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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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ポルトガル奪還3

……ジョアン3世……


何だ? あれは! たった3隻が、あっという間に敵艦隊10隻を沈めてしまったではないか!


しかも、そのままポルトガル艦隊30隻の方に向かっていったぞ。3隻が30隻の艦隊を助けようというのか! しかも速い! 3隻が、イスパニア艦隊20隻の進路を塞ぐ形で船舷を横に向けたぞ。


さっきと同じだ。イスパニア艦隊が次々沈められていく。


何なのだ……日本の艦は! イスパニアとポルトガルは……ヨーロッパでは抜きん出た海軍強国なのだぞ。日本艦隊にまるで歯が立たないではないか。


そして……この城だ! 


日本の砲撃で城は穴だらけだ! 海軍力も陸軍力も我らは遠く及ばない! とにかくエステヴァンに、これまでの経緯と日本との関係について詳しく説明させなければ! 日本と、いったいどう付き合えばいいのか判断がつかないではないか。


戦闘が一段落したのだろう。

日本の艦隊とポルトガルの艦隊が、港に向かって来ている。


「エステヴァン! これまでの経緯を詳しく説明してくれ」


エステヴァンが詳しく説明を始める。

マリアを庇護してくれた話。ブラジルに去っていく貴族たちにも補給をしてくれた話。王として親として感謝に堪えない話だ。


さらに説明が続く。


エステヴァンの兵をポルトガル解放軍として訓練し、散弾銃という連発銃を供与してくれた話。ガレオン船を改造してくれた話。東南アジアだけでなく、アメリカ大陸も手中にしようとしている話。インド領の話。オスマン帝国と同盟を結んだ話が続いていく。


それらどの話も驚愕だ! にわかには信じられない。だが、エステヴァンが嘘を理由もない。


エステヴァンによると、日本の信じられない強さを支えているのは豊穣神という神様の加護だという。3隻の日本艦隊に乗っている玄武という男は、豊穣神様の使いだという。


信じがたい話だが、目の前の事実が真実だと証明している。日本軍の強さは尋常ではない。私はキリスト教徒だが、キリスト様の加護により、そのような力を持った者がいたという話は聞いたことがない。


しかしだ……マリアが自らの意思で玄武の妻になったという。ということは……ポルトガルは異国の男のものとなるではないか! それでいいのか? 王としての判断はどうすべきなのだ?


「エステヴァンよ! そなたは私の臣下か? マリアあるいは玄武の臣下か?」

「それはどういう意味でしょうか?」


「ポルトガル国を、日本に明け渡していいのだろうか? 王として、どう判断すべきなのだろうか? 済まんが考えがまとまらない! 少し考える時間をくれ」


考えがまとまるまで、エステヴァンが待ってくれているようだ。

まずは、王として冷静に考えなくてはならないのだ。


現状はどうだ。

ポルトガルを明け渡すも何も、既に我が国はイスパニアに占領されているではないか! どこの国の人間が、この国の王になるべきかを私は悩んでいるのだろうか……良く分からなくなってきた。王とは何なのだ?


分からない!

考えるためのヒントをもらいたくなり、エステヴァンの方を見る。


「王を救い出し、イスパニアに占領されたポルトガルを助けようとして下さっているのは玄武様なのです。しかもマリア様の夫でもあります。日本とポルトガルが協力し、ヨーロッパや新大陸で勢力を伸ばすことを考えるべきだと思います」


「確かにそうだ! しかし頭の中の整理がつかない……もう少し待ってくれ」

「最初は私も頭が混乱しました。お察し致します。熟慮していただき、王の賢明な判断をお願いします」


「エステヴァンも混乱したか! そうか。そうか。少し安心したぞ」


兵が走って来る。慌てているようだ!

「エステヴァン様! 教会の大司教様がいらっしゃいました」

「王様! いかがしますか?」


「ここに来てもらえ!」

再び兵が走っていく。


しばらくして、大司教が4人の司祭を連れてやってくる。


「ジョアン3世様! ご無事で何よりでした。王宮がイスパニア軍に占領されたと聞いて心配しておりましたぞ。我らは、再々に渡りフェリペ2世様に、ジョアン3世様の助命と釈放をお願いしておりました」


「そうか。感謝する」

どうせ何もしてはいないだろう。それに大司教の奴、私のことを王とは言わなかったな!


「ところで、異国の船がイスパニアを相手に暴れておると聞きました。そのままにされるおつもりでしょうか?」

「どういう意味だ!」


「カトリックの国を異教徒に明け渡すおつもりなのですか!」


こいつら! 私が牢に入れられていた時には何もしなかったくせに!

教会にとってはイスパニアだろうがポルトガルだろうが、教皇の下に存在する国や王など、さらにはどこの国がどこを侵略しようがどうでもいいのだ。


教会に対して、何とも言えない怒りが込み上げてくる。


「ジョアン3世様、あの異国の船の代表をこの宮殿に呼び、隙を見て捕らえていただけませんか。そうすれば、あの異教徒の船も武器も手に入ります。教皇様もさぞお喜びになることでしょう」


ポルトガル国の王が、なぜこんな教会の司教ごときに指図されないといけないのだ!


「ところで教会には、神の加護を受けた者はいるのか?」


「ホホホ……神は簡単に加護の力など与えません。神のそのようなことを望むのは不敬ですぞ。そのようなことでは、あなたの魂は天国に迎え入れられませんぞ!」


「過去の長い歴史の中に、加護を受けた者は1人もいなかったということなのか?」

「教会を否定されるおつもりなのですね! このことは教皇様に報告させていただきます!」


「教会の歴史について尋ねただけだろ! いったい何が悪いというのだ?」

「現在、この国はイスパニアの国であり。既にあなたは王ではありません! あなた自身の立場をお分かりではないのですか!」


「帰ってくれ!」

「我ら教会の意見を無視されたということですな! 教会は、あなたを破門にすると思いますよ」


大司教たちが、苛立った表情で去っていく。

彼らから舌打ちも聞こえてくる。


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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