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戦国時代の忍者に転生させられちゃいました。しかたないので伊賀を救い、日の本の民も救います。  作者: ゲンタ


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光秀との打ち合わせ

診療室で、俺と光秀の2人だけで打ち合わせだ。


「光秀、いろいろ聞きたいことがある……このしゃべり方でいいですね?」

「もちろんです。変に丁寧語を入れるのは不自然です。それで聞きたいことは何でしょうか?」


「まずは福のことだな。元気にやっているかな?」

「医療の内容を、理路整然と理解されています。すごく優秀な方のようです」


「分かった。本人たっての希望でもある。医師見習いとして、しっかり鍛えてやってほしい。ところで、見習い医師や看護婦の方はどんな状況になっている?」


「見習い医師を、たくさん採用することができました。しかし、適性を見て能力に欠けるものは辞めてもらっています。看護婦についても同様です。ただし病院には医師や看護婦以外の仕事がたくさんあります。常に人手が足りていないのです。その者たちには人手が不足している仕事をしてもらっています」


「見込みのある見習い医師には、私が知っている限りの知識を伝えています。また私の助手として、治療や問診のやり方を、とにかく見て覚えてもらっています。この国には漢方医学の知識に優れた医師も既におりますので、彼らと連携していけると効率的だと思います」


「その者たちへの声掛けや連携は、政庁の内政官に伝えてくれ。彼らが上手くやってくれるはずだ。光秀は、自分しかできないことに注力してほしい。ただし漢方医学の医師もいろいろな者達がいるので、優劣の見極めは頼む」


「この時代は、医師国家試験があるわけではない。誰でも医者の看板を出せる。偽医者、ダメ医者がたくさんいる。光秀は、この国の医学と薬学に関する最高権威者、最高権力者だと思って、思った通りに行動してくれればいい」


「すごいことですよ。転生前は大学病院の勤務医に過ぎませんでしたが、現在の立場は厚生大臣、病院長、製薬会社、医学部教授を全て兼務してますからね」


「激務だがよろしく頼む。もしも過労で倒れても、私の治癒スキルで治すから安心してほしい。とにかく頑張ってもらうしかないのだ」

「やり甲斐があって最高ですよ!」


「この国の医師の数は、まったく足りていない。海外に進出すれば世界中の国からいろいろな病気が入ってくる。それまでに何とか医療体制を整えたい。国内の各州や、海外の領地にも医者を派遣したい。まともな医師は何百人といても足らない。それで、看護婦の方はどうだ?」


「看護婦は患者の世話をするだけなら、世話好きの女性で十分です。しかし、使う薬の種類や効能を覚えてもらわないとダメです。とても危険です。人命に関ります。また病気に対処するために、基礎的な医学知識も持ってもらわないといけません」


「現実的に、私が何百人もの人間を直接教えることなどできません。教えられる人を、大急ぎで養成するしかありません」


「いろいろ大変だが、よろしく頼む」

「今やっていることは、とても楽しいですよ。やり甲斐もあります。美濃と京で地獄を味わいましたから、少々の苦労などはどうということもありません」


「ありがとう。何か不足している器具はないだろうか?」

「器具類は、これまでいろいろ作ってもらいましたから十分です。レントゲンやCTは無理ということでしたので、人体模型を作れないものでしょうか。それがあると、教える時に大いに役立ちます」


「大丈夫だと思う。そう言えば……最初に豊穣神様から与えられたスキルは簡単な物しか作れなかったのだ。当然、銃なども作れない。このままだと戦国時代を生きていけるはずがない。しかたないので、スキルのバージョンアップを神様に必死で交渉したのだよ」


「良く交渉しようと思いましたね。相手は神様なのでしょう?」


「その交換条件が『日本からいくさをなくし、民を救う』ことだったのだ。今は、なぜか『日本』が『世界』に変えられてしまっているのだ」


「余計な話は止めて、人体模型を作るとしよう」


『創造、人体模型 4体』と念じた。人体模型が4体出現する。

「これはすごいですね。医師や看護婦の教育に大いに役立ちます」


「ところで、冷蔵庫はどうする。たしか尿素に水を加えると温度が下がる。尿素を混ぜた水の水分を蒸発させると尿素に戻る。その性質を利用して冷蔵庫ができると思う。ずいぶんと手間のかかる冷蔵庫になると思う。しかしこの時代の人間は手間を嫌がらない。上手くいくと思う。発泡スチロールとか、ステンレスの箱とか、管とかはスキルで作れるぞ」


「それは良いですね。冷蔵庫を設計しておきます」


「ところで、この世界では黒死病こくしびょうと言われているペストが定期的に流行しているはずだ。その薬は作れるだろうか?」


「作れますよ。しかしワクチンにしても薬にしても、保管しようとするとやはり冷蔵庫は必要になりますね」


「ワクチンとか治療薬を、ヨーロッパの国々との和平条約の締結に役立てたいと思っている。いくさではなく、治療薬で平和がやって来るなら最高だと思うのだが」


「それはいいと思います。ただし、ヨーロッパがパンデミックにでもなっていないと、話には乗ってこないと思います。だからといって、細菌戦は仕掛けませんよね! それだけは反対します」


「いくら何でもそれはしない。豊穣神様もお許しにはならない。それに、そんな何十万とか何百万レベルの大量殺人をやれば、私の心が崩壊すると思う」


「確か16世紀には、ペスト、梅毒、インフルエンザが大流行したと記憶しています」

「梅毒やインフルエンザの薬は作れるか?」


「私がいただいたスキルで作れると思います」

「電子顕微鏡は作れないが、倍率の高い光学顕微鏡は作れると思う。細菌の確認ができるぞ!」


「それはすごく助かります」


その後、光秀に聞きながらいろいろな機器をスキルで作った。光秀の病院は、この世界ではウルトラチート病院だな。やはり外交交渉は、パンデミックに治療薬をぶつけるのが最強かもな! 俺だって、ガチンコの殺し合いなんて嫌に決まっているのだ。


ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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