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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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新パナマ運河1

「豊穣神様は天変地異を起こせますか?」


「そりゃ、できないことはないぞ。まさか、ヨーロッパに天変地異を起こすのか? 私からは、そういう直接的な関与はできないことになっているのだ」


「アカプルコから約500Km東にあるスペリオール湖から、ダリエン地峡ちきょうを通って、ベルクルスから東に約50kmにあるアルバラド湖の出口まで、蝦夷丸が通れる幅50mの水路を作れないでしょうか?」


「作れなくはないが、随分と大掛かりな要望をするな……」

「そこを何とかお願いします」


「できれば、水路の壁面が崩れないように護岸とかもお願いできませんか?」

「おいおい! 願いがどんどん厚かましくなってきていないか?」

「それは……お互い様……ということで、何とかお願いします。この通りです」


「分かった。あまり人が住んでいない場所だし、そこで暮らしている者に迷惑が掛からないように上手く作っておくぞ」


「できれば、30日後にお願いします。スペリオール湖の近くに蝦夷丸を待機させて待っています」


「分かった。任せておけ」


九鬼定隆宛に手紙を書く。

「10日後に、アカプルコ港で蝦夷丸に乗船しパナマ方向に出航する。黒川建設200人を乗船させ、蝦夷丸全艦に水と食料を補給。蝦夷丸5隻には、特に石炭の補給を十分に行っておくこと」


勘助にも手紙を書いた。

「イスパニア艦隊との海戦近し。アカプルコに、蝦夷丸を30隻向かわせてほしい。また豊穣氏親と藤堂虎高に、それぞれ兵3000人と1000人を連れてこちらに来るように要請してほしい。それに加えて、独身の農民400人、ガレオン船が作れる職人100人、正直屋を200人、内政官50人、黒鍬建設200人、日本の産品も頼む」


さあて、次にやることが決まった。今後の作戦会議を行なうことにしよう。参加者は、俺、オヤジ、工藤昌祐、工藤祐長、北条氏康、松田憲秀、大道寺政繁、クアウテモック2世。ミスティトルの9人だ。


人数が増えたな。

地図を皆の前に広げる。


「豊穣神様のお告げによると、アカプルコから東に500Kmのところにあるスペリオール湖からダリエン地峡に、さらにそこから、ベルクルスから東に約50kmにあるアルバラド湖まで、天変地異により蝦夷丸が通れる水路ができるというのだ。今から30日後だそうだ。これで、アメリカ大陸の東の大西洋と西の太平洋が繋がることになる」


「そんなことを教えていただけるなんて……やはり豊穣神様は素晴らしい神様です」と、

いつものように興奮するクアウテモック2世。周りを見ると、全員が俺に手を合わせている。俺が天変地異を起こせるのではないのだけどね。


「これは豊穣神様のお告げであり。私が天変地異を起こせる訳ではない!」


「話を進める。アメリカ大陸の南にインカ帝国という国がある。しかし、もうすぐ滅ぶ。インカ帝国の王はビルカバンバに立て籠もって最後の抵抗をしている。この国は、国土の殆どが山だ。大きな銀山はあるけどな。我らが彼らを助けようとして、船でどこかの港に上陸して、その後は熱帯の山林を兵とともに移動することになる」


「そんな場所で、イスパニア軍と消耗戦を行なうというのは現実的ではない。そこで、イスパニア軍がインカ帝国を攻略するための拠点にしているパナマという街を立ち枯れさせることにする。インカ帝国で強奪した金や銀は、いったんパナマの街に集め、この山道を運んで大西洋側のポルトベロ港に運ばれ、さらにそこから船でイスパニアに運ばれるのだ」


「このポルトベロ港を使えなくすると、パナマに金や銀を集めてもイスパニアに持ち帰ることができなくなる。またイスパニアからの武器などの補給もできなくなる。このアメリカ大陸の南端を航行する方法があるが、距離があり過ぎてイスパニア軍もやる気がしないだろう」


「ポルトベロ港を使えなくして、パナマという街を立ち枯れさせると、イスパニアの勢力が弱体化し、インカ帝国が自力で復活する目が出てくるということですね」と氏康。


「そういうことです。しかしそのためには、蝦夷丸を大西洋側に移動させる必要があるのです。今までは無理だと思っていましたが、豊穣神様から教えていただいた天変地異を利用して、蝦夷丸を大西洋側に移動させます」


「天変地異により作られたその海路は、イスパニアだけでなくヨーロッパの国々が手に入れたくなる水路となるでしょうな! 水路の存在が知られれば、ヨーロッパの国々がこぞってアルバラド湖に攻め寄せてくる可能性がありますな」と氏康。


「その時は、ヨーロッパの国々との決戦となるかもしれません。問題もありませが、私としてはヨーロッパの国々の方から攻め込んでもらいたいと考えます」


「ヨーロッパとの距離が近ければ、こちらから攻め込んで決着を付けることもできるのですが、アルバラド湖からヨーロッパまでは約6000kmの距離があります。6000kmの長い航海は楽ではありません。また、石炭の補給なしでヨーロッパの港を攻撃して帰って来られる距離ではありません。つまり、風がなくても動けるという蝦夷丸艦隊の利点を活かせませんので、不利な戦いとなるでしょう」


「逆にヨーロッパの大艦隊がこちらに攻めて来る場合ですが、敵は長い航海で疲れた状態で海戦を行うことになります。つまり、ヨーロッパ勢が不利、我らが有利という条件で戦うことができます。もちろん彼らは中継拠点で補給と休養を取ろうとするでしょう。ですから我らは、その中継拠点も潰しておく必要があるのです。いろいろやることが満載です」


「いずれにしても、ヨーロッパ勢との大海戦に備える必要があるため、日本から蝦夷丸を30隻、兵4000人を招集しておきました。率いる将は豊穣氏親と藤堂虎高です」


「氏親が来るということは、北条綱成も来るのだな。奴がいれば陸でのいくさはまず安心だ」と氏康。


「スペリオール湖とアルバラド湖に要塞都市を築く必要があります。もちろん食料がないと話になりませんので、米を作ってもらうための農民を400人、ガレオン船を作れる職人100人、正直屋を200人、内政官50人、黒鍬建設200人も来てもらうことにしています」


「ヨーロッパの国々と全面対決をするのですね? 覚悟を決められたのですね!」と氏康。





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