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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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フェリペ2世

「大執政官様は、豊穣神様から加護を頂く代わりに『この世界からいくさをなくし、民を幸せにする』という約束をされたそうです」


「それで、奴隷制度に反対されているのですね! 神様から加護を頂くとは素晴らしいですね! この宮殿の片隅でかまいません。私が住むことを許可していただけないでしょうか。大執政官様が、この先どうされるのか見届けたいです」


「それにしても、ポルトガルもイスパニアも、いやヨーロッパの国々も神様の使いを相手に戦っても、勝てるはずがありませんわね」


「大執政官様は、ヨーロッパの国々に日本の力を認めさせた後は、戦争ではなく外交によって和平条約を結びたいとお考えです。そのためには、ヨーロッパの国々が奴隷制度を廃止してもらうといいのですが……」


「奴隷制度を廃止するのはなかなか難しいでしょう。一緒の船でやってきた親しい貴族たちでさえ、奴隷制度廃止に賛同できずに去っていっていきました! ただしヨーロッパの国々の中でも、奴隷制度廃止を求める人たちの数が、少しずつですが増えていっていると思います。その人たちと、連携・協力していく必要があると思います」


「大執政官様ともその話をしたことがあります。大執政官様は『奴隷制度に反対する人たちだけが集まり、先住民を仲間として新しい国を作ってはどうか』と言われていました。その場所はアメリカ大陸となります」


「大執政官様のお考えは大きいですね。人の視点ではありませんね!」

「いろいろ話し込んでしまいましたが。朝食にいたしましょう」



……イスパニア国王 カルロス1世……


「フェリペ2世様が来られました」

ポルトガル侵攻の報告だな。


「謁見の間に通せ!」

「王様! ポルトガル侵攻の報告に参りました」


「説明を頼む!


「ジョアン3世は捕らえて牢に入れております。マヌエル王太子は激しく抵抗したので打ち取りました。マリア王女は、残念ながら海外に逃げられてしまいました。しかしこれで、ポルトガルが持つ艦隊と海外の領地が手に入りました。メキシコで失ったもの以上が取り返せたのではないでしょうか」


「良くやった。私は本日をもって引退することを決めた。式典などは適当に行え。今後は王権をその方に譲る。だが! 日本を絶対に許すな! 退治せよ! 良いな」

「謹んで王位を引き継がせていただきます」


この日からイスパニアの王はフェリペ2世が引き継ぐのである。


「フェリペ2世王よ! ポルトガルが落ち着きしだい、手に入れたポルトガル艦隊を引き連れてメキシコに侵攻せよ。私からの最後の命令だ! 頼んだぞ」


「すぐに準備にかかります。今後はお心を安らかにお過ごしください」

「頼むぞ! 私は修道院に入り。神のもとで安らかに過ごさせてもらう」



……インカ帝国 グアナ……


パナマの占領はあっという間に終わった。イスパニア兵が数百人程度はいたが、何といっても武器が違う! 制圧に5日とはかからなかった。早く終わったから、そのままリマク(リマ)の近くまで蝦夷丸で運んでもらった。


お陰で、ビルカバンバで抵抗を続けていたインカ帝国の皇帝マンコ・インカ・ユパンキとも連絡を取ることができたのだ。皇帝は、アステカ帝国がイスパニアから解放されたこと聞き大喜びしていた!


当然、我らはビルカバンバで大歓迎を受けたのだ。


ペルー副王メルチョール・ブラーボ・デ・サラサールは、リマク(リマ)の城に籠もっている。我らにとって不利な城攻めなど、やってやるつもりはない。いつものように、挑発し怒らせ、兵を森に誘い込みゲリラ戦に持ち込めばいいのだ。


我らの必勝法だ。


いくさだが、3000人のイスパニア兵とイスパニアに寝返った旧インカ帝国兵2000人が相手だった。しかし全く敵ではなかった。何といってもシンチが張り切っていた! 皇帝に感謝されると、シンチは思わず泣いていたからな。


もはや、インカ帝国に残るイスパニア兵は少数だ。イスパニア兵の掃討戦はビルカバンバのインカ帝国兵に任せればいいだろう。


それにしても我らの奴隷解放組織インティの兵士も随分増えたな。志願する者も絶えることがない。皆がイスパニアを憎んでいるのだ。今では兵士が7000人になっている。インティという名前は、日本の国旗の赤丸が太陽だということで名付けた。なかなか良い名前だと思う。


次はどこに行こうかな。どこに行っても、解放した民から猛烈に感謝されるのでやりがいがある。


インカ帝国の皇帝に、奴隷解放組織インティは豊穣神様の加護を受けているため、未だに無敵なのだという説明をした。皇帝は驚き豊穣神様に大変興味を持ってくれた。


さらに、豊穣神様の加護は武力だけでなく、ビルエラ(痘瘡)に罹らない薬を作れるのだという説明を加えておいた。その話を聞き終わるや否や『インカ帝国は豊穣神様を信仰する』と皇帝が言い始めた。王の側近たちも同じ反応だ。


その気持は十分に分かる! キスケーヤ(ドミニカ共和国)で信仰していた神なんて、どんなに祈っても何もしてくれなかったからな! 同じ気持ちだ! この調子だとアメリカ大陸に住む者は、豊穣神様を全員が信仰することになるだろう。



……イスパニア国王 フェリペ2世……


パナマ総督フアン・デ・ラレーチャからの連絡が途絶えたままだ。またペルー副王メルチョール・ブラーボ・デ・サラサールからも連絡がない。どういうことだ。まさか、日本はペルーにも手を出したというのか?


日本の野郎! どこまで勝手放題やってくれるのだ! イスパニアを何だと思っている! 我が国に逆らった国の末路がどうなるか! 必ず思い知らせてやるからな!

日本という国を、この世から消し去ってやるからな!


「フェルナンド・アルバレス・デ・トレドを呼んでくれ!」


フェリペ2世が信頼する将がやってくる。


「メキシコに居座る日本を潰すぞ! イスパニアとポルトガルで出せる限り全ての戦闘艦を動員して、ベルクルス港を落とせ! そして、そのままメキシコシティを取り返すのだ」


「承知しました。直ぐに準備を始めます」

「奴らは、パナマやペルーにも手を出しているようなのだ。放っておけばアメリカ大陸にイスパニアの領地がなくなってしまう! 頼んだぞ」


「必ずや、奴らの息の根を止めてきます」


私の最も信頼する将だ。必ずやってくれるだろう。


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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