は道順と保正、藤吉郎、幸隆を連れて浮き桟橋の上に移動する。浮桟橋が大きく揺れまくっている。少し不安になる。


このまま浮桟橋ごと沖に流されないだろうな。いいや、そんな事を考えたらダメだ。TOPとして失格だぞ。部下は信じないとダメだ。俺は信じるぞ。でも怖いものは怖いぞ。

俺はキャラック船の設計図を頭に描き『創造 キャラック船 2隻』と念じる。


キャラック船が2隻とも海にプカプカと浮かんでいる。お〜、成功だ! 豊穣神様ありがとう。


神の力は最高なり。キャラック船の創造に成功したので、船が流されていかないうちに、藤吉郎に大急ぎで志摩衆を呼びに行かせる。志摩衆にはまだスキルは秘密にしている。やっぱり説明が難しいからね。


意外と、神童だからそんなもんかと納得してくれるかな。


志摩衆が喜び勇んで走って来る。猛ダッシュだな。

「乗船してみろ。お前らの船だ。早く乗り込まんと船が沖に流されるぞ。乗り込んだら錨をおろして、隅々まで船の構造を見て回れ」


大勢の志摩衆が小早船を漕いでキャラック船に近づいて行く。小早船からキャラック船のデッキに放り投げたロープを引っ掛けて、どんどん船に乗り込んでいく。海賊だからこのアプローチはお手の物だよな。手際が良いよ。キャラック船の上で、若い志摩衆が小躍りしている。何かこっちまでうれしくなるな。


「この2隻を使って十分に操船訓練をして欲しい。操船に失敗して船が沈んでもかまわん。しかしお前たちの命は大事にするのだぞ。いきなり沖に出て遭難するようなヘマはするなよ」


志摩衆が勇んで食料や水をキャラック船に積み込んで行く。手慣れたものだ。それにしても、俺の言う事を聞いているのか? おもちゃで夢中の子供みたいだ。いきなり遭難されたら、北畠海軍計画がボツになるからな。再度「遭難するなよ! 遭難するなよ!」と、何度も強く言っておいた。


元気の良い九鬼が「殿! この船の名前を教えてください」と、大音量のダミ声で叫んでいる。


「船の名は『第一日本丸』、もう1隻が『第二日本丸』だ。どちらがどっちでも良い。船の帆に大きな文字で、第一日本丸と書いておけ。操船に習熟するのに時間がかかると思う。じっくりと操船練習を繰返してほしい」


「まずは陸が見えるところでの操船訓練にしておけよ。ヨットで練習しているから細かいことは言わないが。無茶はするな。いずれ陸が見えなくても航行できる航海法を教える。大事なことだが、この船の存在は他の大名には秘密にしておきたいからな。これは厳命だぞ!」


その後『操船訓練が十分できたなら大砲を搭載することや。再来年には蝦夷か琉球あたりまで行ってもらうこと』などを色々伝えておいたのだが。

お〜い、聞いているか? おもちゃに夢中か、無駄だな!


でもこの勢いは大事にしたい。なにかをやり遂げるには勢いというものが必須! パッションだよ。パッション! 会社員の時よく言われたな。


「うお〜! うお〜! うお〜!」大歓声が響いている。海賊たちが帆に登ったり、お互いに声を掛けながら船の上を走り回ったりしている。いいね、若いって! 

俺が言うと変な子供だな。


ところで船大工には、まずヨットを模倣することから始めろと指示している。

そのうち造船技術もスキルアップしていくだろう。職人達の話では、ヨットを作れるようになるには最低でも1年は必要という報告を受けている。

まあそんなものだろ。焦らないで良い。


しかし早くから造船要員を育てておかないと、キャラック船のメンテナンスもできないことになってしまうからね。


それに、俺が何でもスキルでやってしまうと、この国の造船技術が発展しないからダメだ。色んな技術分野で、少しずつ機械文明の階段を登ってもらおう。


そういえば遊び用としてウインドサーフィンを作成しておくかな。まあ俺は乗れそうもないけどね。俺は本当に何も出来ないな。

どうなっているのだろ。


ウインドサーフィンは海賊達の息抜きの遊びにいいかもしれない。一応、特殊部隊にも興味があるか聞いておこう。


これで色々持ち駒が増えてきたな。陸軍と海軍が充実しつつある。


陸軍と海軍ありきの戦略も考えないといけないな。もう俺1人で細かいところまで戦略を考えるのは難しいかもね。俺は大方針だけ考えて、勘助と幸隆の頭脳に期待しよう。





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