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ポルトガルとの海戦6

「ポルトガル艦隊がいきなり砲撃を開始するかもしれません! 王は家族を連れて山に避難してください。私と長綱殿が同行します。久秀、斎藤殿、蜂須賀殿は、家臣たちや特殊部隊と共に、ポルトガル兵の上陸を阻止してください」


「長慶様! 我らで、ポルトガル兵を必ず始末してきます!」と久秀。


久秀たち3人は、家臣たちと特殊部隊を連れて大急ぎで港に走る。

海岸に到着したが、砲撃に備え岩陰に身を隠す。ルソン国の守備兵は我らの後ろに控えている。山を見ると、蝦夷丸にポルトガル艦隊の到着を知らせるための狼煙が上げられている。


「兵たちが上陸しようと、短艇たんていを漕ぎ寄せ始めたら海岸に移動するぞ」と久秀。

「オー」と家臣たちと特殊部隊が返事をする。


砲撃は始まらない。

ポルトガル艦から短艇たんていが次々と下ろされていく。武装した兵が短艇たんていに乗り込んでいく。兵を満載した短艇たんていが岸に向けて漕ぎ寄せてくる。


「砲撃はないようだ。奴らを始末するぞ!」

岩陰から海岸に全速で走る。


海岸に到着すると、片膝をついてライフル銃を構える。そのまま間髪を入れずに攻撃を開始する。ライフル銃が連射される。


ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!

ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!


短艇たんていの前方には盾になりそうな物をいくつも並べている。その後ろでは、兵たちが姿勢を低くして櫂を漕いでいる。何としても上陸しようという意思が伝わってくる。


ポルトガルの隊長が部下を怒鳴りつけている!


「あと少しで岸に着く! その後は敵に切り込め。乱戦になれば銃は使えない。急げ、急げ。あと少しだ。銃の用意をしろ。一発撃ったら切り込むぞ!」


特殊部隊が、短艇たんていにグレネード弾を撃ち込む。

ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!


兵を満載した短艇たんていが破壊される。兵が吹き飛ばされる。全ての短艇たんていが破壊され、助かった兵が辛うじて海に浮かんでいる。


後ろに控えていたルソン国守備兵が、船に乗り込み海に浮かぶ敵兵に向かっていく。弓で敵兵を討ち取っていく。生き残れる兵は1人もいないだろう。


「どうしてここにまで、奴らがいるのだ! しつこいぞ、この野郎! 反転離脱だ! とにかく逃げろ! 今度こそ我らは沈められてしまう! 離脱した後のことは、後で考えればいい」


「提督! 敵船20隻に囲まれてしまいました」


「こんなボロ船で単縦陣とか無理だ。体当たりだ。どうせ死ぬなら奴らを道連れにしてやるぞ。全員武装せよ。体当りしたら敵船に乗り込め! 死ぬまで暴れまくれ。白兵戦に弱い敵なら勝てる可能性もある! 敵船を乗っ取ってしまえ」


「了解しました。全員武装。銃と剣を準備、衝撃に備えろ!」


「定隆! こっちに体当りする気のようだな。大型ライフルで喫水線の下を狙え。さらに近づいてきたら、グレネード弾を撃ち込め!」


「了解しました! 各艦に連絡!」


ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!

ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン! ダーン!


ポルトガル艦隊は、数分もしないうちに沈没し始める。グレネード弾は必要なかった。海に飛び込んだ者も、ルソン国守備兵に全て始末されるだろう。


ポルトガル兵を満載した短艇たんていがバラバラに吹き飛ばされる様子や、ポルトガル艦隊があっという間に沈没させられる様子を、ほとんどのルソン国民が見ていた。


王は恐怖を感じている。日本は何なのだ! あの無敵のポルトガル艦隊が、あっという間に沈められてしまったではないではないか!


「長慶殿! 日本の力が我らに向くことはないであろうな?」

「もちろんです。ご安心ください。ただし! 裏切りはなしということで願います。お互い末永く仲良くやっていきましょう」


ルソン国王は、日本には逆らってはいけないことを十分理解した。


いくさを終えて、蝦夷丸20隻が港に停泊している。蝦夷丸の旗艦に北条長綱、三好長慶、松永久秀、斎藤利三、蜂須賀正勝が意気揚々と乗り込んで来る。


「5人とも、ご苦労だった。王との交渉はどうだ?」


「ルソン国王とは話がつきました。領地の割譲の件を了承してもらいました。この国の王も民も、我らの力に恐怖しております。今回の出来事で、我が国がポルトガルよりも強いことを王が認識しました。このことは、我らがフィリピン群島全体に浸透していくことに大変有利に働くことでしょう。それと、王の娘を私の妻に迎えることになりました」


「ここにいる5人はもちろんのこと、ルソン国に来てくれた旧家臣たち、通訳隊、特殊部隊も本当に良くやってくれた。日本は、澳門マカオ衢山くさんを手に入れることができた。台湾島とフィリピン群島については、時間は掛かるが、いずれ日本の影響下に入るだろう」


澳門マカオ衢山くさん。そして台湾島とフィリピン群島内に少しずつ広げていく日本の領土を統治する総督職がいずれ必要になるだろう。まだ暫定的な話だが、澳門マカオ衢山くさんは毛利家から、台湾島は島津家から、フィリピン群島の北側は三好家から、南側は北条家から総督職をと考えている」


「斎藤家と蜂須賀家についても、東南アジアの国で同じようなことをやってもらうことになる。大いに経験を積んで総督職を目指してほしい」


「外交官として選ばれた者たちは、このような浸透工作だけでなく、オスマン帝国との同盟交渉、ヨーロッパ諸国との和平交渉、東南アジアの国々との同盟交渉と、重い仕事ばかりだが、日本国のために張ってほしい。よろしく頼む」


「北条家、三好家、斎藤家、蜂須賀家は、いったん誰かが日本に戻り、こちらに来てくれそうな旧家臣の募集や、婚姻に適した一族の人選をしてほしい」



ここまで、お読みいただきありがとうございます。


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