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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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ポルトガル王女2

「受け入れていただくのです。こちらが条件を要望する立場ではありません!」


「こうするのはどうだ。先程の条件に賛同する者は受け入れる。賛同できない者が乗り込むガレオン船には補給をしよう。苦しい旅にはなるが、ブラジル辺りまでなら、ギリギリ行けるのではないか?」


「本当にありがとうございます。賛同できない者が乗り込むガレオン船は1隻で十分だと思います。貴族たちとその家臣たちは賛同しないだろうと思います」


「王女よ! 無理をする必要はないぞ。何なら5隻全てに補給しても良いのだぞ」

「いえ! 私自身が奴隷制に反対だったので、私の周りで働いていた者たちは同じ考えの者が多いです」


「話がまとまってきたな。ガレオン船5隻は港の桟橋に停泊させて構わない。補給は1隻のみ行う」


「この地で暮らしたい者は船を降りて要塞に移動してもらおう。もちろん安全のため武器は没収する。要塞で休養を取った後、なるべく希望する仕事につけるように割り振る。皆が希望するところに移動し終わるまでは、王女には城にいてもらう。その後は、王女の自由にして構わない。相談には乗ろう」


「以上のようなことで問題はないか?」

「ハイ、ありがとうございます」


「側近の方もそれで良いかな」

「もちろんです。私は王女様のお考えに従うのみです」


「ではいったん船に戻り、交渉結果を待っている人たちに報告してあげてください」

「ありがとうございました。600人を代表してお礼を述べさせていただきます」


王女と側近が頭を下げ、ガレオン船に戻って行く。


やがて5隻のガレオン船が桟橋に移動して来る。約束通り、ガレオン船1隻には補給を始まる。我が国に入国する者は500人になるようだ。


王女とその侍女らしき者2名が王宮にやって来る。俺と護衛が、彼女たちを宿泊ための部屋に案内する。俺は王女との別れ際に王女に話しかける。


「王女はフランス語を話せるかな?」

「ハイ、話すことができます」


「あなたに引き合わせたいフランスの女性がいるのだ。明日、朝食を一緒に取るといい。長い船旅の後だ。入浴と着替えの用意もさせている。使っているお湯は清潔な水だから安心していいぞ。疲れただろうから今日はゆっくりと休むがいい」


フランスの女性と聞いて、マリアが不思議な顔をしている。

『なぜこの宮殿にフランスの女性が……日本とフランスは繋がっているのだろうか』とマリアは考えているのだろう。


「分かりました。よろしくお願いします」


余裕がなかったから気にしなかったのだけど……私……臭うのかしら? 侍女に聞いてみなくては! 王女が臭う訳にはいかないわ。


話をせよと言われたということは、明日は大事な話があるに違いないわね。まだまだ気を抜けないわ。今夜はゆっくりと寝ておかないとダメね。入浴もしておきましょう。


翌朝……サラとマリアは朝食を共にしている。

天気がいいので、テラスにテーブルを準備しての食事だ。時々吹く海風が心地良い!

食事は新鮮な果物に紅茶とパンだ。


引き合わせたいフランスの女性というのは、美人で知的な方だ。日本という国は謎が多いわ。なぜフランスなの? これからいろいろ教えてもらえるのかしらね。ところで入浴したから臭くなくなっていると思うのだけど……あれから気になっているのよね。


ところで、テーブルに置かれたティーカップ……透明に近い白い色ね。絵柄も素晴らしい。リスボンの王宮で使っていたものが野暮ったく思えるわね。日本は、なぜこういうものを作れるのかしら! ますます気になるわ。


「私の名前はサラ! フランス王の親族になります。そして現在は大執政官様の妻です」


「なぜ……フランスの王族が日本に? 日本とフランスは密かに同盟を結んでいるのでしょうか?」

「気になりますよね。説明は、このお茶を飲んでからにしましょう」


サラ様が、ティーポットから紅茶を注いでくれた。何といい香りなのでしょう。こんな飲み物は飲んだことがないわ。フルーツとの相性もいいわ。パンも美味しそう。

……そんなことよりも話を聞かなくては!


サラは、これまでの経緯を説明してくれた。マリアはその話に、食事も忘れて聞き入っている。


「なるほど……大執政官様は、神様の加護を持つお方なのですね?」

「加護を受けている神様は、キリスト様ではありませんよ。豊穣神様といいます」


「日本の優れた武器や船は、豊穣神様の加護の力なのですか?」

「その通りです。でなければ、海軍強国であるポルトガルとイスパニアの2国を敵に回して勝つのは難しいですね」


「豊穣神様とは、いくさの神様なのですか?」

「いいえ、その名の通り作物の豊穣をもたらす神様です。私はこの目で神様の奇跡を体験しました。北の痩せた大地が豊穣の大地に変わったのです。素晴らしかったですよ!」


「何と! 素晴らしい神様なのですね! 神の加護により痩せた大地が豊穣の大地に変わったという話は、ポルトガルでも聞いたことがありません。そんなことがあるのですね」


「フランスでもそうですよ。だから驚き感動しました。豊穣神様の加護はそれだけに留まりません。日本では、何とラ・ペステ・ネグラ(黒死病)ビルエラ(痘瘡)の薬も作れるのです。日本はメキシコの先住民たちには、ビルエラ(痘瘡)に罹らない薬を、日本の医師に無償で接種しているのですよ。先住民たちは、自らの意志で豊穣神様の信徒になったそうです」


「何と! ラ・ペステ・ネグラ(黒死病)の薬があるのですか? 素晴らしいです! 素晴らし過ぎます! 大執政官様は豊穣神様の使いなのですね」


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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