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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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アカプルコ上陸1

アカプルコまでの船旅も快適そのもの。風をしっかり受けて蝦夷丸が快調に移動していく。風がなくなれば石炭航行に切り替える。それにしても温暖だな。海風も心地良い。


前世では、アカプルコはメキシコを代表するリゾート地なんだよな。写真でしか見たことがないが随分と美しい海岸だったな。しかし、滅ぼされたアステカ帝国のことを考えると、景色を楽しむ気分にはならないな。


天文21年(1552年春)21歳


「大執政官様、アカプルコの港が見えてきました!」

「定隆、日本の旗を上げろ」


「了解しました! 各艦に連絡!」


「停泊している船の旗を確認せよ」

「イスパニアで間違いありません」


ヨーロッパの主な国と、オスマン帝国、東南アジアの国の旗は、至高の匠スキルで作った物を事前に海軍に渡している。間違って攻撃したりすると取り返しがつかなくなる。世界に進出するなら国旗の識別は重要なのだ。


日本の国旗を見たら敵が逃げていくようになってくれると楽でいいな。そこまでになるのはかなり時間が掛かるだろう。


「イスパニアのガレオン船10隻を全て沈めてしまえ!」

「風は、陸に向かって吹いています。海上強襲隊を使いますか」


「そうだな、アメリカ大陸における、海上強襲隊初出撃だ」

「了解しました! 各艦に連絡!」


「ガレオン船の上で、敵兵がバタバタと走り回っています」

「蝦夷丸艦隊は大型ライフル用意。万が一、海上強襲隊が敗れるようなことがあれば、丁字戦法ていじせんぽうでいこう」


「了解しました! 各艦に連絡!」


海上強襲隊100人が、ウインドサーフィンに乗って、ガレオン船の方向に高速で移動していく。危険なウインドサーファーならぬ、シャチが敵船に迫る。


「何だ! あの小さい板切れに乗っている奴らは! 先住民の奴らの釣り船より数段小さいではないか。我らをバカにしているのか? あるいはバカなのか? まあ、どうでもいいか」


「進路を塞ぐようなら、ガレオン船であの蛮人どもを踏み潰してやれ。このまま、単縦陣で敵の大型船を攻撃するぞ! 旗艦の後ろを付いてこい! 全艦進め」


「提督! 了解です!」


「銃も用意させておけ。敵船を拿捕できそうなら乗り込んで白兵戦をやるぞ」

「了解です!」


海上強襲隊100人は、10人ずつのグループに分かれる。それぞれのグループがターゲットに決めたイスパニアのガレオン船に向かって移動する。良く訓練された動きだ。素晴らしいな。


敵の銃が届かない位置で停止し、素早くグレネード弾を敵艦側面に撃ち込む。攻撃が終わればすぐに離脱。いったん距離を取るが、再びターゲットに決めたガレオン船に向かって移動を開始する。


2回目の攻撃が終わったところで、全てのガレオン船の船体に大穴が空き、浸水して次々と沈没していく。兵が海に落ちていく。自分で飛び込んでいる者もいる。船の切れ端に掴まって、大勢の兵が海面に浮かんでいる。


「何なのだ。イスパニアのガレオン船が、こんな頑丈な大型船が、あんな小さい板切れに乗った奴に、あっと言う間に沈められてしまった。これは現実のことなのか? 港から眺めている奴隷たち! 俺たちを見て喜んでいやがる! 後で覚えていろよ。見せしめに、笑っていた何人かの奴隷の腕を切り落としてやる!」


海上強襲隊が蝦夷丸に戻って来る。


「海上強襲隊を回収する必要のない艦は前進せよ。ライフルで、海に浮かんでいる兵を全て始末せよ」

「了解しました! 各艦に連絡!」


ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! 

海面に浮かぶ兵が全て始末され沈んでいく。


「大執政官様、海上強襲隊の回収が終了しました」


「港に移動せよ」

「了解しました! 各艦に連絡!」


港では、奴隷として使役されているアステカの民が大歓声を上げている。


「陸の兵が、大砲の設置を急いでいるようです」

「大型ライフルで、大砲を破壊せよ」


「了解しました! この艦の大型ライフルで始末します!」


港では、急いで大砲2門を岸にセットしようと敵兵が動き回っている。大砲をセットしている兵が怒鳴り散らされている。やがて大砲のセットが完了し、弾と火薬の準備が始まったようだ。


蝦夷丸を岸に近づける。

慌ててセットした大砲でも艦に当たれば、損害は大きい。


「大型ライフルを撃て!」

「了解しました! 各艦に連絡!」


ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!


20発以上の銃弾が打ち込まれる。


大型ライフルの銃弾により大砲が破壊される。弾に当たった兵も千切れ飛ぶ。それを見ていた他の兵たちは、恐慌状態となり逃げ始める。逃げ出す兵に向けて、奴隷たちが石を投げつけている。石が頭に当たり動かなくなった兵もいるようだ。


それを見た奴隷たちが、さらに大声を上げている。



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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