キューバ攻略
藤林正保殿に、キスケーヤでのゲリラ部隊の訓練をお願いし、俺はクバオに向かうことにしよう。
一緒に行くメンバーは、俺と藤林保正、九鬼定隆、オヤジ、服部保長、特殊部隊1500人、蝦夷丸10隻、グアナ、シンチ、キスケーヤの精鋭ゲリラ部隊500人だ。キスケーヤには念の為、特殊部隊200人を残しておく。クバオまでは2000kmだが、7日かけて帆走をメインにゆっくり航海することにしよう。
ラ・アバナ港の状況は、サント・ドミンゴ港とほぼ同じ構成だ。要塞もあるし、人口も似ている。停泊しているガレオン船は3隻だ。
サント・ドミンゴと同じ様に海上強襲隊でガレオン船を沈め。ハバナ要塞を迫撃砲で破壊する。
後は、キスケーヤと一緒だ。
キスケーヤのゲリラ部隊500人に弾丸をたっぷり補給して頑張ってもらえばいい。既にハバナ要塞の死体を片付けてもらっているので、俺は要塞の補修と補強を至高の匠スキルで行なっている。
要塞の塔の上で、保正とルーシーの3人で海を眺めている。さすがにフロリダは見えないようだ。12月でも温暖だからな、潮風が心地良い。
「後はキスケーヤのゲリラ部隊500人が、クバオを片付けてくれるだろう。オヤジたちが影からしっかりと支えるだろう」
サンティアゴ・デ・クーバ港とか、カマグエイ港もあるから、イスパニア人はそこから本国に帰ってくれると良いのだが。
「そうですね。クバオのことは、キスケーヤのゲリラ部隊に任せましょう。それにしても気持ちの良い気候ですね。旨い酒でも飲みながら海でも眺めていたい気持ちですね。ところでキスケーヤとクバオは、誰に面倒を見てもらうのですか?」
「キスケーヤは松田憲秀だ。クバオはどうするかな? だがここはしばらく戦闘中だから、もう少し後でいいだろう」
「ここは、オヤジたちに任せて、いったんベルクルス港に戻ろう。ここには蝦夷丸5隻、特殊部隊は1000人を残しておけばいいだろう」
「ここは任せろ。特殊部隊もゲリラ部隊もやる気満々なのだ」と、うれしそうなオヤジたち。
おいおい、特殊部隊までグアナに感化されるのは止めてくれ!
「よろしくお願いします。明日、蝦夷丸5隻でベルクルス港に戻る。特殊部隊は500人連れて行いますよ」
翌日、俺たちはベルクルス港に向かう。今は船の中だ。
信長、勘助、幸隆との連絡だが、全員が勘助に手紙を送ることにしている。そうすると軍師見習いの連中が内容をまとめてくれたものを、送り返してくれるのだ。信長と幸隆は一緒にいるから、俺と信長宛に手紙が送られることになる。
信長のやつ、手紙の回数は多いのだが文章が短い。最初の頃は勘助が大いに苦労したようだ。信長本人は皆まで言わなくても分かるはずという気持ちで報告しているのだと思う。頭が良いからな。しかし前世の歴史で上手くいかなかったのは、そういうところだと思うよ。
勘助がまとめてくれている状況報告によると、信長もマラッカの占領まで進んだようだ。もちろん途中の補給基地の確保、周辺国との外交、スパイス諸島の占領も見事にこなしてくれている。そっちもこっちも無茶苦茶忙しいよね。お互い頑張ろう。
勘助からの状況報告の中に『グラシア・メンデスという商人からの返事……』というのがあったな。
内容は依頼していたフランスの国内の状況が書かれていたそうだ。
『国王アンリ2世は、ハプスブルク家と戦争中であり、ハプスブルク家に勝利すれば、ロレーヌ地方を手に入れるだろう。また、アメリカ大陸進出したイスパニアが急激に国力を増していることを大変懸念している。国王アンリ2世はカトリックを支持していたが、イスパニアがカトリックであることから、プロテスタント勢力であるイングランドとの同盟も模索している。そういうこともあり、フランス国内ではプロテスタント勢力が増加しつつある。またアメリカ大陸への進出については、北アメリカ大陸の寒い北部と、南アメリカ大陸のブラジルを目指している』というものだ。
サラは親族のことは聞かなかったのだな。生きていることを知られたくないのだろう。しかし、仲の良かった友人と弟が見つかったのは良かった。それにしてもフランスの状況は、いい展開になっているじゃないの!
たとえば、アンリ2世に手紙を送って、アメリカ大陸のイスパニア勢力を一掃中です……同盟を結びませんか……というのは可能性としてはありだな。
……やっぱりダメだな。
ヨーロッパはどこの国も奴隷制度をやっているからな。同盟組むとなると、フランスについてはアメリカ大陸への進出と、そこでの奴隷制度を容認することになる。それをやると、豊穣神様は怒るだろうな!
しかし何かの時には、フランスに同盟を申し込めるというのは良さそうだ。グラシア・メンデスから返信が届き、彼女と伝手ができたことは大いなる進歩だよ。
オスマン帝国には『日本が東南アジアからポルトガルを追い出し、マラッカまで勢力範囲にすることに成功した。東南アジアの香辛料は、今後は日本と取引願いたい』と、俺の名前で皇帝に知らせよう。
だが、どういう返事が来るか、ちょっと予想できないな。
俺の方は、メキシコ湾……いや日本湾になるのかな? この辺りで、ちょっと一段落かな。この日本野郎! 許さんぞ……と、イスパニアが大艦隊を引き連れてくれば大海戦になるな。それを制したら、北アメリカ大陸に本格的に進出するかな。
ベルクルス港に到着まで6日あるし、現在の各地の状況を手紙で送ってもらおう。
オスマン帝国との交渉については、勘助と見習い軍師たちに任せよう。俺の方は、アメリカ大陸の西岸の拠点を押さえて、ヨーロッパ勢が近づけないようにだけはしておかないとな。
イスパニア艦隊をごっそりと沈められたイスパニアはどう出るか? マラッカまで押さえられて、締め出しを食らったポルトガルがどう出るか? 連合艦隊を組んで攻めてくるのか? あるいは使者を送ってくるのか? 読めないな。
それにしても来年……日本に帰るのは無理かな……でも信長も無理じゃないかな。
少し先になるが、いずれにしてもヨーロッパ勢とは仲良くやらないといけないのだが、そうなると婚姻外交になるのかな。その時は信長に頑張ってもらうか。
ここまで、お読みいただきありがとうございます。
励みになりますので
ぜひブックマークや評価などをお願いします。




