表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/242

内政4

天文10年(1541年秋)10歳


長野業正の所に居候していた真田一族が、ごっそりと俺のところに来てくれることになった。やったね。


真田幸隆は頭が良いと思うから、勘助と同様に軍師だけでなく色々な場面で活躍してくれる事を期待している。


まずは『俺が目指す国づくり』と、『家臣に土地の領有をさせず、役職と仕事に見合った収入を銭で払う仕組み』について理解し、納得してもらおう。

その後は学校とか産品の開発とか港開発とかを見て学んでもらおう。


後はやりながら仕事を覚えてもらおう。

間違っていたら俺が教えるしかないな。前世のOJTだね。

たぶん直ぐに戦力になってくれると思う。


まあそれも直接会って、真田幸隆がどんな人か確かめてからになるかな……


それとね、瑶甫恵瓊ようほ えけい君、後の安国寺恵瓊あんこくじ えけいが安芸国から逃げだすところをスカウトできた。

スカウトというか保護したという感じか。

まだ3歳なので保護者が必要だ。


しばらくは何も気にせず、伊勢で伸び伸びと育ってもらおう。その後は北畠家の外交官となれるよう、幸隆に教育してもらおう。

幸隆の子孫は優秀なのが多いから、きっと優れた教育方法があるにちがいない。

俺も知りたいぞ!


伊賀上野城では、桔梗と桜との祝言が滞りなく終わる。転生して初の結婚式なので少し緊張した。


最初は家族と重臣達だけ参加してもらい、祝言をひっそりとのんびりと楽しくやりたかったのだが、勘助から貴重な外交の機会ですぞと言われる。


え〜、祝言までそうなの……戦国時代はぜんぜん気が休まらないな。

いつになったら気が休まるのでしょうか?


三好家からは、何とあの有名人の松永久秀まつなが ひさひでが、朝倉家からも有名人の朝倉宗滴あさくら そうてきが参加してくれた。


六角家には無視されました。柳生家からは宗厳が参加。

公家は山科のおっさんが参加。お金の匂いに惹きつけられて、無理やり参加しようとする公家もいたが、おっさん以外は全て断った。

きっぱりとね……


三好家や朝倉家とは、少なくとも友好関係を保っておきたいから、こういう機会に少しだけでも親睦を深めておこう。


両家もそういう意味を含め、家臣を祝言に参加させたのだと思う。しかも重臣級を派遣したということは『北畠家とは俺達も仲良くしても良いと思っているよ』という、アピールと受け取っておこう。


宗滴はもう60代半ばの武将だが、この戦国時代では誰もが知っているスーパースターである。その宗滴が俺の前に来て、お祝いを述べてくれている。


スーパースターに祝辞をもらい何かうれしいな。俺は宗滴を通じて朝倉家と親睦を深めておきたいと思う。まずは宗滴に挨拶だ。笑顔が大事!


宗滴に挨拶していたら、宗滴の内臓に初期の癌があることが判る。だんだん俺はスーパードクターになってきているぞ!


「宗滴殿。難敵が体の中にいますね」と話しかける。

「さすが神童殿! 分かりますか?」と、渋い声だ。


「よろしければ、治しましょうか?」

「朝倉家の医師によれば、治療は困難と言われております。治せるのですか?」


手を宗滴の腹に当てる。俺の体から光が出る。宗滴は何と心地の良い光かと思う。ほんの数秒だったが、ずっと浴びていたい気持ちになる。光がなくなった後、宗滴は体から癌がなくなったことを確信する。


重く感じていた体が凄く軽い。


「この御恩! いつか必ずお返しいたします」

「それでは、当家と朝倉家がこれからも仲良くできるように配慮していただければありがたいです」


その後の宗滴さん、体の調子を確かめたかったのだろう、うちの武将達と槍稽古を始める。伝説の武将から稽古をつけてもらえる喜びで、うちの武将達は全員が舞い上がっている。


彼らが我も我もと打ち掛かるものの、10秒以上立っている事ができて、才能ありと言われたのは森可成だけである。さすがだ! 可成君! 君をスカウトして良かったぞ。


翌日も武将たちは飽きもせずに、稽古をつけてもらっている。宗滴さんは人格者で人柄も良い。このまま北畠家に来てくれないかな。その後も宗滴さんは1ヶ月ほど滞在してくれた。


才能ありと認めた森可成だけでなく、希望する武将たち全員に稽古をつけてくれたようだ。1ヶ月でうちの武将の槍術レベルが数段上がったと報告をもらった。中でも森可成の成長が著しいらしい。


槍の達人開眼か!


ところで……

祝言の時には、久秀も俺にお祝いを述べてくれた。当然か……


俺は宗滴の時と同じように、この機会に三好家と親睦を深めておこうと思う。俺から軽い話題を切り出そうとする前に、久秀は卒なくペラペラと自分の話を始める……


俺からの質問は受付不可ということか、面倒くさいな……


好きな焼き物の話とかを話し続ける。

でもね……目が怖いのよ。俺の目を、じ〜と見ている。

心の中まで覗かれている気がした。


結論、この人は友達にしたくありませ〜ん……



まあ俺も笑顔で適当に話を合わせておきましたよ。俺が感じたような事は他の人も感じるだろうね。久秀さんは三好家の家臣たちと仲良くできているのだろうか? 


余計なお世話だが、三好家で上手くやれているのかな? 少し心配になるな。


その後も久秀は、ニコニコしながらも、何か良い情報を聞き出そうと、うちの重臣に酒を注ぎながら情報を集めて回っている。油断ならない奴だ。

そう思うのは俺だけではないはず。うちの重臣に間抜けはいないぞ!


久秀さん仕事熱心だね。長慶さんに何か良い情報を持って帰りたいのだろう。自分を見出してくれた長慶さんに忠義を尽くしているのは判るけどね。

キレキレの人ほど、上手に猫かぶらないとダメだと思うぞ。


柳生宗厳からは、筒井家に臣従したばかりなので今すぐには難しいが、筒井家がどこかの大名といくさになるなどして、うまく縁切できるタイミングがあれば北畠家に仕えても良いと言ってもらった。


でも三好が攻め込むのはずっと先なのだよね。先過ぎて忘れそう。もう冨田さんもいるからね。

もういらないかな。







ここまで、お読みいただきありがとうございます。

初めての作品ですので

あたたかくご支援いただければありがたいです。


励みになりますので

ぜひブックマークや評価などをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ