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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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北畠家の使者2

天文8年(1539年秋)8歳


俺が北畠家の使者にどう対応しようかと考えていたら。

オヤジ達がやって来て「使者は服部石見守が対応する」という。


どうしようもない奴らが来るからだというのがその理由だ。


北畠家のどうしようもない奴らが、どの程度なのか興味があるな。

伊賀と北畠家の関係をもっと知りたい。

オヤジが北畠家の仕事をしていた頃の話を聞いてみた。


オヤジが「嫌な話だぞ。しかしお前は知っておけ」と、昔話をし始める。


「仕事の依頼で俺を呼び出すのは、いつも下っ端の家臣だ。しかも仕事の説明は城ではなく城下の寺だ。忍者は下賤なる者として、俺ですら城には入れてはくれないのだ」


「あまり思い出したく話をしてやる。あの日は雨が降っていたな。俺は寺の軒先の地面に座らされていた。ずぶ濡れだぞ。奴らは寺の部屋の中で酒でも飲んでいるのか談笑している。雨の中、半刻以上も待たされた後で、一方的に仕事の内容を告げられた」


「障子が少し開き、俺に向かって銭を投げてきやがった。下っ端家臣の野郎から、「拾え、報酬だ。忍びなどと話をするのも汚らわしい。銭を拾ったらさっさと去れ」という言葉を浴びせられる。殺してやろうかと思ったが。伊賀衆のため、心を殺して銭をかき集めた」


「どうだ、嫌な話だろう。しかしこれが北畠家と伊賀の関係なのだ。そして伊賀に来た使者は、どうもその時の奴のようなのだ」


「三蔵、忍びと大名家との関係はどこもそんなもんだ。忍びが人として扱われることはないのだ」と、服部オヤジ。


「だからおまえが伊賀を変えたいと言ってくれた時、俺たちはお前に伊賀の命運を賭けようと思ったのだ」と、藤林オヤジ。


使者に来ているのは、やはりオヤジに銭を投げて渡した武士たちだとのことだ。使者は3名だ。案内した部屋の奥に偉そうに1人が座り。その前に2人が座っている。


丁寧な対応をしている服部のオヤジを見下しながら「当主の三蔵とかいう小僧はいないのか?」と、切り出す。


「本日は体調を崩しており、私が代わりに要件をお伺いいたします」


使者は「三蔵は伊賀守とか名乗っておるらしいが、どうせ詐称であろうが」と、大声で笑う。


「要件をお伺いしてよろしいでしょうか?」と服部オヤジは冷静な対応だ。


こいつら偉そうだな!

襖の向こうで聞いていたが。使者を始末しろと命じそうになった!


その後も、使者は言いたい放題だ。


「お前らクソ忍びなんか、さっさと北畠家に臣従しとけや! 下っ端の更に下の家臣として扱き使ってやるぞ。ありがたく思え」


「当主の三蔵だけは、武士扱いしてやっても良いぞ」


「お前ら銭の使い方も知らないのか? 学校を作ってどうするつもりだ! 民なんか、米だけ作らせておけば良いのだ。忍びは、そんなことも知らないのか?」


「所詮お前らでは、国を治めることなんかできる訳ないだろうな」


「無駄なことに使う銭があるなら。北畠家がありがたく貰ってやるぞ」


……クドクド、ネチネチと話は続く。長いので省略だ……


要約すれば……


最近金回りが良さそうじゃないか。殺されたくなかったら金を寄越せというところだな。

これってヤクザだろ……


ホント怖いわ、戦国時代!


こりゃ。返答次第で直ぐにでも攻め込まれそうだな。


「御使者様の意向は承知いたしました。しかし意見をまとめるのに時間がかかります。来年の春までお待ちいただけないでしょうか? この通り、伏してお願い申し上げます」と、服部のオヤジが土下座して、頭スリスリをしてくれている。


使者の奴らは満足げに頷いている。了承したということだな。

服部のオヤジ! 偉い! 忍耐力に尊敬する!


服部オヤジのおかげで少し時間が稼げた。この時間がありがたい。

よっしゃ。いくさの準備だ。やるとなったら俺はやる。頭にきたしね。


どうせ農民兵で攻めてくるのだろ。常備兵の怖さを思い知らせてやろうじゃないの!

銭さえ用意すれば1年中でも戦えるのだよ。


伊賀は金持ち、銭は腐るほどあるぞ。


ところで常備兵で思い出したけど信長君まだ6歳ぐらいかな。きっと部屋住みの子分達を大勢引き連れて、城下町で元気に大暴れしている頃かな。見てみたいね!


とにかく情報集めが必要だ! 周りの大名たちの軍備、武将の能力や癖、経済状況何でもかんでもだ。


調べた結果……


伊賀に攻め込んで来そうなヤクザ大名は北畠家だけだった。

畿内の大名は六角家を始め、細川と将軍のアホなコンビに振り回されて、それどころじゃないようだ。

両面作戦は苦しいからね。良かったわ……


サンキュウ。アホなコンビさん。

役に立つこともあるのだね。




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