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山科言継1

天文8年(1539年夏)8歳


上野城の建設が進んでいる。

城ができるまで、とりあえず外堀の内側に建てた仮住まい屋敷に住む。

仮の屋敷といえども今まで住んでいた百道屋敷の数倍ある。

ボロかったからな……比較にならんくらい立派だ……


もちろん俺の家族と婚約中の桔梗や桜も一緒に住んでいるよ。


桔梗と桜は読み書きの練習が始まっているが、俺は追加で計算も覚えてもらっている。

教師は俺がやっている。もちろん『楽しみながら学ぼうね』を意識して楽しくやっているよ。


いずれ妻達には内政の手伝いをしてもらうつもりなので、計算だけでなく簿記も覚えてもらうつもりだ。できれば計算だけでなく数学というところまで到達してほしい。


英才教育するけど、無理はさせない。為せば成る。俺が留守の時に内政を見てもらえるようならないかな!


勘助が俺の部屋にやってきた。


「殿。今後のことを考えると伊賀を治める正当性があった方が良いと思います。幕府から伊賀の守護職を貰うか、朝廷より伊賀守を貰っておくのが良いかと思います」


「権威も武力もないアホ幕府に守護を貰っても仕方ない。朝廷より伊賀守を貰う方が良いと思う。だが伊賀守はどうすれば貰えるのだ。」


勘助によれば、伊賀国のランクは下国扱いなので官位は従6位下で良いらしい。従5位以上が昇殿を許される身分なのであまり高い身分でもないそうだ。


だけど俺は公家でも武家でもない、忍者の倅なのだが。大丈夫か? 官位とか貰えるのかな? しかし勘助が言うには朝廷は万事金次第だそうだ。


本当か? 

そうだとしても官位の交渉をするには朝廷との伝手がいるぞ。どうするかな?


勘助とそんな話をしている時、下女が来客を知らせにくる。前世で見ていた時代劇だとこういう時は、小姓がスタスタと走って来て「殿、来客が」という感じなんだけどな。


やっぱり小姓いた方が良いかな。そういえばいいのがいるぞ。森さんとこの子供の蘭丸君。あ〜。ダメか。まだ生まれてないよ。


そうだ藤林保正君にお願いしよう。


空想遊びをしていると来客がどんどんこちらに来る。

なんだ……勝手にどんどん…… 

曲者か? 勘助とともに刀に手をかける。


当たり前のように部屋に入ってきたのは、山科言継やましな ときつぐという公家である。


こいつ、勝手に人の部屋に入ってきて当たり前のように俺の上座に座っているのだが。

公家ってこんな感じの生き物なのか? 


現代人である俺は、この時代の人のように公家を敬う気持ちは全くない。だからこそ、その異質ぶりが目に付く……


何かの生き物が、俺の眼の前で勿体ぶって長々話している。

そんな感じだ。もちろん勝手に話し始めているわけだが。要は後奈良天皇のために全国を回って有力大名から献金を集めているという話をしているようだ。

話が長いな……


少しムッとくる。

ここは大人になって……

でも……俺は子供なのだけど……


「それで本日はいかなる御用向きで」と、話を急かすように尋ねる。

「伊賀国が豊かになったと聞いての……ホホホ……ホホホ」


おっさん……沈黙……


おっさん。もしもし? 

なんか喋れよ。


固まっている……フリーズか……壊れたか? 

叩いてみるか?


このおっさん、動かないし、ずっと黙っているのだが……

何しに来たの? 

何がしたいの? 


……シーン……生きていますか……


俺は何か眠くなってきた。横になって寝てもいいかな。



ここまで、お読みいただきありがとうございます。

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