これからどうする2
俺の艦隊はベラクルス港に到着した。
さすがに短い休養を取る。海兵も休ませないとね。
次は、北アメリカ大陸の近くのマドレ湖に港を作らないといけないのだ。早くしないと……気が急くな。
海兵の休養も終わり、蝦夷丸の補給も終わったようだ。
北に向かい約700kmの航海に出発だ。
マドレ湖に到着したので、至高の匠スキルで石炭の搬出港と防衛要塞を急いで作っていく。今後の石炭運搬ルートは、サビナス鉱山からマドレ港までは馬車、そこからベルクルス港まではガレオン船になるな。船の方が量を運べるからな。
ガレオン船は、イスパニアから鹵獲した船から6隻を使えばいい。ベルクルス港に集積した石炭は、アルバラド港、スペリオール港、クバオ、キスケーヤに、同じく鹵獲した4隻のガレオン船で順次運搬させることにしよう。
鹵獲した残り3隻のガレオン船は、正直屋の交易に活用させれよう。
俺は本当に良く働いているぞ!
偉いぞ、俺! 誰も褒めてくれないから、自分で自分を褒めておこう。
天文22年(1553年春)22歳
俺は、マドレ港からアルバラド港に戻ってきた。蝦夷丸の海兵たちには5日間の休養を与える。俺も疲れているのだが、今後の石炭運搬計画と北アメリカ大陸に対する正直屋の交易について、関係者への指示をしていく。
全くもって忙しいのだけど……もう1つやっておかないといけないことがあるのだ。それはベネズエラの港にいるはずのイスパニアのガレオン船を沈め、港湾施設を徹底的に破壊することだ。
ベネズエラはイスパニアが支配している。ベネズエラからキスケーヤまでは約1000kmしかないのだ。
だんだん俺の距離感もおかしくなっているのだが……
イスパニアがキスケーヤを急襲しようと考えれば、ベネズエラのクマナ港やマルガリータ島辺りにガレオン船を集結させるはずだ。距離が1000kmしか離れていないということは、元気いっぱいのガレオン船で急襲できるということだ。
しかしこの港を使えないように潰しておけば、メキシコを攻撃しようとしても、ヨーロッパから約6000kmの航海が必要になる。長い航海でヘトヘトになった状態でしか攻撃できなくなるのだ! だから何としても潰しておきたい!
取り敢えずそこまでやっておけば少し安心できるかな。
九鬼定隆にベネズエラ攻撃作戦を説明する。
「そんなに毎回、大執政官様が出撃される必要はありません。不測の事故とか起こったらどうするのです!」と、俺の参加は即座に拒否される。
結局どうしてもと希望する豊穣氏親が、俺の代わりに旗艦に乗り込むことになる。
氏親に経験を積んでもらうには、丁度いいのかもしれないな。定隆にいろいろ教わってもらいたい。
しかし1000kmもの遠征を行うのだ。ベネズエラの港に攻め込む際に、ポルトガルの旗を掲げるように指示して置いた。旗は俺がスキルで用意しておけばいい。
ポルトガルのガレオン船がブラジルからベネズエラに攻めてきやがった……とイスパニアの王が怒り心頭になってくれるといいのだ。ポルトガルとイスパニアが、戦争を始めてくれれば最高の展開だ!
さらにブラジルのサルヴァドール港に、イスパニアの旗を掲げて攻め込めば、仕込みとしては完璧となるな。だが残念なことに、ベネズエラからサルヴァドール港まで6000kmもあるのだ。さすがに遠すぎて無理だな。
クバオには、陸兵300人とともに馬場信春を派遣する。マドレ港は陸兵300人とともに秋山虎繁を派遣する。2人とも内政もできるから大丈夫だろう。しかしまたまた人手不足になってきた。
アルバラド港から600人の兵をベラクルス港に移動させる。ベラクルス港は工藤祐長に陸兵1000人で守らせることにする。アルバラド港は兵1400人で守ってもらう。もちろん3つの港には、必要に応じて特殊部隊を派遣して戦力を増強する。
グアナが頑張ってくれたおかげで、クバオにはイスパニア人がいなくなったようだ。詳細は聞かないでおく。
クバオから、グアナとシンチにはゲリラ部隊2000人とともにアルバラド港に移動してもらった。現在、次の戦場を目指して猛訓練中だ。
オヤジたちと特殊部隊800人も、クバオから戻ってきた。キスケーヤとクバオには、特殊部隊を200人ずつがゲリラ部隊の教官としてまだ残っているそうだ。
残った特殊部隊たちは、ゲリラ部隊の養成にやり甲斐を大いに見出しているらしい。
グアナとシンチが「パナマ港に行かせてほしい」と煩い。アメリカ大陸の奴隷解放に燃えているのだ!
パナマ港が片付けたら、そのままインカ帝国に向かいたいのだそうだ。
インカ帝国が片付けば、ゲリラ部隊をもっと増やし、いずれは南アメリカ大陸からヨーロッパ人を全て追い出してやる……と熱く語り始めだす。ゲリラ部隊2000人もやる気満々なのだ。
グアナはゲリラたちのカリスマとなっている。俺としても彼らを引き止める理由がない。さっそく蝦夷丸で、彼らをパナマ港に運ぶことにする。もちろん彼らに銃と弾薬を潤沢に渡しておいた。マラリア治療薬もだ。これでジャングルの戦闘も問題なしだろう!
彼らがパナマ港を占領したら、定期的に弾丸と食料を補給する体制を構築しないといけないな。グアナに任せておけば、彼が熱く語るように、南アメリカ大陸からヨーロッパ人が一掃されるだろう。
オヤジたち、グアナ、シンチとでゲリラ戦略会議を行う。
「ヨーロッパの国々との戦に勝利し、日本には到底勝てないと奴らが思ってくれれば、和平条約の締結に向けた交渉が始まる可能性がある」
「しかし和平条約を結ぶと、ヨーロッパの国々が既に占領している国については、奴隷制度の継続を認めることになるだろう。そうでなければ彼らは納得しないからだ。そこでだ! 日本と関わり合いのない『奴隷解放軍』が出現するのだ! グアナとシンチが指揮する奴隷解放軍が、南アメリカ大陸で勝手に奴隷解放活動を行っても、奴らは日本に文句を言えないはずだ!」
「奴隷解放軍が、日本と繋がっていることが知られてしまうと条約違反がバレてしまう。なので、武器弾薬や食料の支援については秘密裏に行う必要がある。奴隷解放軍の方も日本との関係がバレないように慎重に行動してほしい」
「面白そうです! 是非やらせてください!」とグアナとシンチはやる気満々だ。
それこそが、自分たちの使命だと思っているようだ。
さて……どうなることか。
「特殊部隊の中には、奴隷解放運動を助けたいと志願している者たちもいる。彼らにはインカ帝国の奴隷解放活動までということで、ゲリラ部隊を影から支援させようと思う」とオヤジたち。
特殊部隊がグアナたちに感化され過ぎるのは良くないのだがな……
話はまとまった!
グアナとシンチが指揮するゲリラ部隊をパナマ港から見えにくいところに上陸させよう。ゲリラ部隊の支援は、スペリオール港の藤堂虎高に一任しておけば大丈夫だろう。
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