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伊勢平定の後2

天文9年(1540年秋)9歳


将軍が静かになってくれて良かった……


しかし鶏さん事件以後『百道三蔵はとんでもない餓鬼だ』という、噂が流れている。このまま放置しておけば、タメにならないそうだ。

いったい誰のタメにならないのかな? 


将軍? 幕府? 管領? 

管領の細川ナントカさんが、いろんなところで、タメにならないと言いまくっているらしい。お前のタメにならないだけだろ!


細川ナントカさんは細川晴元だけど、名前も覚える価値はないぞ!


細川ナントカさんがしたいことは、情報操作によるコンセンサス形成だよね!


『礼儀を知らない伊賀の小僧は悪い奴! 周辺の大名皆で、悪いやつの領地に攻め込もうぜ! いえ〜! 誰も文句なんか言わないぜ! 実はね……大名の……さんも、やるってよ! あんたもどう?』と、いったところだろう。


いろんなところに出張って、畿内の大名達に悪い噂を流しまくる。インターネットがないから、自分の足で動いて自分の口で伝えるという訳だ!


コンセンサスの形成を見極める。そして満を持して、将軍からの『御内書』送付だろう。

鬱陶しい奴!そういうリーダーシップいらないからね。

国を豊かにすることに使ってもらいたいぞ!


もっとも幕府は、ずっとこれの繰返しだ。

結果として畿内は度々戦場に。畑は荒らされる。乱暴狼藉はされる。

民にとって良いことなんて全くない。


幕府も大名も昔からやってきていることだから、政治とはそんなものだろという意識だ。

幕府としたら『幕府の言うことを聞かないとこうだぞ!』と、権威も示したいのだろう。


そんなのが幕府の権威の権威でいいのか?


前世の歴史でも、信長君が派手にやられていたな。


個々の大名達も『幕府なんてさ!』と、思っているくせに!

あいつも幕府の言うこと聞いたの? え、こいつも? じゃあ俺もそうしとこう!

……というような感じで、皆が幕府の権威を、少しずつ認めてしまうからダメなのだよ!


小さな流れも集まると大きな流れになるからね!

俺なんか幕府なんて全く認めてないよ。粗大ごみで捨てたいぐらいだ。


そもそも俺は武士ではないしね……もちろん公家でもない……

「お前は何者?」と聞かれれば「忍者の倅だから忍者です!」と、答えるのかな?


しかし忍者の才能はあまりなさそうだ。本人の自覚もあるよ。


忙しいこともあり、忍者と関係ないことばかりやっている。

しかし周囲は、神童はそんなものだろうと納得してくれている。

だから正確には忍者でもないな? 


俺はいったい何者なのでしょう?


まあ良いや! とりあえず鶏の首を送っとくか! 

噂では晴元の奴は身を隠すのが特技らしい。

しかしそんな特技は忍者には役に立たないぞ! 忍者の調査能力を舐めたらアカンよ。


しかし将軍と同じことやってもつまらないから、情報操作返しの方が面白そうだな!

『悪逆非道な管領は、ヘソ噛んで死んでしまえキャンペーン』を洛中だけでなく、畿内の主要な街でやってもみるか!


うちは銭が余っているしね。

手っ取り早く張り紙でもしようかと思ったが、民の識字率が低いのには参る。

伝えたいことが伝わらない。


そうだ文字の読めない民でもマンガは大丈夫なはず。表現力が凄いからね。

マンガを使ったネガティブキャンペーンにしよう。ムフフ……


4コマのマンガで良いよな。


ストーリーは『悪辣な将軍と管領が私腹を肥やす。そのために大名や寺社と公家を騙して無意味ないくさを繰返している。多くの民が死に、焼き出された子供が泣いている。悪辣な将軍と管領に神様が怒っている』という感じにしよう。


まあストーリー的には真実に近いけどね。


俺はガリ版刷りを『至高の匠スキル』で50台ほど創造する。

前世で売れていたマンガを思い出しながら、俺の頭で空想するマンガのシーンを、至高の匠スキルで、ガリ版印刷用の原稿を作る。


伊賀の手の空いた奥さんとか子供連中に、ガリ版印刷を使ってどんどん印刷させ、忍び撹乱隊に京を含む畿内の主要な街にベタベタ貼らせることにしよう。


効果は抜群だ!


民の非難の矛先は幕府だけでなく、幕府に騙されていると描かれた寺社や公家にも向かっている。

どうも民が一揆を起こしそうなぐらい頭にきているらしい……


マンガは分かり易いからね。

もちろん忍び撹乱隊にも「皆の衆、これで良いのか? 将軍と管領は本当に酷いやつだぞ!神様が怒ると飢饉になるぞ!」と、いろいろな村や街で噂を流しまくってもらっている。


大名、寺社、公家から、幕府に多くのクレームが届いているらしい。ちなみに、この張り紙は晴元嫌いの三好家中では大ウケだったそうだ。


俺のネガティブキャンペーンを潰してやったぞ!

情報操作は忍者の得意分野だ!

しかも俺はお金持ち忍者だから、活動資金はいくらでもあるぞ!


それにしても、ガリ版印刷のマンガも商売に使えそうだな。

マンガは日本人のお家芸だから、いくつか見本を作れば職人がうまく描いてくれるようになるのじゃないか!


文字の読めない人に、マンガは情報伝達手段として有効そうだし、酒樽のラベルにして貼り付けても、売上が伸びそうだ。

酒の販促に使えるぞ!


しかし着実コツコツお金になりそうなのはマンガ絵本かな?

伊賀に流民で流れてきている奴の中で、器用に絵を描ける奴を優先的にマンガ作家に採用しよう。

また印刷作業は足とか手とか怪我してしまった流民とかの仕事にすればいいな。


情報操作みたいな奇襲攻撃も良いけど、正統派の外交活動も大事だな。

さすがに俺の周りが全部敵とかは危険だ。


勘助によれば、三好家か朝倉家と組むのが外交的に良いらしい。三好には三好長慶みよし ながよしが、朝倉には朝倉宗滴あさくら そうてきがいる。

個人的には一時期は覇王と呼ばれる長慶さんに会ってみたいな……


しばらくは内政と外交だな。








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