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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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アカプルコ防衛戦4

「なぜ蛮族のアステカ人があのような武器を持っているのだ? 撤退するぞ!」

「分かりました。撤退の合図を出します!」


「先陣など置いていけばいい! 我ら正規軍が撤退する時間を作らせるのだ!」


「迫撃砲で、最後尾の正規軍から順に吹き飛ばせていけ!」

トゥーン。トゥーン。トゥーン。トゥーン。トゥーン。トゥーン。

20台の迫撃砲の榴弾がイスパニア正規軍目掛けて降り注ぐ。


ズドーン! ズドーン! ズドーン! ズドーン! ズドーン! ズドーン!


総督と側近も砲弾でバラバラに吹き飛ぶ。

正規軍が潰走し始める。


「続けて発射!」


トゥーン。トゥーン。トゥーン。トゥーン。トゥーン。トゥーン。

ズドーン! ズドーン! ズドーン! ズドーン! ズドーン! ズドーン!


正規軍は動けなくなる。恐怖で座り込んでいる。動けない。周りは目をそむけたくなるような死体だらけだ。ひたすら神に祈っている者もいる。


「狼煙を上げろ」


狼煙を見て、工藤昌祐が一定の間隔で鐘を叩く。アステカ兵は総員攻撃せよの合図だ。

カァーン!   カァーン!   カァーン!   カァーン!


山の斜面に身を隠していたアステカ兵が、恐怖で座り込んでいる正規兵に駆け寄っていく。恨みのこもった散弾が次々撃ち込まれる。持ち弾が切れれば、銃に付けた着剣で、鎧の隙間を狙い刺し殺していく。


アステカ兵は今まで受けてきた仕打ちを思い出し、怒りで我を忘れているのだ。このまま暴走させてはダメだと思った昌祐が、撤退の鐘を連続して叩く。

カァーン! カァーン! カァーン! カァーン! カァーン! カァーン!


アステカ兵が正気を取り戻し、撤退を始めるまで、何度も鐘を連打する。

カァーン! カァーン! カァーン! カァーン! カァーン! カァーン!


連打される鐘に気づき、我を取り戻したアステカ兵たちが戻って来始める。

正規兵で生き残っているものはいない。総督も側近も死んでいる。


防壁の近くで呆然としている徴募兵と周辺国兵に対しても、迫撃砲の榴弾を打ち込んでいく。人が吹き飛ぶ、死体が折り重なっていく。


「攻撃止め!」


戦場に静けさが戻る。

徴募兵と周辺国兵の生き残りが、この隙に逃げようと後方に向かって全力で走り始める。


昌祐から弾丸の補給を受けたアステカ兵が再度出撃する。走り去ろうとする徴募兵と周辺国兵を撃ち倒していく。


アステカ兵の攻撃から生き残った者たちもいるが、運搬奴隷として連れてこられた者から石を投げつけられている。石が頭に当たった者は倒れ込んでいる。


生き残ってメキシコシティにたどり着くのは、50名もいないだろう。


山の上でその様子を見ていたアステカの民の熱狂と興奮は最高潮だ。

「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」


運搬奴隷として連れてこられた者たちも叫び始める。

「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」


山の上のアステカの民が山から降りて来る。そのまま、防御壁の後ろに集結し始める。運搬奴隷として連れてこられた者も、山の斜面を上り防御壁の後ろに向かう。アステカ兵も走って戻ってくる。


防御壁の後に集まったアステカの民の視線は、防御壁の上の立つ1人の若者に釘付けだ。期待と希望のこもる熱い眼が見つめている。


「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」

「クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック! クアウテモック!」


その叫びが、山を震わせる。


俺は、箱に入れておいたケツァールという鳥の羽根で作られた冠を取り出す。恭しくチュィルトリの頭に被せたのだ。


集まった民が、防御壁の上にいるチュィルトリに向かって跪いている。事前に説明しておいたチュィルトリの演説が始まる。


「私は皇帝クアウテモックの弟、トラウィクスカトルの子供である。証拠はこの冠だ。私はこれ以降、クアウテモック2世と名乗る。そしてイスパニアとの戦いの先頭に立つことを誓う。皆も私に協力してほしい」


「ウォー! ウォー! ウォー! ウォー! ウォー! ウォー!」

大歓声が巻き上がる。


クアウテモック2世が上げた手を降ろすと、再び静寂に戻る。


「ここにおられるのは、日本という国の豊穣神様の加護を受けた大執政官様だ。大執政官様の力! 豊穣神様の力! 見たであろう! 我らアステカの民は豊穣神様に救われたのだ!」


「ウォー! ウォー! ウォー! ウォー! ウォー! ウォー!」

大歓声が巻き上がる。


「体制を整えしだい、この国からイスパニアを追い出し、奴隷にされたアステカの民を救うぞ!」


「ウォー! ウォー! ウォー! ウォー! ウォー! ウォー!」

民の熱狂と興奮は最高潮だ。


クアウテモック2世の横には、奴隷の代表として来ていた者たちが跪いている。

事前に説明していた通り、奴隷の代表として来ていた者の1人のミスティトルが立ち上がり民衆に指示する。


「イスパニアの奴らの死体を火葬するぞ。放っておけば病気を撒き散らすそうだ。それとイスパニア軍の武具、食料、馬車を、アカプルコに運ぶぞ」


それから、アステカの民衆による死体の火葬と、イスパニア軍の武具や食料の運搬が馬車で行われる。俺たちも、今後のことを打ち合わせるため、クアウテモック2世とミスティトルとともに、港に戻ることにする。


クアウテモック2世には『アステカの神に救われた』と言うように伝えておいたのだが、『豊穣神』に言い換えやがった。ややこしい事にならなければいいのだが!


イスパニア軍を撃退したからといって、のんびりとはしていられない。すぐに今後のことを話し合う必要がある。


作戦会議のメンバーは俺、百道三太夫、服部保長、藤林正保、工藤祐長、工藤昌祐、藤林保正、九鬼定隆、クアウテモック2世、ミスティトルだ。通訳はルーシーがイスパニア語で行なう。


「これからどうするかだが、メキシコシティの総督も正規兵もほぼ全滅した。総督の死骸は敵の生き残りに確認させた。このままメキシコシティを落とすのも簡単なことだろう。クアウテモック2世! メキシコシティの名前をテノチティトランに戻す時がきたな。おめでとう」



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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