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内政8

天文11年(1542年春)11歳


次は伊勢の農業を梃入れするぞ。

米は当然作るとして、それ以外に麦と蕎麦を作るのはいつも通りだ。それと綿花だ。

三河の国で綿花栽培に成功しているはずだから、『綿花の種』と『綿花を栽培できる農家さん』をセットでリクルートしよう。


給金弾めば来てくれるはずだ。

オヤジたちに頼んで忍者リクルーターを派遣してもらおう。


オヤジたちには「リクルート対象者を攫ってくるのはダメ! あくまでも自主的に来てくれる人限定にして欲しい」と、何度も念押ししている。

嫌々来られても農業技術の向上は見込めないからね。


単純に三河と伊勢を比較すれば、生活環境は伊勢の方が断然優位だ。それを理解してくれれば、リクルートは成功するに違いない。そのために『三河に比べて伊勢の良いところ』を分かり易く比較できる資料が必要だ。


忍者リクルーターに持たせる農家へのプレゼン資料を用意しないといけないな!

プレゼン資料には何度も役立つマンガを使おう。

『伊勢はこんなところが魅力的だよ』というのをガリ版刷りで作るかな!


最初のページは、旨いものを腹いっぱい食べて幸せそうな家族の絵にしよう!

次ページは、楽しそうに子供が学校で勉強している絵だ!


その次は、税が少なくて皆が幸せそうに笑っている絵だ! 

でもって最後のページは、伊勢の可愛い村娘が総出で「私たち、あなたを待っているわ〜」と、手を振っている絵が良いかな。


移住希望者は正直屋の船でごっそり運んでくれば良い。

綿花が栽培できれば紡績機なんか、至高の匠スキルで簡単に作成できるから綿糸が作れる。綿糸ができれば綿布も作れる。


綿布が作れれば、綿の着物が作れるし、帆船の帆もできる。

それに綿を使って綿入れの服とか綿布団も作れるから冬が寒くなくなる。良い事だらけだ。やっぱり麻の着物だけでは冬が寒いからね。あれは夏の服だ。


染料とかも色々試してみたい。ジーンズなんかもできそうだな。またまた産品が増えるな。儲かるぞ。楽しみだ。


ところで、日の本は自前の銭がないのだよ。

情けないよな。まったく何やっているかな。

自国通貨を輸入するなんてダメでしょ。


魅力的な産品を増やし、正直屋の商売が上手くいくほど、日の本の銭がどんどん俺のところに集まることになるだろう。そうすると、どこかの領国では銭が足らなくなるかもね。

通貨作るのは、俺たちの仕事ではないから知らんことにしておこう!


綿花栽培農家さんが来てくれて、綿花栽培が軌道に乗ってきてからになるけどね!

クロムフォードの水力紡績機なんかをモデルにして紡績工場を試験運用してみるかな。

構造は簡単だからね。


本当は動力を不安定な水力ではなく蒸気機関にしたいところだ。フライホイールにワットの遠心調速機をつければ、安定した回転動力を得られる。

しかしそれも燃料の石炭が手に入ってからだな。


安易に蒸気機関を作ると、燃料の薪が大量消費されてハゲ山だらけになる恐れがある。

石炭は、日本だと露天掘りできそうなのは北海道かな?

この国の技術で坑内掘りは危険だしね。


養蚕もやりたいし、お茶の栽培もしたい。したい、したいだらけだ!

養蚕やお茶農家さんに向けて、忍者リクルーターに持たせるプレゼン資料を作ろう。

オヤジたちに頼んでおけば、任務にぴったりの忍者リクルーターを選んでくれると思う。


もう慣れたものだと思う。それにしてもこんな危険だらけの戦国時代に、どこにでもスイスイ行けて、交渉もできて、リクルートもできて、戦闘もできるなんて本当に忍者は万能だ。どんどん忍者を養成してもらおう。


これから伊勢国の経済発展に向けて色々進めていくことになるが、最高責任者は真田幸隆にしておこう。早くうちのやり方に慣れて欲しいからね。

頭良いから鳥屋尾満栄と協力して何とかしてくれると思う。


真田幸隆はワクワクしている。急に船が現れたり『南蛮と貿易する話』とか『聞いたことのない作物を作る話』とか、普通ではない話が普通に北畠家で語られている。


北畠家はぶっ飛んでいて面白いな! しかも来たばかりの俺に全部任せてくれるなんてあり得んだろ!


信濃の小さな領地でチマチマやっているよりずっと楽しい。殿の治める国はどこまで発展していくのだろうか? 最後まで見てみたいものだ。

それにしても神童といると、とにかく毎日が楽しい。


火縄銃の製造ができるようになったらしい。


鍛冶屋達に焼酎と金一封を贈るとともに、鍛冶屋をまとめる職人に名を与え、黒鉄十兵衛とした。とりあえず500丁を目標に火縄銃を作らせよう。

南蛮からの輸入物だということで正直屋に販売させよう。


『500丁に掛けることの100貫で5万貫』だぞ、笑いが止まらないな。


もちろん100発ぐらい撃ったら、だんだんポンコツになっていく鉄砲にしてもらう予定だ。敵にはポンコツ火縄銃、我軍はライフル銃だ。火縄銃はメンテンナス費用および指導料なんかもバッチリ毟り取ろう。


そのうち『火縄銃なんか役立たず』と、使うのを嫌になってくれればそれも良い。


信長君はまだ9歳か、まだ火縄銃を買ってくれないよな。

彼は将来の上得意さん。それにしても歴史通りの奴なのか忍者調査隊に調べてもらおう。


そういえば、昨年から冨田勢源が北畠家の剣術指南をしている。


俺はさっそく昨年の内に、至高の匠スキルで銃剣やナイフをいろいろ作成しておいた。

ナイフはナックルガード付きナイフなんかも面白そうなので、それも作っておいた。


俺は見本の銃剣とナイフを見せながら「これは見本だけど、軽くて丈夫なやつを自分たちで工夫してみて欲しい」と、チーム村正に丸投げしておいた。


チーム村正が、見本を見ながら面白がってオリジナル銃剣と、オリジナルナイフを試作してくれている。日本刀みたいな片刃になるのかな。薙刀みたいなのができても面白いね。


銃剣術にナイフ術の創意工夫に冨田が夢中になっている。


彼の創造する武術がどう発展するのか楽しみだ。オヤジたちも伊賀流ナイフ術の開発に張り切っている。才能ある冨田に期待したい。


考えてみたら俺はいつも丸投げだな。


でもね。俺はとにかく種まきをたくさんする主義にしている。開発項目が多ければ、特定の開発者にプレッシャーが集中しないですむからね。開発者に過度にプレッシャーを与えてはいけない。


特に戦国時代はね。切腹とか言いだすから。







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