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伊勢平定

天文9年(1540年夏)9歳


伊賀軍3000人が伊勢に到着する。


勘助の指示で、田丸城や松坂城や木造城の占領が次々行われている。北畠一族および主な一門衆も全員死んでいるし、城の接収もスムーズに行われていくだろう。


いくさに関する報告は、俺がいる上野城まで随時届けられる。忍者速達便! これは本当に便利だ。


伊賀軍勝利の報告に、俺の家族達や城に残っている文官、武官達も大喜びだ。


伊賀の村人たちにも伊賀軍の勝利を伝えて安心させるとともに、とりあえず城内の主だった者だけでささやかなお祝いを行う。この勝利により近隣のヤクザ大名も、簡単には伊賀に手を出せなくなったと思う。


いくさは終わったが、今回の敵である北畠家は、なぜいくさに負けたのか、北畠家の問題点について考えている。


次のいくさにも、今後の内政にもフィードバックしないといけないからね。何といっても前世では俺はタダの研究者であり、政治家でも経営者でもないから学ばないとね。


忍びの調査報告から北畠家の問題点を考察だ。


長年に渡り北畠家の評定は、当主である晴具のプランに対して、家臣はひたすら黙って頷くスタイルだったのではないか。そういったスタイルが長年続けば、家臣たちは黙っていれば良いわけで、自分の頭で考える必要がなくなるだろう。


結果として、人材が育ってこなかったはずだ。自分に求められる機能が戦闘力だけとなれば、剣術や槍術だけ鍛えておけば良いことになる。


今回のいくさにおいて、当主は序盤戦において、慎重に敵の出方や兵力を確かめる必要があった。しかし敵を侮った事で『いきなり総攻撃』という誤った判断をした。


家臣達は当主の命に生命を賭けることが忠義と考えているから、黙って当主の命令に従うだろう。


本来は間違った当主の判断に対しては、家臣は諫言するべきだった。もちろん、そうされていたら伊賀軍が苦戦したのだが。


さらに言えば『伊賀軍の兵力や、率いる武将の力量』を、いくさに及ぶ前に調査しておくべきだ。調査しておけば少なくとも伊賀軍の危険さと、それに対する対応策を検討することができる。


良く検討すれば、『兵や武将がいくさ慣れしていない』という弱点をつかめたはずだ。俺ならその弱点を突く。


もっとも、手駒にしていた忍者がいなくなった北畠家では無理かな。しかし甲賀に依頼するという手もあったはず。いずれにしても敵のことを調べないで攻め込むのは間違いだ。敵を知り……と孫氏にも書いてあるはず。


『多くの忍びを活用し、敵軍のことを調べる。自軍のことは調べさせない』が、伊賀国のアドバンテージのようだな。今後も大いに活用すべきだ。


『北畠家では家臣が育たなかった』と言う欠点はどうだろうか。


当主にあらゆる情報が集まり、当主がその情報を的確に理解・判断・処理できる能力があれば、家臣がポンコツでも問題ない。

しかし国という大きな組織を運営するとなると、仕事の処理量からいって当主がすべて仕切るのは無理だ。


そんな組織で今まで良く国を回してきたものだと思う。

土地の調整ごとなどは、その場の気分で適当に処理してきたのだろう。当然、国を豊かにする産品の開発もしてないだろう。何も考えず昔ながらに米だけを作らせてきたのだろうな。


お金を産まない家臣が増えるほど、当然財政は苦しくなるはず。苦しくなると、当然のように年貢の税率を上げたのだろうな。


統治能力ゼロではないか。

伊勢の民はたまったものではなかっただろう。


家臣に塚原何とかさんから剣術習わせて喜んでいる場合ではなかったと思うぞ。いくさでは、剣術なんて鉄砲でズドンすれば終わりなのだよ。いくさのやり方は、常に変わっていくのだよ。


というか新しい技術を取り入れないと兵は強くならない。新しい技術を取り入れれば当然戦いくさのやり方も代わる。武将には、新しい技術を受け入れる柔軟性を持たせないといけない。意識改革が必要だ。


結局内政も軍事も常に努力し、進化発展させていかないとダメだ。

そのためには、自分で考え、いろんな事にチャレンジできる家臣、考え方の異なる色々なタイプの家臣が必要だ。そうでなければ、富国強兵は無理だ。


ちなみに俺はというと、忙しいのもあるが、家臣に仕事をバンバン丸投げしているな。もちろん進捗状況のチェックはしているけど。偶然だが家臣たちの人材育成には貢献しているかもね。学校も作っているし。良いように解釈しておこう。


しかし領地が増えると、またまた人手不足になるな。学校で文官教育をしてきた子供達に、そろそろ戦力になってもらおう。凄く期待している。とにかくまずは文官を早く補充しないと俺が疲れ果てる……


とりあえず北畠家領の土地に関する調整ごとはオヤジたちにやってもらう。これは経験がいるし、年取っている方が良いからね。3人もいるのだから、大丈夫でしょ。


その他の北畠家領の内政は、俺が指示しながら文官教育で育った子供達で回そう。伊勢神宮とかとの調整は後回しにする。面倒そうだからね。困ったら何か言ってくるでしょ。


「伊勢をよろしく頼みます。特に土地に関する調整ごとね。その他は学校で文官教育をしてきた子供達で伊勢を回せるようするから。土地に関する調整ごとも、その子供たちを教育すれば楽になるはずだよ」と、明るくオヤジたちにお願いした。


「なんじゃそりゃ。絶対嫌だぞ。俺達には無理! 無理!」と、オヤジたち拒否してきた。


「霧山城をあげるから、忍者の修練場でも何にでも改造して良いよ」と、言ったら凄くニコニコしている。あんな山城、何に使ってもらっても結構だ。

霧山城なんて凄い山城。俺に認識としては、何の役にも立たない城だ。北畠は何でそんな城作ったのだろう。何がしたかったのかな?


とりあえず、しばらくは伊勢を回していけるはずだ。






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